○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 短時間ですので、早速、本題の質問に入ります。
 初めに、改めて総理の基本的認識を確認します。
 全中、県中、単協など農協系統が日本の農業においてこれまで果たしてきた役割について、まず、首相はどのように認識しているかを伺います。
○安倍内閣総理大臣 我が国には、自立自助を基本として、誰かが困っていればみんながお互いに助け合っていくという共助の精神が生きている、こう思います。
 農協は、こうした助け合いの理念のもとに設立をされました農業者の協同組合であり、昭和二十二年に農協法が制定されて以降、小規模で多数の農業者が共同して事業を行うことにより、農産物の流通や生産資材の供給などにおいて大きな役割を果たしてきたと思います。
 また、全中及び県中の根拠となる中央会制度は、昭和二十九年に、経営的に困難な状況にあった農協組織の再建を目的に導入をされました。当時一万を超えていた農協は、合併の促進等によって約七百に集約をされ、地域農協の経営基盤の強化に成果を上げたと考えています。
 このように、中央会制度は、それぞれの地域農協が自立できる環境を整備することに貢献してきたものと考えております。
○畠山委員 今、農業者の協同組織として大きな役割を果たしてきたということを答弁されたことをまず確認いたします。
 そこで、総理は、この農協改革の目的について、強い農業をつくるための改革、また、農家の所得をふやすための改革と述べてきました。
 しかし、先ほど委員からも出ているように、本委員会の参考人質疑や地方公聴会では、JA中央会や単協の総合農協としての役割や必要性が語られてきたわけ です。先ほど総理が述べたように、役割をきちんと果たしてきたんだと。また、農業委員会の公選制の廃止や農業生産法人の要件緩和に対するさまざまな不安も 語られました。この改革が農家の所得向上にどう結びつくのかわからないといった声も出されました。
 今回のこの審議を通じて、現場の農業者が望んでいる改革ではないという思いが強まったというのが私の実感です。
 そこで、もう中身については先ほどから総理が答弁していますけれども、私が聞きたいのは、総理は現場の農業者の理解が得られていると考えますか。
○安倍内閣総理大臣 これまで、政府や自民党の検討の場では、地域農協を初めとするJAグループの関係者のみならず、東北の米生産農家、九 州の露地野菜中心の法人、都市近郊の畜産経営体など多様な農業者からヒアリングを行ってまいりました。本年二月には、最終的にJAグループの合意を得て改 革の骨格を取りまとめたわけでございます。また、この四月には、JAグループの皆さんとお会いをし、同じ方向を向いて改革を進めていくことを確認したとこ ろであります。
 当初は、例えば自民党の部会においても、そこに出席をしてきた農協を含め、農業関係者あるいは議員の皆さんからも、ほとんどは反対の意見でございまし た。その中において、お互いに議論を深めていく中においては、最終的に、今申し上げましたように、農協の皆さんにも、多くの生産農家の皆さんにも、あるい は農業を専門的に取り組んできた多くの議員の皆様からも賛成をいただく中において今回の法改正は行われた、このように認識をしております。
○畠山委員 いや、それなら、先ほども資料でありましたけれども、この間の地方公聴会などでは、いまだに疑念や不安の声が多く出されているわけですよ。
 例えば、八日の山梨会場の地方公聴会で、法人化されて自社直売なども進めている方が、農業改革、何度も申しますが、実際の農業者が全く論外になっているのではないかというふうに思っているところも多くございますと述べています。これが実感だと私は思うんですよ。
 それでは、何で論外という言葉が出てくるのか。私は、今回の法改正は、先ほど総理も述べられましたけれども、規制改革会議だとか産業競争力会議だとかか らの議論が出発点となって、企業の農業参入に邪魔な規制をなくそうということが出発点だったからではないかと私は思っているんです。
 例えば、農業生産法人の出資要件の緩和についても、農外からの出資要件を二分の一未満、半分ぎりぎりまで改正案では認めることとしています。
 それで、総理が議長を務める国家戦略特区の諮問会議では、昨年来、企業の農地所有解禁が挙げられて、二〇一五年までの集中取り組み期間に特区でこれを実 現しようとしています。特区で突破口を開いて、全国展開のために法改正で進めていく、押しつける。総理が議長となるこの会議から、いわば官邸主導のような やり方で、現場の農業者の理解が得られないということになるのは私は当然だと思うんです。
 また、改革の狙いの一つに、TPP反対の運動の封じ込めではないかというようなことも、これは三月五日付農業新聞でも指摘している学者もいらっしゃるわけです。そういう目が向けられている。
 総理、今生産者が望んでいるのは何か。昨年、米価が大幅に下がりました。参考人質疑でも、七千円から八千円の水準では赤字だ、米をつくっている専業農家、大規模農家こそどんどんやめていくという危惧が示されたんですよ。一番の要求は、価格の安定で、所得の保障です。
 それなのに、昨年、交付金の削減があって、減反廃止への不安もあるし、そして、TPP交渉で、国会決議がありながら、米についての新たな輸入枠や牛肉、豚肉の関税引き下げなども報じられて、今が潮どきかと感じている農家もいるというふうに聞くんですよ。
 だから、農家の現状やこういう声を前にして、総理は、この改革が本当に農家のための改革と自信を持って言えるんですか、本当に農家の理解を得られると思っているんですか。もう一度答弁してください。
○安倍内閣総理大臣 今回の改革は、今委員がおっしゃったような目的では決してないわけでございまして、まさに先ほども申し上げたように、 今や農業者の平均年齢は六十六歳以上になろうとしているわけでございまして、このままでは大切な農業を守り抜くことはできないだろう、こう思うわけでござ います。そして、余り時間がないわけでありますから、ですから、我々は、全面的な改革を今こそ行わなければならない、こう決断をしたわけでございます。
 その中において、まさに農業者の皆さんの創意工夫が生かされ、自由に能力が生かされていくような、そういう環境をつくっていく、ブランドをつくってい く、あるいは海外に展開をしていく、そういうことについて、担い手とあるいはまた地域の農協が一緒になって取り組んでいく、そういう農業に変えていきた い、こう考えているわけでございまして、その中におきましては、今回の改革が必要であろう、こう思っているところでございます。
○畠山委員 それで、繰り返しになりますけれども、先ほど言ったように、今農家が求めているのは価格の安定です。再生産可能な経営をきちん とやれるようにしてほしいというところで、それが今回の農協改革とどう結びつくのか、先ほどからあるように、ずっと、わからないという声が出てきているん ですよ。
 総理は、二月二十五日の予算委員会で、私の質問に、家族経営を大事にしてきたのは自民党という自負があるという答弁をされました。その家族経営というのは、総合農協のもとで支えられてきたんじゃないんでしょうか。
 先ほど、冒頭に総理も答弁されたように、農業者の協同組織として農協は大きな役割を果たしてきたというふうに認めておられます。そして、今回の改革が一 体本当に農業者のためになるのかどうかというのは、まだみんなわからない。先ほどからあったように、これでいいのかというさなかにあると思うんですね。
 そして、私が最後に述べたいのは、この農協改革を含む全般の農政にかかわって、二〇一三年七月十七日の国家戦略特区ワーキンググループでこんな議論がさ れています。「減反廃止が安倍さん流に言えば農業改革の一丁目一番地で、減反をなくして、例えば三年後、十年後に向けて価格は国内の需給で見ればこれぐら いになってくる、需給均衡で見ればこれぐらい下がるということがわかる。さあ、あなたは農家を続けますか、やめますかと。三年以内にやめるのだったら、あ る程度の退職金を出しますよという話。」だというような、そんな議論がされているんですよね。
 これは総理も同じ考えですか。こういうあけすけに、いずれ米価は下がるんだ、今のうちにやめれば退職金を出すようなものに乗っていくような話ですか。家 族経営をこれまで守ってきたんだということであるならば、こういうので一体どういうふうに家族経営を守るのか、最後に答弁してください。
○安倍内閣総理大臣 我々も、今おっしゃった米価についての価格安定についての対応というのは当然手当てをしているわけでございますが、私たちが進めている改革については、法人経営であれ家族経営であれ、幅広く我々は支援をしていくわけでございます。
 また、今回の農協改革では、地域農協が意欲ある担い手と力を合わせて創意工夫を発揮して、自由な経済活動を行うことによって、農産物の有利販売に全力投 球できるようにすることを基本的な考え方としておりまして、法人経営と家族経営の取り扱いについても何ら差を設けていないわけでございます。
 いずれにしても、こうした改革を通じて、法人経営、家族経営のいかんにかかわらず、農業の担い手が消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、農業の可能性は広がっていくと考えているわけでございます。
 最初御紹介をいただいたように、まさに日本の農業の主体というのは家族経営であったわけでございます。だんだん、この六十年の中におきまして、家族経営 をしようにも息子が後を継がない、娘が後を継がないという現状が今あるわけでございます。その中において、新たな担い手が登場してくる必要があるわけであ りますが、そういう新たな担い手の中におきましては、もちろん、家族で入ってくる、あるいはまた法人という形で入ってくる、そういう多様な担い手を私たち は必要としているし、そういう多様な担い手が登場してくることによって初めて農業は活性化していく、このように確信をしているところでございます。
○畠山委員 本改正は、家族経営を支えてきた総合農協の協同組合としての性格をゆがめて、全中監査の廃止や准組合員規制の検討など、農協の存立の根幹を崩す、農業組織の解体につながるようなものだというふうに思っています。
 当事者、全中の意見表明も聞けませんでした。きょうの審議でも、午前中からさまざまな問題点も明らかになって、さらなる審議が本来必要であるということを最後に表明しまして、私の質問を終わります。