○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 通告していないんですけれども、最初に奥原局長に、先ほど松木委員の質問でのやりとりについてちょっと伺いたいんですよ。
 ICAの問題について問われて、これは以前に、私もICAから政府のこの間の取り組み方について懸念が示されていないかということを質問し、たしか小泉 副大臣からの御答弁だったと思うんですが、第二原則、第四原則、第七原則と、一つ一つ丁寧に御答弁をいただいて、そういうことを踏まえているものだと思う んですが、先ほど局長の答弁は、ICAの原則というのはできる限り尊重して、拘束されるものではないんだと、答弁が後退しているような印象を受けたんです が、小泉副大臣が述べたように、そういうような国際的な懸念があることを一応踏まえて今回このようにやってきたんだということだったのではなかったんです か。何でこのような、後退するような答弁をするんですか。
○奥原政府参考人 特に後退をしているつもりはございませんけれども、事柄の性格を先ほど申し上げたつもりでございます。
 それと、この協同組合原則をできる限り尊重するということも申し上げたつもりでございますので、小泉副大臣から御答弁いただきましたように、ICAの協 同組合原則、第二原則、特に第四原則、それから第七でしょうか、こういった項目に即しましていろいろな検討を我々もさせていただいておりますし、基本的 に、我々の解釈です。我々は有権解釈権を持っておりませんけれども、我々の理解としては、これに即した法改正になっているというふうに理解をしておりま す。
○畠山委員 できる限り尊重するとか、一般的な話じゃないわけですよ。ICAというのは、あのときの質問でも言いましたけれども、歴史をきちんと持って、国連に対して提言もできる、そういう機関からの懸念が示されたということを重く受けとめてほしいという質問をしたはずです。
 改めて小泉副大臣があのような答弁をした重みをきちんと感じてほしいし、答弁の中身というのは、質問者だけでなく、委員会全員と国民が聞いているわけですから、改めてその点を指摘しておきたいというふうに思います。
 質問に入ります。
 本来、この間行ってきた農協法の質問の続きをしたいんですけれども、農業委員会法もまた、今回重要な改正の中身が含まれていると思います。
 そもそも農協法も農業委員会法も、そして農地法も重大な内容を含んでいるのに、三つ一遍に審議を進めるという点では、まだまだ質疑するべき内容が多くあるというふうに思っています。
 昨年の冬に私は当選して、半年間、こちらの農林水産委員会で、ずっと会議録も読んできましたし、規制改革会議にさかのぼって、さまざま読んでもきました。その最初の方に、農地や農業委員会のことを出発点とする議論となっていることを記憶しているんですね。
 ですから、この農業委員会法の改正というものも、やはり重大な中身を持って、議論するべきだというふうに思うんです。
 一つ一つ確認していきます。
 重要な論点の一つに、公選制から市町村長の選任制にすることと委員数の削減があります。
 まず、現状を確認します。
 現在の農業委員のうちの選挙委員は、専業農家、第一種兼業農家、それから第二種の兼業農家でそれぞれ何%を占めていますか。
○奥原政府参考人 全国の農業委員会の委員の総数でございますが、平成二十五年十月一日現在で三万五千五百十四人でございます。この中で、選挙委員の総数が二万六千六百五十六人、農業委員の総数の七五%を占めております。
 この選挙委員の内訳でございますが、専業農家の全国の総数が一万四千四百二十一人で五四%、それから第一種兼業農家の全国の総数が三千六百七十人で一四%、それから第二種兼業農家の全国の総数が七千六百四十六人で二九%となっております。
○畠山委員 第一種、第二種の兼業農家を合わせて約四割いて、これは先ほども御答弁がありましたけれども、それが農業委員会の活動にかなり影響を与えているというふうに政府が問題視をしてきたわけです。
 五月二十一日の本委員会の政府答弁で、農地の利用集積や、耕作放棄地が発生しないよう点検するためには、農業で本当に生活をしている方々というふうに局 長は答弁されているんですけれども、そういう表現で、この方々を中心に運営することがポイントで、その一つの代表として認定農業者を考えていると述べまし た。
 認定農業者を改めて確認します。
 認定農業者とは、農業経営基盤強化促進法に基づいて、市町村が策定する基本構想の目標を目指して農業者が策定した農業経営改善計画を認定するものである、間違いないですね。
○奥原政府参考人 御指摘のとおりだと思います。
○畠山委員 それでは、もう一つ伺います。
 今言ったことが認定農業者ということなんですけれども、それ以外に、認定される要件として、それでは、専業なのか兼業なのかは問われますか。
○奥原政府参考人 ちょっと質問の通告を受けておりませんので、正確に記憶しておりませんけれども、基本的には、基盤強化法に基づきまして 自分の経営の五年間の経営改善計画をつくっていただいて、これが市町村の基本構想に基本的に合っている、そういうものを認定して、いろいろな支援をしてい くというのがこの認定農家の制度でございますので、そのときに、専業、兼業という区分は特別設けていないというふうに私は思っております。
○畠山委員 今答弁のように、専業、兼業は問われないわけですよ。ちゃんと農水省の資料でも、年齢、性別や専業、兼業の別などを問わないで、今言ったような計画で認定されているというふうに書かれている。
 そうであるなら、兼業農家の多いことが問題だと言うけれども、認定農業者が兼業でふえていくということもあるわけで、認定農業者がふえれば解決するという理屈はおかしいんじゃないですか。
 もっとおかしいのは、新たな農業委員の被選挙権の問題です。重要な問題ですので、これは大臣に伺います。
 現行法では、区域内に住所を有することや耕作の業務を営むなどの被選挙要件があります。しかし、改正案では書かれていません。区域外からも、場合によっては国外からも入れるということになるんじゃないでしょうか。
 この点を私は本会議で質問したんですが、そのときの総理の答弁でも、適切な人物が確実に就任するようにするというだけで、何の答弁にもなっていません。
 なぜ、こういう住所や耕作するという要件をなくすのか。区域外で経営する人でも法人でも企業でも、例えば事業拡大の意図で、農業委員としても入ってこられるということになるんじゃありませんか。この問題をどう考えますか。
○林国務大臣 改正後の農業委員会法第九条で、選任制になりますので、市町村長が選任をすることになるわけですが、あらかじめ地域から推薦 を求めもしくは募集を行うということ、そして推薦を受けた者や募集に応募した者に関する情報を整理、公表する、その上で、その結果を尊重して委員を任命し なければならない、こういうふうになっております。
 市町村長の選任制に変更しても、農業委員が地域の代表としての側面を持っておるということ、そしてその活動で地域の特性や地元の事情を適切に反映していくことは、改正後の九条で担保されるもの、こういうふうに考えております。
○畠山委員 それでは否定していないというふうに受けとめますよ。できるということではないですか。そういう、今私が懸念するようなことが起こらないかと。
 区域内に住所を有することや耕作の業務を営むという現行の規定があるから、今、地域の代表者としての信頼が生まれているはずです。私がきのう行った地方 公聴会でも、農地を動かすためには顔の見える信頼と信任が大事だという意見がありました。その最良の手段が選挙だというふうに思うんです。だから、地域に 根差して農業委員は働けるということではありませんか。
 政府は、この公選制をやめる理由に、選挙になっていないとか名誉職化しているとかなどなど言うけれども、最初に答弁してもらいましたが、現実は、選挙委 員のうちでも、専業農家だけでも五四%、第一種、第二種兼業農家を合わせて四割といいますけれども、第一種兼業も専業農家と合わせれば約七割になっていく わけです。政府が言うような農業で本当に生活をしている方々がこのように多数を占める結果と今なっている。公選制をやめる理由には私は思えないんですよ。 なぜこれで公選制をやめる理由と言えるのか。
 改正案は、公選制をやめて市町村長による任命制にするとあります。地域推薦や公募を尊重することとしています。公募となれば、特定の地域や団体の利害を 代弁する人が出ることもあり得ます。また、今まで、選挙ですから公職選挙法で準拠してやっていたわけでして、この公選制をやめれば、地域の推薦をかち取る ための、例えば買収だとか供応が出たときにどうするのか。公職選挙法で対応できない。それでも、地域で選んだからといって、これでいいんですというふうに 政府として見過ごすことになるんですか。いかがですか。
○奥原政府参考人 地方の独立行政委員会というものはいろいろございますけれども、現在の状態では、選挙制をとっているのはこの農業委員会 と海区の漁業調整委員会の二つでございます。ほかは全て首長の選任制をとっておりまして、これが特に不公正に行われている認識は我々は持っておりません。
 今回の選挙制から選任制への変更に際しまして、先生からも御指摘いただいておりますが、地域からの推薦をしたり、それから、それぞれ農家の方が公募に手 を挙げていただく仕組みを入れております。それも、単に手を挙げておしまいではなくて、誰が推薦されたか、誰が公募で手を挙げたか、きちんとガラス張りに してその地域の方々に見えるようにする、その上で、その推薦なり公募の結果を尊重して市町村長が選任をする、そこまで手続をこの法律の中に書き込んでおる ところでございます。ここをやることによって、より適切な選任が得られるのではないかというふうに我々は思っているところでございます。
○畠山委員 私は、公選制が必要だと言ったのは、きのう地方公聴会をされた地域の方の言葉をそのまま用いましたけれども、農地を動かすため には顔の見える信頼と信任が大事だ、それとして公選制の役割があったんだということを述べているわけですよ。ほかが選任制でやっているから農業委員会も選 任制にするんだみたいな、そんなことではやはりだめなわけですよ。
 それで、不公正と思っていないと言うけれども、なぜ公選制にしてきたのか、そしてその結果、今農業委員がどのような役割を果たせているのかということが基本ではないかと思いますよ。
 ガラス張りにして見えるようにすると言うけれども、それでは、具体的に公募や推薦があった人のいろいろな情報をずらっと並べて、何か報告書みたいにして全部の農家に配るようなやり方でもするんですか。ガラス張りにするというのはどういうふうにやるんですか。
○奥原政府参考人 手続の細部まで決めているわけではありませんが、推薦をされた方、それから公募で手を挙げられた方、この方々が一体どう いう農業経営をやっていらっしゃるかとか、農業委員あるいは推進委員になったときにどういう方針で仕事をされたいかとか、そういったことはきちんと整理を して、皆さんが見られるような形にはしなければいけないと思っております。
○畠山委員 余りにもちょっと、これから決めていくようなことばかりが、先ほどからも省令で決めるようなことがあっていいのかと思いますよ。
 先ほどありましたけれども、地域に住所がない人も選ぶことができる、買収や供応も禁止できない、あるいは特定の地域や団体の利害も排除できないかもしれないし、参入企業の比率を高めることも可能にもなる、そういったことに狙いがあることになっちゃうんじゃないんですか。
 繰り返しますけれども、農業委員は地域農業者から選挙で信任を得たから農地に責任を負うことができました。地域と結びつきが弱まるような農業委員会でい いのか。農地の管理や集積に本当に地域で責任を果たしてもらうのなら、公選制を維持すべきであることを主張しておきます。
 通告では最適化推進委員のことも聞くことにしていましたが、飛ばします。
 先に、建議の問題を伺います。
 建議について、削除する理由が、これまで政府は、一言で縮めて言えば、主たる業務に専念してもらうということを言ってきました。これは、農地の集積など 実務的な業務を中心にしろという意味というふうに受けとめます。でも、これでは、建議や意見表明というのは何か副業にすると言っているようなものではない かというふうに私は受けとめるんですね。
 まず、大臣に認識を伺います。
 全国農業会議所のホームページがあります。この中で、「真に農業者や地域の農業の立場にたって、その進むべき方向とこれを実現するための政策のあり方を 明らかにしていくことは、農業者の代表として選ばれた農業委員で構成される農業委員会の極めて大事な役割」と建議について述べています。
 現行法において建議が認められているというのは、このような全国農業会議所で述べているような理由によるものと確認してよろしいですね。
○林国務大臣 現行法は今お読みになっていただいたような規定でございますが、削除の理由というお尋ねでございますので、まさに今委員がお 触れになっていただいたように、主たる任務として、担い手への農地利用の集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、解消、こういった現場の実務でございます が、今、耕作放棄地が拡大をしておりまして、必ずしも十分に機能していない面があるわけでございます。したがって、意見公表や建議というものは、法的根拠 がなくても当然できるわけでございます。
 したがって、先ほど申し上げました農地利用の最適化の推進業務に集中して取り組むことができるようにするために、法的根拠がなくても行える意見公表や建議というものは、法令業務から削除をさせていただいた、こういうことでございます。
 改正案の中で、農地に関する施策についてですが、農業委員会がその所掌事務の遂行を通じて得た知見につき、必要があると認めるときは、関係行政機関に対 して、農地等の利用の最適化の推進に関する施策についての具体的な改善意見を提出する義務を課すということにしておりますし、それから、改善意見を提出さ れた関係行政機関の方は、その意見を考慮しなければならない、三十八条でそういう規定を置いておるところでございます。
○畠山委員 第三十八条のことを今大臣は先に述べられましたけれども、答弁されたように、これにおいては、農地等の利用の最適化の推進に関する施策についての建議というふうになっているわけですよ。農業政策全般ではないんですよね。
 だから、法的根拠がなくてもできるとか、あるいは、レクなんかでもそうですけれども、これまでの意見公表の機能は確保されるとか言うけれども、全然確保されていない。今言ったように、農地等の利用の最適化の推進に関する施策と限定されているんです。
 先ほどホームページからの引用を紹介しましたけれども、農業者や地域の農業の立場に立って政策に反映させるという建議の性格が変わるんですよ。先ほど紹 介した全国農業会議所のホームページとあわせて、この建議について、農業者の公的代表機関としての性格を前面に押し出したものとしています。
 大臣に、再度伺います。
 改正案では、私が今述べたように、政策への反映としての意見公表は限定されるわけです。それでは、意見表明というのは何か副業扱いなのかと私が最初に疑問を述べたのは、ここに根拠があります。
 公的代表機関とこのホームページで言っているような全国農業会議所の立場はもう認めません、限定された意見しか聞きませんということなんですか。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、三十八条では、むしろ、農地の利用の最適化の推進に関する施策についての具体的な改善意見は、これは提出する義務があるということでございます。
 それをもって、それ以外に関することを公表もしくは建議してはならないということはどこにも書いてございませんので、当然、法令業務の中から削除をした としても、意見公表などは自由に行うことはできる、こういうふうに申し上げたところでございまして、農業会議の方のホームページですか、今御引用なさった ような観点からいろいろな意見公表や政策提言をされるというのは今後もやっていただける、こういうことだと思います。
○畠山委員 自由と民主主義の国日本なわけですから、意見表明を自由にできるということは当然なわけです。
 私が問題にしているのは、行政庁の農業施策に反映させるための手法が限定されたということではないかという問いです。
 それなら、角度を変えて質問します。
 二〇一四年二月三日の規制改革会議第八回農業ワーキング・グループでは、農地転用許可などの行政的な側面が農業委員会にあるのと、農業者の自治として意 見を述べる側面との二面性がある、このことについて次のような意見が出されています。このように農業委員会に両側面あることがいろいろ少し弊害を生んでい るというようなことから議論が進められているのが、このときのワーキンググループの議論なんです。
 大臣も、農業委員会にこのような二つの側面はあると思いますけれども、このように両側面あることで弊害を生んできたという認識はありますか。これまで建議をこうやって認めてきたことによって、何か弊害でもあったんでしょうか。
○林国務大臣 今のところは御通告がございませんでしたので、規制改革会議で多分お読みになったような議論がなされたんだろう、そういうふうに拝聴いたしました。
 我々が今御説明しているのは、市町村の独立行政委員会たる農業委員会の主たる任務としては、担い手への農地利用の集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、 解消、こういうことが主たる任務である、こういうふうに御説明をしておるわけでございまして、これに集中して取り組むことができるように、法的な根拠がな くても行えるところは法令業務からは削除をする、そういうふうに申し上げているところでございます。
○畠山委員 この建議が外されるということは、後でもう一度振りますけれども、農業委員会としての性格を変えていくことにつながっていくというふうに私は思います。
 農業委員会だって、もちろんこれまで好き勝手なことを言ってきたわけではありません。建議の中身が政府に厳しいことがあったとしても、それは地域の実態 を踏まえて出されてきた意見なわけです。きちんと踏まえて施策に反映させていくということが当たり前であって、私は、この建議の問題というものについて、 全面的に、これまでどおり残しておく必要があるということを指摘しておきます。
 次に、ずっと読んできて、私はわからないことや疑問のものがたくさんあるんですけれども、情報開示にかかわって、いろいろなところで条文があります。
 まず確認だけをしていきたいと思います。
 第五十二条では、ネットワーク機構の情報提供についての定めがあります。その第一項に、農業経営を営み、または営もうとする者の求めに応じ、情報の提供を行うことができるというふうにあります。
 今、農地ナビが運用されていて、農外から参入する方や法人に対して、かなりの農地の情報は入手できるというふうに思います。
 この第一項で言っている中身というのは、農地ナビ以上のものも提供できるということになるんでしょうか。局長、お答えください。
○奥原政府参考人 基本的に、この第五十二条第一項で書いてございますのは、農地ナビの話を想定した規定でございます。
○畠山委員 農地ナビの範囲内ということで確認します。
 ただ、問題は、農地ナビの範囲内というふうに出す方は考えるんですけれども、第五十二条だけでは、求めに応じて情報を提供しなければならないとしか書い ていないんですね。つまり、いろいろなことをとにかくじゃんじゃん聞かれて、しかし農地ナビの範囲内におさめなきゃいけないということであるならば、どこ かで何か条項に担保しなければいけないのではないかと思いますが、それはどのように考えますか。
○奥原政府参考人 農業委員会のネットワーク機構の仕事ということになりますので、ネットワーク機構については、いろいろな条文がございま して、特に、業務をやる場合について、業務規程というものをつくって、これは、県のネットワーク機構であれば県知事、それから全国のネットワーク機構であ れば農林水産大臣の認可を受けるということになっております。こういったところで、そこについてはきちんとコントロールをしたいというふうに考えておりま す。
○畠山委員 今の答弁の内容で確認しておきたいと思います。
 それでは、情報と秘密にかかわって、どうしてもよくわからないのが、ずっと条文を読む中に、第十四条で、農業委員の秘密保持義務規定が新設されるんです ね。この秘密保持義務規定は、農業委員だけでなく、最適化推進やネットワーク機構などにも課せられる同じ規定があります。
 今回、なぜ新設したのか、また、この場合の秘密というのは何を指すのでしょうか。
○奥原政府参考人 まず、農業委員の方でございますが、これは特別職の地方公務員ということになります。したがいまして、地方公務員法の対象外ということになりますので、地方公務員法第三十四条に書いてある守秘義務がかからないということにまず法的になります。
 そこで、今般の改正では、近年、個人情報の保護の必要性が相当高まっておりますし、特に、農業者の多様化が進む中で、農業委員会がいろいろな相談を受け た場合に、相談者の個人情報ですとか企業の経営に関する秘密、こういったものについて慎重な取り扱いを行う必要が生じてきていることもございます。
 それから、一昨年の農地法の改正、これは農地の中間管理機構のときの改正でございますけれども、これによりまして、先ほど御指摘いただきました農地台帳 ですが、農業委員会にその作成が義務づけられました。今回、農地ナビでもって、個人情報は除いておりますけれども、インターネットで情報を見ることができ るというふうになっているところでございます。
 こういったことも考慮いたしまして、地方公務員法では守秘義務がかからない農業委員につきましても、法律の中できちんと秘密保持義務を課して、情報管理をすることが適当であるというふうに判断したものでございます。
○畠山委員 今までも、もちろん個人情報に農業委員の皆さんは触れることがあったはずなんですよね。いろいろ知り得ていたというふうに思う わけです。それでも、きちんと個人情報は守られていたのではないのか。わざわざ法律に書かなくとも、地域の農業者により選挙で選ばれた地域の代表としての 自覚や責任があるから、個人情報を含めた農地情報はきちんとこれまでも管理されてきたというふうに思うんです。いわば、公選制が秘密保持の担保として働い てきたのではないかというふうに思います。
 しかし、今回、改正案では、公選制を変える。委員の要件も変える。先ほど指摘したように、いろいろな人が委員になるかもしれない。秘密保持義務規定を置 くことで、図らずも、信頼や責任を負えるかわからない人が委員に選ばれるおそれがあることを証明したのではないかというふうにも思うんですが、そういう想 定を含めてこの規定を新設したんですか、どうなんですか。
○奥原政府参考人 法案をつくるに際しましては、政府の中で、内閣法制局を含めて、相当議論をしてつくってきておりますけれども、この秘密保持義務に関しまして、公選制との関係で議論をしたことは一度もございません。
 従来書いてございませんでしたけれども、これだけ個人情報の保護が非常に重要な課題になっているときに、やはりこれは書いておかなければいけない、そういう整理をしたということでございます。
○畠山委員 農地の個人情報は、今になって初めて農業委員が触れているものではないはずです。法律に書かれなくても、地域の代表としての自覚で自律的に守ってこられたというふうに思います。
 新しい委員の要件で、農業に関する識見を有する人というふうにしていますよね。それでは秘密を守るのに不安だということになるのであれば、どれほどの識 見かということになるわけです。そもそも、要件の変更が生み出した問題ではないかというふうに私は思います。考え直すべきことを求めます。
 時間が迫っていますので、農業委員会法の第一条について、先に進めます。
 きょうは、農業委員の公選制、委員の要件変更、飛ばしましたけれども最適化推進委員、それから建議権の削除などなど、個別に見てもさまざまな重要な変更 があって、それが総じて農業委員会の性格を変えることになるというふうに思います。そもそも目的を定めた第一条を変えることに問題がある、ここが大問題だ と思います。
 それで、現行法について、農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与するため、農業委員会などについて定めることを目的とし ています。改正案では、きょう議論はされましたけれども、農民の地位の向上に寄与するという規定がなくなります。それに対しての政府の答弁は、戦後、そし て今現在との状況が異なるということが出発点のような答弁をしました。
 ただ、当時、法の制定時と現状が異なるという説明だけでは、わざわざ目的を変える理由にはならないんじゃないかと私は思うんですね。
 農業委員会は、農地転用の許認可だけが仕事ではなく、これは午前中の答弁でもあったと思うんですけれども、人と農地をきちんと守っていくという、人とい う言葉を局長は答弁されたと思うんです。農民という人の暮らしを支える仕事も農業委員は行ってきた、それが農業生産力においても重要な意味がある、これが 現行法の目的の当初のことだというふうに思うんです。それが今でも生きているはずです。
 例えば、きょう、パンフレットを持ってきましたが、これは、二〇一三年度の「「家族経営協定」のすすめ」というパンフレットです。農水省の男女共同参画 加速化事業で推進協議会が編集、発行をしたものです。家族経営において、家族一人一人の役割や就業環境について家族で話し合い、協定を結ぼうという呼びか けのパンフレットです。
 この協定を結ぶところが年々増加していますし、ページを開くと、家族経営協定を結ぶとこんな効果があるということで、経営理念などを家族みんなで共有で きるようになり、家族全員の経営意識が向上したとか、結束が強まったとか、経営の合理化が進んだなど、よいこと尽くしに書かれているわけです。
 こういう事業にかかわって、農業委員はどのような役割を果たしていると認識していますか。
○奥原政府参考人 ちょっと通告がございませんでしたので、詳しく担当からまだ聞いておりませんけれども、農業委員の方々は、やはり地域の中で農家に働きかけて、この家族経営協定を結ぼうという働きかけは相当されているんじゃないかなというふうには思っております。
○畠山委員 局長が、人と農地を守るために農業委員の役割はあるんだと答弁されたように、これ自身も、家族、人を守るための、あるいは発展させていくための重要な協定をつくる作業として、農業委員が役割を果たしているわけです。
 この家族経営協定を結ぶ手順の中に、普及指導センターや農業委員会などの指導機関からの意見も聞いてみましょうとか、協定を結ぶときは、家族員だけでな く、そのような指導機関の立ち会いがあるとさらに確かなものがありますということで、農業委員会は、農地の許認可だけでなく、このように、家族経営をさら によりよくしていくものも含めた役割を十分に果たしてきている、これが現状の仕事の中身の一つだと思うんですね。これは、現行第一条の精神で、農家の暮ら しと経営の改善に深くかかわってこられた、これが農業委員の中身だ、本旨だというふうに思います。
 今回は、その目的が変わる。人と農地と言っていたものを、農地の方に重きを置いて、このような家族や農民、人というところにかかわる役割はもうしないと いうことにならないのか。定数が減らされるということになって、こういうような仕事というのは一体誰がやるのか、推進委員がやるんですか、どうするんです か。こういうような事業ということも含めて、農業委員の中身というのは検討されているんでしょうか。
○奥原政府参考人 今回の農業委員会法第一条の改正ですけれども、主眼が、農民の地位の向上に寄与するというのを落とすことにあるわけではございません。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今回の改正の中で、これまでの都道府県農業会議、それから全国農業会議所、これがそれぞれ農業委員会ネット ワーク機構に変わるという制度変更がございます。目的の中には、この県の農業会議と全国農業会議所が書いてございますので、ここはもう書きかえざるを得な いということで、この目的の部分の見直し、検討をした、こういうことでございます。それがなければ、この一条について、特に変えるという必要は生じなかっ たというふうに我々は考えておりますので、基本的に、従来やっていた、そこの部分の仕事が変わるというふうに我々は考えておりません。
○畠山委員 ちょっとよく理解できないんですけれども、同じような答弁が午前中もあったかと思いますが、つまり、組織を変えるから目的を変 えたということになるんですか。普通、目的がこのような、中身を変えるがゆえにこう組織を変えましょうとか、そういうことではなく、今言ったような話をも う一度。
○林国務大臣 一条の古い方と新しい方を比べていただきますと、現行の方は、農業委員会、都道府県農業会議及び全国農業会議所について、そ の組織及び運営を定めること云々、ここが今回の法律で新しい組織、農業委員会ネットワーク機構というふうに変わりますので、ここは変えなきゃいけないわけ ですね。したがって、この一条の所要の改正をしたということでございます。
 当然、そのときに、その全体についての書きぶりを、いわば現代的なものに見直すということで、農民の地位向上という言葉は、昭和二十六年にこの法律が制 定された終戦後の間もない時期でありまして、地主が小作人を一方的に搾取する関係にあった農村の、民主化とか機械化等による農業生産力の発展を図っていく 必要性が高かった、こういうこともあって、農民の地位の向上、こういうことが目的規定になったわけでございますが、近年は、この昭和二十六年当時とは大き く変化をしておりまして、地主が小作人を一方的に搾取するというようなことはないわけでございまして、現在も変わらぬ課題である農業の健全な発展というこ とをそこに規定させていただいたわけでございます。
 当然、農業の健全な発展をするに当たっては、今委員がおっしゃったような、その主体である農家の皆さんがしっかりといろいろなサポートを受けてやっていくということは、当然このことの前提になるというふうに考えております。
○畠山委員 きょうも、午前中議論がありましたけれども、小作農の話云々かんぬんはもちろん承知はしていますけれども、さまざまな産業があ る中で、農家の方々がきちんと安定した手取りを確保できる、安心して生活できるということが目的として書かれている中身だったんじゃないんですか。この第 一条の目的が変わることによって、逆の話も先ほどしていましたけれども、所掌事務も変わるし、建議についても、先ほど言った限定もかかわってくるというふ うに思うわけですよ。
 こういう農業委員会が、いわば農地流動化の事務的な団体に矮小化されるんではないのか。政府の言う、担い手と参入企業への農地集積を進めるだけの機関に変質することになるんじゃないかというふうに指摘をしておきます。
 最後に、時間がありませんので、農地法について一つだけ大臣に伺います。
 規制改革会議では、農地法も第一条の目的規定から変えることが議論されています。現行第一条の結論を読むと、「もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。」とあります。ただ、今回はこの第一条は改正されません。
 この第一条は変える必要はないということを確認していいですね。そのような認識でいいですね。
○林国務大臣 そのまま御提案をしているということは、今変えるということではない、そういう御提案でございます。
○畠山委員 確認しました。
 農地法もこのようにまだ議論を始めたばかりですし、最初に述べたように、農協法についてはまだ質問すべきことがあるというふうに思っています。
 引き続き審議をすることを改めて私から強調し、質問を終わります。