○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 きょうの最後ですので、よろしくお願いいたします。
 甘利大臣がフロマン代表との協議後の記者会見で次のように語りました。TPPを十二カ国間で妥結するための重要な二つの要素が動き出しました、一つはTPA、貿易促進権限法案であり、一つは日米協議でありますと。
 きょうは、この二つ、それぞれにかかわって質問をしたいと思います。
 まず、TPA法案です。きょうも議論はされてきましたけれども、改めて、順を追って確認していきたいと思います。
 まず、なぜこのTPA法案がTPPの妥結に重要なのか、確認したいと思います。
○甘利国務大臣 おっしゃられたとおり、TPP十二カ国が妥結へと話を進めていくためには、前提が二つあると申し上げました。一つはTPA 法案が成立をするということ、そしてもう一つは、日米の大筋合意が見えてくる、大筋合意がかっちりできましたというのも見えてくることということが大事だ と申し上げました。
 後段の日米合意が見えてくることというのは、TPP十二カ国のうちの経済領域でいえば日米で八割を占めますから、八割の国がまとまっていないのに残りの 二割が何でまとめるんだという話になると思いますから、まとまる方向が見えてきた、それに最終的な着地点を合わせるようにちゃんとほかの国も協議を加速し ていくということが必要であるし、それを共有しているんだと思います。
 それから、御質問のTPA法案がなぜ大事かということについては、各国とも、最終的なカードを切る際に、TPA法案が成立しているということが前提だと いうふうに思っているわけであります。というのは、交渉している最中でありますから、最後のカードをまとめるために切った、ところが、まだ法案が成立をし ていなくて、ということは、そのカードが、さらに追加カードを求められる危険性がある、TPA法案が成立をしていれば、最終合意がより安定的なものになる という判断をしているんだというふうに思います。
○畠山委員 大臣、今なかなか言いませんでしたけれども、安定的なものになると。つまり、大統領に貿易権限が必要であるから、このTPA法案の行方を注視していたということで、もう一度確認したいんですけれども、それでよろしいですね。
○甘利国務大臣 基本的には、全体のパッケージを議会が了解するかしないかで、その後、細かいところにいろいろな注文がつけづらいというこ とで、まとまったものを、その後、注文がいっぱいつくのであればまとまったことにならない。つまり、大統領に一括権限が付託されるということが非常に大事 だという点で、各国は注視をしているんだと思います。
○畠山委員 今ありましたように、大統領への貿易権限が必要であるということであります。
 それで、この間、改めて確認すれば、昨年、TPA法案が一度廃案になり、ことし、新しい法案が出されたということは先ほどからありました。ただ、これが、中身が違うということも御存じのとおりです。
 重要なことに、一つは、議員に対する情報公開があり、さらにもう一つに、手続否認決議において新たに加わったものがある。一言でこれを言えば、上院か下院で拒否の決議をすれば、TPAが適用されずに、議会がTPPについても修正できるというような内容に読めるわけです。
 昨年の法案とこの点が違うということで、これは事務方で結構ですけれども、確認してよろしいですね。
○宇山政府参考人 お答え申し上げます。
 二〇一五年、ことし提出のTPA法案には、廃案になりました二〇一四年提出のTPA法案同様、大統領が議会への通知または協議を怠った、または拒否し た、あるいは、協定が本法律の目的、政策、優先事項及び目標を達成することに進展を見なかった、こうした理由によって、両院の一方が、実施法案の審議に迅 速な審理手続を適用しない旨の決議、手続否認決議をし、その後、六十日以内に他の院がこれに同意した場合、迅速な審理手続が審議に適用されないことになる 旨の規定があるというふうに承知をしております。
 これに加えまして、このたびの二〇一五年提出のTPA法案におきましては、上院の財政委員会、または下院の歳入委員会のいずれかが、さきに述べた場合に 該当するなどとして、迅速な審理手続を適用しない旨の決議、手続否認決議をし、同決議がなされた院の本会議において同決議が採択された場合、その院におけ る実施法案の審議に迅速な審理手続が適用されないこととなる旨の規定があるというふうに承知をしております。
○畠山委員 きょう、資料を配付しておりまして、外務省の資料ですけれども、これの最後の下の黒丸のところに、今説明されたものを簡単にま とめれば、こういうふうに書いてありまして、「二〇一五年法案で新設。」と。つまり、大統領は全権が委任されていない、議会の関与が生まれるということで あると理解できます。
 これまで日本政府は、TPAが成立しなければ、政権が合意に至っても、議会は内容についてさまざまな修正ができる、これでは各国が安心して交渉を進める ことができず、これが交渉停滞の原因の一つになっている、先ほど甘利大臣も同じようなことを答弁されましたが、このような考え方を示してきたわけです。
 ところが、今話がありました新しいTPA法案は、議会が内容についてかかわり、修正も可能になるかもしれない。ということは、今まで懸念していたものそのものではないのかというふうに思います。
 甘利大臣はこのことをわかってフロマン氏との協議を進めてきたのでしょうか。
○甘利国務大臣 TPA法案の違いは、委員御説明のとおりであります。つまり、要すれば、両院がノーと言った場合に本来のTPA法案の本質が適用されないというのから、片方の院、片方の委員会がノーと言ったらその効果を発するということであります。
 しかし、上下両院の委員会はTPA法案そのものを、その重要性に鑑みて、いち早く可決したわけであります。その必要性、TPA法案の必要性というのは、 一括してイエスかノーかを意思表示するということ、その法案の重要性は認識して提出をされたというふうに理解をしておりますし、通過をしたものというふう に思っております。
 従来から、TPA法案の本質というのは、基本的には議会に共有されて委員会を通っているものと思っておりますし、何より、日本もそうですし、他の国も、交渉が妥結をしました、しかし再協議を求められました、その協議には日本も含めて各国は乗っていきません。
○畠山委員 私の質問にお答えになっていないんじゃないかと思いますが、改めて確認しますが、フロマンさんとの協議のときに、このTPA、新しい法案で議会が関与できるということを承知して協議に臨んだのか、もう一度答弁してください。
○甘利国務大臣 TPA法案の果たすべき意味、本質、それを前提に議論しております。そして、TPA法案の本質が今回の変更によって著しく損なわれるということではないというふうに理解しております。
○畠山委員 本質が損なわれていないと。今まで、議会の関与がないようなことが、あってはならない、日本政府でそういう考え方を示してきて、今回、明らかに議会がこのように関与できるということですが、本質的に大きな、違う中身でないかというふうに思いますよ。
 資料を引き続き見ていただきたいんですが、その後のプロセスがどうなるかといったときに、交渉の妥結以降、協定の署名まで少なくとも九十日、そして期限 の定めなく進んだ後に下院での審議が、最大九十日、上のフレームにはないんですが、黒丸の四番目のところに、国際貿易委員会が報告書を出す期日の規定があ りまして、それが百五日以内。普通は大体この報告書を受けてから審議が始まるというふうに考えられますから、協定発効、最後まで進むに当たっては、九カ月 から最大で十カ月程度かかるであろうというふうには思われます。もちろん、それよりは短くなるかもしれません。
 先ほども質問が出ましたけれども、議会のところで承認されずに要求などが出た場合、再協議が迫られることがあります。確認ですが、再協議が必要となった場合に、それに応じますか。
○甘利国務大臣 先ほど、議会が関与、従来も、両院がその必要性があると言ったら、その時点で関与になるんです。今回の修正は一院がという ことでありますから、議会が関与するという状況は、今までの法案も今回の法案も変わらないわけであります。しかし、基本的に一括して承認するかどうか、そ のための法案ですから、その根幹が全くなし崩しにされたら、大体その法案を出す意味がない、出さなければいいだけの話になってしまうわけであります。
 そして、委員御指摘の後段のお話……(畠山委員「再協議」と呼ぶ)再協議の話ですね。再協議については、もともと我々は、あらゆるベースで、一度まと まったものを一国の都合で再協議するつもりはないというふうに申し上げていますし、この点は各国が一番強く主張している点だと思います。だから、ほかの国 は、TPA法案が成立しない限り最終的なカードは切らないといって、交渉がとまっていたわけです。
○畠山委員 応じないというふうになれば少し心配になるのが、逆に言えば、最初から議会が了承するような内容へと譲歩を重ねていくことにな りはしないか、つまり、合意できるような内容をつくっていかざるを得なくなるのではないかという心配があるわけです。そうならないと言えないのではない か。
 九カ月から最大十カ月かかるとなれば、今後のアメリカの政治スケジュールで見れば、大統領選の具体的な日程も入って、先に進まないのではないかということも言われています。
 日米だけでなく、マルチで、交渉参加国の中でも交渉がさまざまに難航しているものがあることも報じられています。どのようなもので今難航していると認識されますか。
○甘利国務大臣 どのようなことで難航、ちょっとその意味が、具体的にはかりかねるんですが、二国間交渉について言えば、それぞれの国がセ ンシティビティーを大なり小なり抱えています。物品の関税について抱えている国もあれば、ルールで抱えている国もあります。知財であるとかあるいは国有企 業の規律等で、物品では問題がないけれども、しかし、ルールでは問題があるという国も多々あるわけでありまして、それぞれが抱えている国のセンシティビ ティーを最終的に決着させるということで、終盤になればなるほど難航するというのは、そういう点であります。
○畠山委員 さまざまな点が報道されてきていますけれども、例えば、知的財産についても、新しい医薬品のデータを守りたいアメリカと、後発医薬品に頼るそれ以外の国々とで大きな開きがあるような報道なども見受けられます。もうお互いに譲らない状況にあるのではないかと。
 ほかにも、これは日経新聞の一月二十三日付ですが、マレーシアのムスタパ貿易産業大臣が、国営企業の改革についても政治的に敏感な問題があると、応じない考えを示したというふうにあります。
 今後の大統領選のスケジュールまでも含めて見たときに、本当にまとまっていくんだろうか、日本の方でいえば、拙速な判断をするのではないかというふうに心配されるわけです。そこに、多くの国民からの不満や批判、あるいは心配の声が上がっているというふうに思います。
 そこで、日米協議の中身について、もう一つの側面で聞きたいと思います。
 ことしの一月九日ですが、大臣が記者会見でこのようなことを述べています。日本側としては相当譲歩してきたという思いがあります、途中略しますが、妥協 点、我々はできることはほぼ全てやり尽くしたと私個人は思っておりますという会見の内容でした。その後から、今議論されているような米の別枠輸入の問題で すとか、牛肉、豚肉の関税引き下げの数字などが報道されてきているわけです。
 これは報道ベースだと甘利大臣はいつも言いますけれども、ただ、こういうふうにすると、符合して見える。この中身こそが、甘利大臣の言う、譲歩や妥協点と記者会見で述べていた中身ですか。
○甘利国務大臣 お聞きになりたいことの趣旨が、いま一つ理解していないのかもしれませんけれども、私が常にバイの会談やあるいはマルチの 会談で申し上げているのは、交渉事というのは、一方が一方に一方的に寄っていくことを交渉とは言わない、双方が歩み寄ると言わないと差はもう絶対に埋まら ないというわけですので、各国とも自分は最大譲歩しているということの言い合いでありまして、それを客観的にどう評価されるかということになってくるんだ というふうに思っております。
 私は、一月の九日でしたか、その会見で、それまでの、まだ、そのときに交渉が全部終わっているわけでは全くありませんから、今日までの過程において、日 本としてはやるべき譲歩はしっかりしてきたと思うという日本の立場を表明したわけでありまして、日本がかたくなでちっとも動かないからTPPがだめになっ たなどというそしりは受けないように、しっかり情報発信したつもりであります。
 ただ、その譲歩も、具体的に、数字の細目にわたって全部かっちり決まりましたというのは、最終的な十二カ国の妥結の場面でありまして、それまでは、収れんをさせていくための方程式とか考え方とか、いろいろなケースを示しながら、いろいろやりとりがあるわけであります。
 先ほど来申し上げていますように、あくまでもTPPというのはパッケージ合意でありますから、全体がしっかりフィックスして、全体に縛りがかかるという 種類のものであります。その間には、いろいろなシミュレーションなり頭の体操でいろいろなことが飛び交うということでありまして、そういう飛び交っていく 数字も含めて収れんをさせていくということであります。
○畠山委員 私は、歩み寄りのよしあしを聞いたつもりもありませんし、頭の体操やシミュレーションなどという言葉もありましたけれども、た だ、大臣は、できることはほぼ全てやり尽くしたと記者会見で述べていたわけです。その後に、先ほど言った数字のさまざまなものはありますけれども、具体的 な、米や豚肉や牛肉のところでの進展がもう報じられてきているわけですから、その中身こそがやはり重大だというふうに思うわけです。
 改めて、TPAにちょっと戻りますけれども、一月九日のこの時点で新しいTPA法案のことも、まだ当時ですから見通せなかったはずでありますが、それでも大臣の言う譲歩や妥協点などでほぼやり尽くしたという判断だったのですか。
○甘利国務大臣 TPPの交渉過程で、いきなり全部の最終着地点にどおんと行くわけじゃないんですね。ステージワンとかツーとかスリーとかいうことがあって、ここを目指していこうみたいな形で言っていくわけであります。
 だから、一月の時点で、日米間について、そこまでの協議の中で日本側が譲るべきは譲る、これは最大取り組んできたつもりですということは、当然、交渉担 当大臣として言うはずであります。まだ我々には譲る余地がたくさんありますがねとか、そんな会見をする大臣を見たことはありません。我々としてやることは やってきたということで言ったつもりです。
○畠山委員 確認したかったのは、もう一度今聞きますけれども、この時点で、先ほど言ったTPA法案が、まだ新しいものが出されていないときに、ほぼやり尽くしたということは、では、どういう意味なんですか。
○甘利国務大臣 TPA法案がなければ、そこまで、ある部分、具体的な数字でなくても、考え方で収れんをさせてきたものについても、法案がなければみんなパアになりますねという話です。
○畠山委員 ちょっと時間が限られてきていますので、先に進みますけれども、多くのところから、やはりきょうも出ていましたけれども、結 局、こういう問題でさまざまなことが何に由来しているかというと、やはり、情報も秘密、交渉過程ももちろん秘密、決断の理由もなかなか明らかにされないと ころも出てくる、これでどうして一国の将来が判断できるのかというふうになるわけです。
 日経新聞の四月二十二日付に、安倍首相が、オバマ大統領との首脳会談で、TPPについては、新しい貿易圏をつくっていくといった前向きなメッセージを出 したいと語ったとされています。秘密、秘密、秘密で、首相一人が前向きだと言っても、国民からすれば、前を向いているのか、右を向いているのか、後ろを向 いているのか、何もわからないわけです。だから、全国から不安や批判が上がってきたわけで、TPP反対とか、あるいは慎重にとか、拙速に進めるななどが、 この間、地方議会で意見書がたくさん上がってきたわけです。
 これは事務方で結構ですが、これまで、内閣府宛てにその意見書はどれだけ上がってきていますか。
○澁谷政府参考人 二〇一三年の四月に内閣官房TPP政府対策本部が設置されて以降でございますが、地方自治法第九十九条に基づき、自治体の議会から政府に提出されたTPPに係る意見書の数は、四百四十七件でございます。
○畠山委員 内閣府だけで四百四十七件。
 それで、これは議長において受理されたものがそれぞれのところに割り振りされますので、私の事務所の方で、改めて議長宛てのものも数えました。百七十六 国会から始まって、今までに二千二十六に上ります。私は北海道の選挙区選出ですが、百七十九市町村のうち百七十六市町村、九八%にも及ぶわけです。もちろ ん、二度三度意見書を上げている自治体もありますけれども、二千を超える意見書ということは、背景に数千万を超える国民からの意見の反映があるということ を改めて述べたいと思うんです。
 そういう国民の不安を反映したのが、きょう資料の二枚目につけましたが、国会の衆参のそれぞれの委員会の決議です。きのうも農林水産委員会で、やはりこの決議を常に持って交渉に臨む必要があるということが議論されました。
 改めて、第一項目に、「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。」。
 この間、農林水産委員会では、米価の下落もあわせて、今でさえ再生産可能な水準にないということを議論してきました。その中に五万トンとか具体的な数字 が出てきて、さらに米価が下落するのではないかという心配が広がっていくのは当然だというふうに思います。再生産できなくなってしまうではないかと。
 首相が、あさってからですか、訪米をして、オバマ大統領との会談だけでなく、議会演説もされるようです。きのうも委員会で私は述べましたが、それで思い 出すのが、四年前、韓国の李明博大統領がアメリカの議会演説をして、韓米FTAについても、これが同盟のあかしであるかのようなことを言ったわけです。し かし、この中には毒素条項が入っているとか、牛肉もどんどん輸入されるじゃないかと声が上がって、韓国に戻ってきてから、国会で同じ演説をするなと厳しく 批判がされました。
 最後に、決議の第六項目、「農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする」と いうことを改めて確認し、日本共産党は、これだけ各自治体からの決議、そして国会の決議、なお国民の不安がどんどん広がっていくことを置き去りにするよう なTPP交渉はやめるべきであることを求めて、質問を終わります。