○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 先日、六次産業化の取り組みで米の加工と販売を行っている米工房を立ち上げましたある県の農事組合法人のところへお話を伺いに行ってきたんです。そもそもは、女性グループの方々からみそをつくりたいという要望が出されて、当時の県の支援事業を使って加工場をつくったそうです。みそ以外にも、今度は米粉を使った商品などもつくり、広げて、道の駅とか大手のスーパーなどにも展開していったとのことでした。その農事組合法人の方なんですけれども、この後、米のブランド化も進めてきたところで、今度は株式会社も設立して、販売事業も力を入れるというふうなお話だったんです。
 さらにいろいろ聞きまして、集落に若い人が減ってきているということもあって、何とか雇用の場を確保できないかという思いもあるんだという話を伺ってきたんですね。ですから、経営についても率直にいろいろ聞かせていただきまして、比較的順風なのかなと思って話を聞くと、いやいや、つくった商品もこれまた売れなくて、販売面ではなかなか苦労しているんだというお話でした。
 あわせて、今回の農協法にかかわる関係や問題意識も伺ってきました。とめどなく話が出てくるわけです。農薬や肥料が高いんだとか、もっと農協が農家を束ねて戦略的に販売をしてくれだとか、こういう話は、私も行く先々でいろいろと問題意識は聞くわけなんです。だけれども、もちろん、農協は不要だとは思っていないし、農家のための農協という原点を進んでほしいというお話を伺ってきました。今回、法改正までやる必要があるのかという点では、私も疑問に思っています。
 今のような実態や話などは、私も北海道でも聞いてきたし、これはどの党を問わず、いろいろと、きょうも議論が出されているように、共通して出されているような疑問であろうというふうに思うんですね。ですから、これから質問でも触れていきたいと思うんですが、農協の方に問題があるのであれば、それは系統組織や組合員を信頼して、自主的な改革を進めていくことでいいのではないかというふうに私は思っています。
 それは、組合員自身に基づく自主的な改革と、今回のように、法改正までして行う改革との違いは何なのかということで、多くの農家の方も知りたがったり、不安が生まれています。この改革が、焦点にもなっている自分たちの経営や所得の向上に本当にどうかかわっていくのか、理解ができないという声も根強くあります。
 しかも、農協法だけでなく、農業委員会、そして農地のことでもセットで変えるとなれば、渦中にいる生産者からすれば、自分たちの経営だけでなく、農業や地域そのものがどうなるかということを知りたがるのも当然だと思います。ただでさえTPPで次々と具体的な数字が出てくる中で、規模の大小を問わず、不安の声が広がるのも当然だというふうに思います。
 きょうは、最初に言いたいことを全部言いましたので、具体的にこのような疑問や不安をもとにして聞き込んでいくということを中心に行っていきたいというふうに思います。
 まず初めに、十四日の本会議で私が行った代表質問に総理が答弁した内容について、まず協同組合の原則にかかわる点で質問を行います。
 私が、政府自身、国際協同組合年の二〇一二年に協同組合の価値と原則を尊重していたではないかということを指摘して、この協同組合の仕組みについての認識を質問いたしました。それへの答弁は、今回の農協改革は、国際協同組合同盟、ICAの声明にある協同組合原則にも合致するというものでした。
 どこの部分で合致しているのか、まず具体的にお答えください。
○小泉副大臣 国際協同の関係でございますが、ICA、この原則の第二原則は、組合員による民主的な管理でございまして、これは、組合員は平等の表決権、一人一票ですね、これをお持ちになっているわけでありますので、協同組合が民主的な方法で管理されることを要求しているわけであります。
 この点につきましては、今回の改革では、地域農協の理事の過半数を認定農業者などにすることを求めているが、これは、農業者の協同組織として、責任ある経営体制とするものでございまして、運営が一人一票制により民主的に行われることに変わりはないためということで、この第二原則に合致していると考えているわけであります。
 また、ICAの協同組合原則の第四原則でございますが、自主自立でございまして、これは、協同組合は組合員が管理する自助自立の組織でございます。組合員による民主的な管理を確保し、また、組合の自主性を保つことを要求しているわけであります。
 この点につきましては、これまでの中央会制度は、法律によりまして、行政にかわって指導や監査する権限を与えられまして、全国や都道府県に一つに限り設置するなど、真に自主的な組織とは言えなかったとあります。今回の改革によりまして、自律的な新たな制度に移行することとしていることから、この第四原則に合致することと考えております。
 さらに、ICAの協同組合原則の第七原則でございますが、地域社会へのかかわりでございまして、これは、協同組合が地域社会の持続可能な発展に努めることを要求しているわけであります。
 この点につきましては、今回の改革は、地域農協が農産物販売等を積極的に行い、農業者の所得向上に全力投球できるようにすることで地域農業の発展に寄与することとともに、地域農協の実際上果たしている地域のインフラとしての機能も否定するものではないため、この第七原則にも合致すると考えております。
○畠山委員 論点はいろいろあるかと思うんですけれども、きょうは、少し質問を進めたいと思うんですね。
 このICAというのは、一八九五年に設立されて、御存じのように、国連への提言も行う、歴史や知見を持った組織です。今、第二、第四、第七まで述べられましたが、第七原則までありまして、もちろんその中身というものには、今言ったように、歴史や国際的な重みがあるというふうに思っています。
 大臣に伺いますが、先ほどされた答弁と同じ認識でよろしいか、確認したいと思います。
○林国務大臣 副大臣が答弁したとおりでございます。
○畠山委員 今、第二、第四、第七だけ、なぜ引き抜いたのかというふうに思うんです。
 これは二〇一四年十月九日のICA理事会で、その段階ででしたけれども、見通される農協法の改正の方向性について、ICA原則への侵害があると指摘された項目があって、それに対応する形で合致するようにしたという答弁だというふうに思うんですね。
 その一つに、最初に述べられました第二原則、これは組合員による民主的な管理というのがありまして、当時の指摘ですけれども、組合員はその活動を発展させるための最もよいやり方を自分たち自身で決めなければならないと述べて、つづめて言えば、組合員抜きで決められることはあってはならないよという指摘が当時されたというふうに思うんです。
 大臣に伺います。
 今回、全中が十一月に改革案も出して、さまざまな、与党も含めた合意をされた上で法案を出したというふうに経過は承知はしているわけですけれども、組合員も含めてそういった議論や合意ができてきたという認識を伺いたいのですが、いかがですか。
○林国務大臣 今の御質問は、この法案をつくる過程、もしくはこの案をつくる過程において農協の皆さんの意見がどういうふうに反映されたか、こういう御質問である、こういうふうに思います。
 当時私は、去年の九月三日から、この二月二十三日に戻ってくるまでは、党の方の農林水産戦略調査会という立場でございました。党でも何度もヒアリングをやりまして、そして党内の議論もそのヒアリングをベースにやってまいりましたし、党の役員、それから全中の幹部の皆さんとも何度も意見交換会をやりまして、そして最終的には、この案につきまして、向こうの役員の皆さんとお話をさせていただいた上で、正式に全中の理事会でこれを受け入れるということをお決めいただいた、こういう経緯だったというふうに承知をしております。
○畠山委員 全中から十一月に改革案も示されて、県によっていろいろあったのかもしれませんけれども、単協あるいは組合員のところまで議論する時間がなかったというふうに私は聞くわけです。末端の組合員まで議論が尽くされたのかという点ではいろいろなことがあるかと思うんですけれども、例えば私の選挙区のJA北海道では、JA北海道独自の改革プランも九月ころから議論をしてきて、理事会や青年部、女性部などでも議論を詰めてきたというふうなお話も伺いましたが、それでも時間が足りなかったという声を組合員からも聞いております。
 確認ですけれども、こういう現状、少なくとも今組合員のそういう声が出るという現状が、先ほどのICAの原則にある最もよいやり方を自分たち自身で決めるという点で合致するのかどうか、その議論や組合員などの合意の上に成り立った現状と思っているかどうか、改めて大臣の認識を伺います。
○林国務大臣 これは、農協の系統の役員の皆さんから常々言われたことですが、大きな組織なのでやはり中でいろいろと議論するのに時間がかかるんです、こういうことを常々おっしゃっておられました。したがって、昨年の六月に大きな方向性をまとめ、それから、それを受けた形で、農協の中で自己改革をまとめられる間も時間をかけて御議論されたもの、こういうふうに承知をしております。
 したがって、我々としては、そういう手続を踏んで、最終的には理事会で、先ほど申し上げたように、決定をしていただいた、こういう認識は持っておりますけれども、その中で、どの地域でどれぐらいの御議論をされたのかというのは、必ずしも今この時点で詳細に把握を私のところでしておるわけではございませんので、いろいろな意見があるということは、先生はお聞きになったということは今お聞きしましたけれども、基本的には農協の系統の組織の中で話し合いをされて、最終的に理事会で決定をされたもの、こういうふうに理解をしております。
○畠山委員 少し古い資料で恐縮なんですけれども、二〇〇二年の四月に、全中がJAの活動に関する全国一斉調査というのを行っています。なぜこれを引き合いにしたかというと、農協は県によっていろいろというのはありますけれども、多様なルートで意見の集約を図るルートや工夫というのをされてきている蓄積があるんですよね。
 このときは、例えば准組合員の農協運営への参画について聞いたもので、総会の出席を認めているのが二九・一%あるとか、あるいは集落座談会への参加も四二・〇%でやっているとか、こういうさまざまな形で意見の集約や反映ということを行ってきた組織としての蓄積を持つJAで、先ほど述べたような、議論の時間をとれなかったという意見がある事実を重く見るべきであることだけをまず指摘しておきたいと思います。
 あわせて、本会議のときの質問ですが、別の議員の質問への答弁で、総理が、農協は農業者が自主的に設立する組織だとも述べています。きょうも林大臣からそのような答弁がございました。組織という以上、その中心となる役員の構成は重要でして、農協でいえば、一つのかなめは理事であるというふうに思います。
 改正案では、その理事について、過半数を、原則として、認定農業者や、農産物販売や経営のいわゆるプロとすることを求めています。きょうも議論がありましたけれども、改めて、農産物販売や経営のプロとはどういう人たちのことを指すのか、御答弁ください。
○林国務大臣 今お話がありましたように、今回の農協改革では、地域農協が、担い手農業者の意向も踏まえて、農業所得の増大に配慮した経済活動を積極的に行えるようにするために、農協の理事の過半数を、原則として、認定農業者、農産物の販売や経営に関し実践的な能力を有する者とすることを求める規定を置くことになっております。
 認定農業者については、担い手の意向を農業の業務執行に反映していくことを目的として、また、実践的な能力を有する者については、大口の事業者等と渡り合って農産物の有利販売等を実現することを目的としておるわけでございます。
 先ほども、稲津委員のときにお答えしたように、こういう原則を定めましたので、どういう方を具体的に任命するのかというのは、それぞれの地域農協、販売の方向とか経営の方向というのがそれぞれあると思いますので、それにきちっと合致をして、農産物販売事業等を発展させる観点に立って、適切な人物をそれぞれ役員として選出していただく、このことが重要だと考えております。
○畠山委員 この点に関して、私の方から本会議で質問した際の答弁でも、それぞれのところで農業所得の増大に向けて事業運営を行っていく観点からのものでもあるという答弁がされました。
 先ほど述べたように、それぞれの組織の中心ともなる役員、今回でいえば、理事の要件ということは、本来は組織の内部自治に委ねるべきものであるというふうに思うんですが、今回、政策上の考えから改革するものであるというふうに思います。
 今でも経済事業が良好な農協もありますし、その先例に学びながら経営していくということなら、アドバイザーであったりコンサルタントのようなものを招くということでも十分ではないのかという指摘があると思います。
 全中の十一月の自己改革案でも、ガバナンス強化の項のところに、販売や経営など多様な分野の専門的な知見を有する学識経験者の活用と示されております。
 この点について、何でアドバイザーではだめなんでしょうか、なぜここまでする必要があるのか、改めて伺います。
○奥原政府参考人 それぞれの農協で農産物の有利販売に本当に責任を持って取り組んでいただくということが必要でございますが、そのときに、経営責任を持っている方は誰かということだと思います。
 それは、基本的には、農協法上、役員の体制は法律の中で決まっておりますので、この役員の方が経営責任を負っている。これは、農協に限らず、会社においても、あるいはほかの協同組合においても同じだと思いますが、この方々がきちんと責任を持って判断をして、いろいろな工夫をしていただく。そういう体制をつくるためには、アドバイザーという法律に位置づけられない役員ではなくて、正式な理事というところにこの枠組みをはめていくということが必要であるというふうに考えております。
○畠山委員 今、経営責任という言葉がありまして、そのとおり、部分的にはそうですよね、理事には議決権ももちろん伴いますし。
 ただ、今回の、こうやって理事の要件を変えるという点では、後で触れますけれども、第八条に、目的にかかわるところで、収益を上げることに責任を負うようなことだけであってはならないわけです。収益を上げることが必要だからと役員の要件を政策的に変えていく。もう少し別な言い方をしますと、その時々の政府の政策によって、きょうは、最初から議論してきた協同組合の原則を変えることになっていかないか。
 きょうの質問を準備する上で、ほかの国の協同組合についても私は調べましたけれども、基本法にかかわっては、とりわけ内部自治や性格にかかわることは極めて抑制的に議論や法の制度がされているというふうに思うんです。
 今言ったような形で、経営責任にこのような、かかわるという答弁でしたけれども、一方で、先ほどから述べている協同組合の内部自治の原則と合致しているというふうに、大臣はどのように御判断されますか。
○林国務大臣 そもそも、農業協同組合の目的というのは、農業者の利便の向上、こういうことが書かれておるわけでございますので、その目的を達成するためにどういうことにならなければならないのかということを改めて規定をさせていただいて、その選任については、先ほど申し上げましたように、これに委ねる、こういうふうになっておりますので、先ほど来御議論がありますように、この自治の原則というのが貫かれている、こういうふうに理解をしております。
○畠山委員 今、目的の話が出ましたので、あわせて、時間も残りわずかですので、現行法の第八条とかかわって一緒に質問をしたいと思います。
 現行法第八条を今回削除するわけですけれども、改めてその理由を、これは事務方で結構ですので、端的にお答えください。
○奥原政府参考人 現行第八条のところに、農協は、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という規定がございます。この趣旨は、株式会社のように、出資配当を目的として事業を行ってはならない、こういう意味でございます。
 これは法制的に大体確定をした解釈でございますけれども、出資配当を目的として事業を行ってはならない、この趣旨につきましては、この条文だけではございませんで、出資配当に上限を設ける規定が従来から置かれております。農協法の五十二条第二項でございまして、この点は今回全く改正をしておりません。出資配当の上限は今後とも設けられます。
 現在の「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という、この書きぶりにつきまして、趣旨は先ほど申し上げたとおりですけれども、そもそも農協は利益を得てはならない、あるいはもうけてはいけないんだといったような解釈がされている側面もございます。
 その結果として、農産物を有利に販売しようという意欲が十分でないということもございますので、今回の改正では、誤解を生んでおりますこの規定の部分を削除いたしまして、農協が農産物の有利販売等に積極的に取り組んでいただくということを促すために、これに追加をいたしまして、組合は、事業の実施に当たり、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければいけないということを追加いたします。
 それから、組合は、農産物の販売等において、事業の的確な遂行により高い収益性を実現し、その収益で、事業の成長発展を図るための投資または事業利用分量配当に充てるよう努めなければいけないというのを追加して、これを新しい第七条にしているということでございます。
○畠山委員 解釈で、利益を上げてはならないというふうに、いわば誤解が生じるような、さまざまレクなどでも聞いてきたんですけれども、いろいろな農協やその関係者から聞きますけれども、そういう利益を上げちゃだめだという誤解などは聞いたことがないです。
 今、条文を挙げられた改正法では、より高い収益性の実現に努める旨が書かれていて、現行法では、協同組合が上げる経済上の利益は剰余と言ってきたはずです。
 確認になりますけれども、収益と剰余の違いは、今回の法においては、何が違って、何でこのような違う言葉を使うようにしたのでしょうか。
○奥原政府参考人 農協法の中では、何カ所か剰余金という言葉を使っております。
 この剰余金という言葉は、組合の経済的な事業活動によるものだけではなくて、例えば遊休資産の売却とか、こういった臨時の取引により生じたものを含めて、決算の結果計上された利益、これを剰余金という言葉で呼んでおります。この剰余金をベースにして配当するとか、そういうことが規定をされているということでございます。
 今回の改正後の第七条、八条を改正して七条に変えるわけですけれども、この七条の中では、農協の事業の目的に農業所得の増大を規定して、それを実現するために、的確な事業活動によりもうけを出して、それを組合員に還元していく、こういう趣旨におきまして、決算の結果としての剰余金ではない、収益という言葉を使っているということでございます。
○畠山委員 剰余としてきたのは、協同組合がさまざまな組合員への、現行の法には最大の奉仕という言葉が入っていて、その最大の奉仕を行った後に残るから剰余としてきたわけです。
 奉仕という言葉があるからこそ、例えば昨年度でも、米価下落に対する補填ができたりだとか、あるいは子牛価格が高騰して肥育農家が御苦労されている、その救済のために飼料の手数料の引き下げに取り組んだりするのに、期中における剰余の先取り的取り崩しとしてできてきたということがあったと思うんですね。これが、期末における最大限の収益、利益計上が目的となれば、今言ったような事業ができるのかという不安があるわけです。
 ですから、第八条の規定を削除し、変更するとなれば、期末の収益、利益を追求することが目的化して、限りなく株式会社化して接近するのではないかとか、今さまざまな論点や疑問が出されてきたというふうに思うんですね。
 時間になりましたので、この続きなども引き続き質問をしていきたいと思います。
 終わります。