○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 参考人の四人の皆さんには、朝から足をお運びいただきまして、本当にありがとうございます。きょう、私が最後の質問者になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、小川参考人と鈴木参考人のお二人に、生産者の立場としてのお考えをお聞きしたいと思います。
 農家の戸数がだんだん減ってきて、地域社会も成り立たなくなるのではないかと言われています。私は北海道選出の議員なんですけれども、北海道では、酪農 家が年間二百戸、離農や離脱が相次いで、ことしもまたバター不足という状況が生まれてきておりまして、新規参入ということはもちろん大事なんですけれど も、食料の安定供給を進めるという点から見れば、あわせて、高齢化というふうに地域は言われているんですけれども、今頑張っているけれども、余力はあるん だけれども、このように離農や離脱する方々に対しての支援も必要だろうというふうに思うんです。
 いろいろな努力を各地でされていることを、北海道のみならず、この間、各地で聞いてきました。
 加工や販売で六次産業化なども進めて、地域の雇用も一緒につくるんだ、そうやって若者の定着を図りたいんだと努力されているお話も、先日、私も聞いたん です。同時に、ただ、生産者とすれば、販売や加工の事業も考えるんだけれども、安心、安全な農産物をつくるのが私の本業なんだ、そういう点では、農産物の 価格が安定すれば農家は頑張れるんだよなというお話を聞いたことがすごく印象的だったんですね。ですから、いろいろな多様な生産者の存在が地域においては 必要不可欠だというふうに思うんです。
 そこで、長い経験をされてこられた小川参考人の目からと、それから、若い感覚で今現場に向かわれている鈴木参考人の目から、農家や地域社会の維持に今何が必要かということをお聞かせいただきたいと思います。
○小川参考人 お答えします。
 農家も非常に多様化しておりますけれども、その地域によって事情が違います。
 例えば、中山間地の限界集落に近いような部分の地域もあります。そういった場所では、やはり人自身が減って、地域を守っていくのが容易じゃないという場所の中で農業をどうやって確立するか。特に鳥獣被害等を含めて非常に厳しい場所もあります。
 また、北海道に仲間もいますけれども、北海道で六次産業化といっても、物はつくれるんだけれども、売れる場所がなかなかない。地域に人がいないから、つ くってはみてもなかなか売れない。ですから、都市近郊の農業とそういった場所は条件が違うんだよという話は北海道の方からよく伺っております。
 根釧なんかへ行きますと、ほとんど酪農で、または肉牛ですけれども、牧草しかつくれないような地域ではございますよね。そういったところで六次産業化す るといえば、やはりチーズをつくったりバターをつくるしかないんだけれども、売る先がなかなかないという話は北海道の仲間からよく聞いております。
 また、都市近郊では、そういった安心、安全も含めて、やはり農業の面積等を含めた生産基盤は小さいですけれども、逆に、消費者が近くにいるというメリッ トもあるんですね。そういった点で、直売所なんかも、地域の皆様に利用してもらっているというのは、やはりそれだけ人口が多くて、そういったものが得られ る。
 それと、六次産業化を含めてそういったものに対応するのには、やはり地域の産業、先ほども申し上げましたけれども、うちの市ですと、商工会議所、それか ら旧町村の商工会という三つの団体があるんですけれども、そういった団体と連携していく上で、やはり地域にある程度の、群馬県でも伊勢崎市は人口増加率か らいいますと、市では一番です。交通の利便性もあるし、また住宅もふえて、人口もふえている場所でありますので、そういったところでは、地域の皆様といろ いろコラボしたり、また、農業だけじゃなくて地域おこしの面でも、農業者と商工業者が一つのイベントを開くとか、そういった連携も進めております。
 ですから、地域の事情によって、なかなかこれも農家だけではなくて、一概に言えないというふうに思いますので、そういった面で御理解をお願いできればありがたいというふうに思います。
 以上でございます。
○鈴木参考人 新しく農業を始めた新規参入者の目から見てということで、やはり、周りを見ていると、離農されていく方はいるなとは思うんで すけれども、ずっと農業に携わってきて、農業をされてきた方の技術だったりとか栽培のノウハウだったりとか、そういうものというのは、もう本当に僕みたい な新規参入者からするとすごい宝のように感じます。
 でも、その方たちも体力の限界が来て離農を考えているという状態になったときに、例えばこんなことができたらいいなと思っているのは、では、その農地を そのままの状態でお貸しいただけませんかという形で、長年その方が育ててきた農地をお借りする。そのときに、農地をお借りするだけではなくて、やはり何ら かの形で、協力なのか雇用なのか、その方と一緒に協力体制がとれるような状態になると、我々みたいな新規参入者に早期に技術がつけられる先生が身近につい てもらえるという状態にもなりますし、その方たちの体力が、この辺の問題で離農をしようとしていたんだというところが、我々の持っている機械でそのあたり は対応できるということであれば、それ以外の細かい技術的な部分で一緒にやってもらうとか、そういった形ができると、地域の成長が早くなるというのか、農 村自体の成長が早くなるような気がしますし、また、それをきっかけに、ふだん余り触れ合うことのなかったような地域の方だったり年代の方たちとも接点がで きるのではないかなと思っていまして、そういう形の農地の譲渡というのか、利用権の譲渡も一つの形としてあったらいいなというふうには思っております。
 以上です。
○畠山委員 ありがとうございます。
 それぞれ地域ごとにさまざまな、歴史も違いますし、農地のあり方、品目、あるいは技術で伝わってきたこともあるかと思うんですよね。
 そこで、次に、谷口参考人と石田参考人に、お二人にこれもあわせてお伺いしたいと思います。
 今回お出しいただきましたお二人の資料では、今回の改正案についての問題点が幾つか指摘をされております。その中でも、私も先日の委員会で質問を行いま したが、とりわけ現行の第八条の、農協が営利を目的としない組織から、高い収益性を実現する組織というふうに法案上には書かれて、削除から変更されるとい うふうになる点について少しお伺いしたいと思います。
 そもそも、きょうも議論になっていますが、協同組合は、市場経済のもとで、組合員を守るために協同の力で事業を進めるということが本旨だったというふうに思います。
 それで、改正案のように、高い収益性を求めるとなって、きょうも議論にずっとなっていましたけれども、株式会社の方向などに進むということになれば、そ の協同の組織という目的や性格が変わることになるのではないかということが大きな今回の改正案の論点だろうというふうに思います。
 それで、きょう、朝からずっとお話を、あるいは質問もお伺いしまして、農協に対する意識改革だとか職員教育だとか、あるいはさまざまな青年部、女性部の 取り組みだとか、お話も伺ってきましたけれども、これは農協みずからの改革でだめなんだろうか。つまり、このように性格や目的にかかわるところまでの改正 案が必要なのかなということを先日の委員会でも私は疑問を述べたわけなんですが、この中心点になるであろう第八条の部分について、さらにお二人から、私が 最後の質問者ですので、言い残したことがありましたら、あわせてお答えいただければというふうに思います。
○谷口参考人 この点は非常に重要な改正にかかわる論点だと思います。
 私は、営利という言葉が実際現場で使われるときに、法律の条文で書いてあることと同じなのかなという疑問があります。実は、JA出資法人というものを立 ち上げてやってきた中で、一番問題になったのはそこなんですね。つまり、JA出資法人は農協が出資している法人だから、農協と同じように営利を求めないよ なという、どこかで縛りがかかっているんですね、意識として。
 しかし、私は、その問題を外しました。つまり、初めは収支均衡という路線から、適切な利益を上げて還元するようにすべきであると言いました。なぜかとい うと、営利というのは、営利そのものを組合の目的にするかどうかという話であって、持続性を担保する上で、営利が全くない状態でいけるかといったら、いけ ないですよね。
 そもそも、最初から収支均衡を目指して収支均衡するなんということは曲芸です。恐らく、相当もうけられるようにやっていって、結構もうけが出たので、 ちょっと悪い言い方ですけれども、税金の方に行かないで、少し費用で落とすような方向で努力してみようかということで会計士さんの知恵をかりる、節税対策 をするということはあると思うんですけれども、最初からゼロにするようにやるなんというのはほとんど不可能だと思うんですね。
 そういう意味では、経済的な利益を求めることが、そのこと自体が究極目的にはならないという意味では正しいんですけれども、今一番大事なことは、組織に しても、個別経営にしても、持続性なんですよね。持続的な経営体として、持続的な組織として、地域農業の担い手になり得るかどうかと考えたときに、高い収 益ということとそれは必ずしも一致しないだろう。
 適切なということがあればいいわけであって、しかし、それは現実には困難があります。なぜならば、これだけ価格か何か乱高下があって、となると、もしか すると、高い収益という言葉で実現できるようなことが求められる局面があるということを私は否定できないと思います。しかし、問題は、それが最終目的かと いうと、そうではないだろう。
 そういう意味で、協同組合としての特性を踏まえながら、営利規定ということで十分なので、前のままでいいというのが基本的な私の考えです。
○石田参考人 協同組合の非営利原則というのは、高い利益を上げるかどうかということに関心があるわけじゃないんですよ。得た利益をどう分 配するかに関心があるわけです。なぜなら、協同組合が上げる利益というのは、組合員さんからの取引の中で利益を上げるわけです。上がるとすれば、利益が上 がるわけでしょう。
 一般の営利企業というのは、第三者との取引の中で営利を上げるから、より安く仕入れて、より高く売ってもうける、そして投資家に還元するというモデルで すよね。協同組合は、自分の組合、自分たちがつくっている、その人たちにサービスを提供して稼ぐわけですから、そこで営利が発生するという概念はないわけ です。もしここで大きな差額が出たら、それは利益を還元するというのがそもそもの協同組合の考え方ですから。
 だから、できる限り利益を上げるというのは、私はあの表現に全然違和感を感じていません。でも、それは、最終的には利用者、組合員に還元すればいいんでしょう。わかりますね。
 問題は、出資配当は地域農協には七%までですよというあれが入っているわけですから、あとは利用配当。だけれども、それだけやっていれば農協経営がよく なるのかというと、決してそうじゃなくて、将来的なことを考えながら内部留保を高めていかなければよくなりませんよね。わかりますか。
 非営利原則というのは、金を稼いじゃいけないんじゃないんですよ。わかりますか。わかったのなら、もうこれで終わります。
○畠山委員 ありがとうございました。
 時間もありませんので、最後にお聞きしたいんですけれども、監査の問題についてお聞きします。
 ちょっと北海道に引き寄せた話で恐縮なんですけれども、組勘制度というのが北海道はありまして、言ってみれば、対人信用保証に属するものだというふうに 思うんですけれども、結局、公認会計士などが導入され、監査の制度が変わるという点で心配されることの論点の一つに、不採算なところは次々と指摘をされ て、いわば切り捨てられる方向に誘導されるのではないかというおそれが出されています。
 そういったときに、先日も北海道へ行って聞いてきたんですけれども、このような組勘制度のように、対人信用ですからどうなるかよくわからないというよう なものだとか、あるいは、農家の倉庫なども、言ってみれば、年に二カ月か一定の期間しか使われないようなものなんかもうリースでいいんじゃないかと、次々 その地域の共有財産にもなっているようなことや、これまで業務として必要と考えられてきたことなどについてメスが入るのではないかという心配があります。
 この点は、実際、監査が変わることによって、現場の組合員、生産者にどのように影響が及ぶと思われるか、これは谷口参考人の方にお聞きしたいと思います。
○谷口参考人 これは難しくて、多分答えることはできないと思いますけれども、あえて申し上げると、組勘制度に当たる内容のことを公認会計士がやった場合には、恐らく、やはり血も涙もない方向に行っちゃうでしょうね。
 私はなぜそういうことを申し上げるかというと、会計士の方は、農民の方を見てやるよりも、ほかの監査する方々を見て、どうやっているかということを評価 されるんだと思うんですよね。そうすると、やはり、全国基準のものでいかにやれるかということに走りますよね。地域の事情を十分にそんたくして、彼らのた めになるようにとやるのは、相当勇気が要ることになっちゃうんじゃないんでしょうか。そこのところのずれが現実には生ずるだろう。
 組勘というのは、個人の財産の侵害に至るぐらいまで極めて細かいことをやるわけですよね。例えば、ほぼ毎月のように、残高がどれだけ残っているか、予定 された出費に対してぼんと出た、何をやったんだ、車を買った、聞いていないぞ、そんな車を買う予定はなかったじゃないかくらいまで介入しているわけです よ。
 しかし、それは、組合員の関係の中で農協がやるから認められているので、そうじゃない人が来て、おまえ使い過ぎだ何だと言われたら、これは耐えられない んじゃないかと思うんですね。そういうことをやりかねないような現実がやはり公認会計士にはあり得るのであって、むしろ公認会計士としてはそっちの方がす ばらしいというふうに評価されてしまうんじゃないかなというふうに思います。
 このことをなぜ言うかというと、私自身、息子がそういう大手の法人の公認会計士をやっているわけですね。それで、中小企業から始まっていろいろ見ている のを聞くと、いろいろな業種があって、とても理解できないと。そこで、やることは何かといったら、やはり教科書に書いてあることをできるだけ正確に、 ちょっと心持ちを入れる程度しかできないと言うんですよね、たくさんのものを扱っていて。
 そういう現実から見ると、恐らく、組勘でやるものは厳しいことになるだろうけれども、まだ血も涙もある、地域の実情を踏まえた形でもって組合員との関係が処理できるだろう。
 しかし、そこに公認会計士が来れば、物を見て、とにかく切りなさいと、単純に土地を取り上げるだけみたいに使われてしまうことになるだろう。となると、 地域にまさに亀裂を持ち込むようなことになってしまって、地域農業の姿が、准組合員と組合の関係とかが全部崩れてきてしまうことになりかねないんじゃない か。
 そういう点で、業務監査がそういうふうに変わると、地域農業において相当ゆがみが生じる可能性が私は高いんじゃないかな。実は、そのことは地域農業を発 展させるために、よりよい経営ができるために、そして、組勘というのは、だめな経営を捨てて、いい経営の土地を回していくんだ、資源を回していくんだとい う建前で一応動いているんですけれども、どうもその建前がうまく実現できない方向に向かって機能してしまうことの方を私は恐れているというのが、今のとこ ろの感覚です。
 以上です。
○畠山委員 ありがとうございました。
 終わります。