○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 さきの連合審査のときにも要求をしましたが、臨時国会の開催の意義は消えていないと思います。重ねて要求をしたいと思います。
 きょうは、畜産、酪農を中心とした論議が行われて、私の方からも、これまで政府が酪農を初め農業全般について、TPPがあろうがなかろうが、日本の農業は危機的だということを述べてきました。
 そこで、きょうの審議の中で、二つのことを質問したいと思っています。一つは、日本の畜産、酪農が経営が苦しくなってきているのはなぜで、それではどうしたらいいのかということを検証したい、これが一つです。そして、もう一つがTPPにかかわってです。
 この十年間だけを見ますと、全国の乳用牛の飼養戸数は二万六千六百戸から約一万七千七百戸へ約八千九百戸が減少しました。肉用牛の方を見れば、同じく飼 養戸数は約八万五千六百戸から五万四千四百戸へ三万一千二百戸が減っています。北海道では毎年二百戸もの酪農家が離農、離脱してきたということは大臣も御 存じのとおりだと思います。
 そこで、農水省はことしの三月、新しい酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、酪肉近を発表しました。その第一の「近年の情勢の変化」の中で生産基盤が弱体化している三つの要素を挙げていますが、これを確認のために答弁してください。
○今城政府参考人 お答えいたします。
 本年三月に策定いたしましたいわゆる酪肉近におきましては、人、牛、飼料の視点から生産基盤を強化することが最優先の課題とされております。
 この中で、弱体化ということの三つの要因は、一つは人手不足ということでございまして、厳しい経営環境などを背景に、担い手の高齢化、後継者不足等により離農が増加し、酪農及び肉用牛飼養戸数は減少が続いている。
 二つ目、飼養頭数の減少。これにつきましては、飼養戸数の減少による飼養頭数の減少が規模の拡大では補い切れず、また、肉用牛資源の確保を優先し、乳用後継牛を確保、育成しない大規模経営も見られる、こういうこと。
 三点目が飼料価格の上昇でございます。これにつきましては、畜産経営は相当部分を輸入飼料に依存してきておりますけれども、アジア諸国等の人口の増加やバイオ燃料の利用拡大等を背景として、穀物価格は高水準で推移している、こういう三点でございます。
○畠山委員 今ありましたように、人、それから飼養頭数、そして餌、飼料の三つの点を確認します。
 その中で、きょうは私は飼養頭数の点から取り上げたいと思うんですね。人手不足についても、あるいは飼料不足からもそれぞれ政策のアプローチはあるかと思うんですが、きょうは飼養頭数のことから取り上げたい。
 この十年間で、戸数は、先ほど私が述べたように、減少もし、頭数も減少してきています。しかし、一戸当たりの飼養頭数は、乳用牛で六十一・五頭から七十七・五頭へ約一・三倍、そして肉用牛は三十二・二頭から四十五・八頭へ約一・四倍です。
 しかし、頭数がふえれば新たな問題が起きることをこの酪肉近でもきちんと書いていますよね。
 例えばこう書いています。「酪農経営においては、」「乳用牛飼養頭数が減少している。その背景としては、飼養規模の拡大に伴う大型施設の投資負担に加 え、飼料生産基盤や労働力が確保できないという実態がある。 規模の拡大に応じて深刻化する環境問題や、一頭ごとのきめ細かい飼養管理が難しくなるという 事情も聞かれる。」とあります。
 肉用牛は、加えて、この間、子牛価格の高騰が肥育経営を圧迫しています。
 そこで、解決するための方針として書かれているのが、「生産構造の転換等による規模拡大」とあります。そこに、生産を効率化するだとか分業化するだとかなどの省力化も書かれていますよね。
 そこで、純粋に疑問に思うんですが、規模を拡大することで本当に農家の経営基盤が強化されて、所得向上にどれだけ貢献しているのか、改めて確認して伺いたい。
○今城政府参考人 お答えいたします。
 規模を拡大するということになりますれば、やはりスケールメリットというのは出てまいりますので、外部労働力に依存するということの裏腹ですけれども、 家族労働費が減るとか、そういう面はありますけれども、ただ、規模拡大一辺倒だけではなく、やはり省力化ですとか、そういう問題をしっかり支援していくと いうことも大切だというふうに考えております。
○畠山委員 規模拡大一辺倒だけではないというふうに今話をされました。
 そうなんですね。規模拡大が行き過ぎたことであれば、先ほど酪肉近の文章を引用したように、大型設備の投資だとかさまざまな負担が生じることは今お認めになったと思うんです。つまり、行き過ぎれば経営を苦しめることになると思うんですね。
 では、実際に所得はどういうふうに考えたらいいかは、きょうは資料を提出していますので、その一枚目をごらんになってください。これは、農水省の資料をもとに、搾乳牛の頭数の規模別農業所得率を調査室で作成し、それを編集したものです。
 グラフを見れば、所得率が平均して高いのが三十から五十頭と五十から八十頭となっています。最近は率が上がっていますけれども、百頭以上というのは所得率が低い部類に入っています。
 以前に農水省がさまざまな資料も出していますが、頭数が八十以上など、多い方が所得率は低いという傾向があると思うんです。なぜか。先ほど引用したよう に、施設の大型化で投資の負担が大きくなったり、労働力の確保も大変だし、ふん尿処理の費用も対策も大変になる。加えて、飼料高騰などが重なれば規模が大 きいほど影響も大きくなる。
 もう一度伺います。規模拡大、行き過ぎたものでなく、農家の経営基盤を強化する上で検討をさらに深める必要がありませんか。
○今城政府参考人 お答えいたします。
 御提出いただいている資料、これは私どもの営農類型別経営統計をお使いになっておつくりになった資料というふうに理解しております。
 この中で、数字にございますように、いわゆる農業所得率ですね、農業粗収益を分母にし、農業所得を分子にし、その比率だけで見れば、百頭以上のところが 一二・七で低くなっており、八十から九十九ですとか五十から七十九のその上のところは一八%台で、それよりは高い。この率だけで見れば確かにそうでござい ます。
 ただ、ここの率ということに限れば、飼養規模の拡大によって生産コストが削減されるという事実は、やはり一般論としてございます。したがいまして、例え ば北海道の酪農経営における生産コストは、飼養頭数三十から四十九頭規模層では、同じ統計をもとに言えば、生産物である生乳一キログラム当たりは九十二・ 八円でございますが、これが百頭規模以上では七十九・八円。これは、一キログラムの生産にどれだけかかっているかということでは、百頭規模以上の方が低く なっているということになっております。
 したがいまして、規模が拡大すれば生乳一キログラム当たりで見た場合の設備投資に係る償却費用を含む物財費が増大する、これはおっしゃるとおりでござい ますけれども、一方、先ほど申し上げましたとおり、家族労働費が減少する結果として、所得率という先生がお示しになった数字自体は低下するものの、生乳一 キログラム当たりのコストそのものは減少するということになります。
 いずれにしましても、生産コストを下げるということをどう表現するかということではないかと考えております。
○畠山委員 所得率を上げるということが大事な議論で言っているわけですから、今のでは違うと思いますよ。
 それで、この間、さまざまな、経営基盤強化だとか経営支援の対策で畜産クラスターですとかやっていますけれども、その申し込みが多い背景ですとか、あるいは老朽施設の改築や効率化の必要性は私ももちろん理解はしています。
 しかし、経営基盤を強化するといったときに、所得を支える安定的な仕組みがどうしても大事で、それで、きょう、本来、加工用の補給金の制度で、そこに大きな意義があるというふうに思うんですよ。
 大規模な農家も、初めから大規模にしようと思っていた農家はそう多くなくて、農水省が言うような、頭数をふやして、あるいは施設も大きくした方がさまざまな効果もあるよということも受けて大きくしたところはあると思うんですよね。
 しかし、そうなれば、十年、二十年かけて負債を返すことになりますので、安定的な価格や所得がどうしても必要になるし、それは大規模だけでなく中小家族経営ももちろん一緒の願いであろうと思います。
 しかし、ことしは、先ほども議論がありましたが、子牛価格も高かったので、それで補給金を下げても大丈夫ではないかなどの報道や、さまざまな出どころもあります。
 これは大臣に伺います。
 今言ったように、補給金というのは、酪農家を大規模、家族経営ともども支えている重要な仕組みであることはもちろんですが、ことし、安心してさらにこう いう経営を続けていくためにも、私は補給金を下げるべきでない、絶対に引き下げないということを求めます。いかがでしょうか。
○森山国務大臣 畠山委員にお答えをいたします。
 加工原料乳の生産者補給金については、上げるとか下げるとかということを前提に金額を決めるわけではありません。先生御承知のとおり、ルールによって決めさせていただくということでございますので、ここはしっかり守らせていただきたいというふうに思っております。
 いろいろな対策も含めて、酪農家の皆さんが意欲を持って再生産に取り組んでいただけるようにするということは当然のことであろうと考えております。
○畠山委員 算定式のことについても含めて、少しそれで提案したいと思うんですよね。
 酪肉近の「まえがき」でも、「生産基盤の弱体化により、」中略ですが、「このような状態を放置すれば、今後の酪農及び肉用牛生産の持続的な発展に支障が生じかねない。」と書いています。農水省としても、生産基盤が崩壊寸前だという認識がありますよね。
 そこで、算定式はもちろん承知はしているんですが、酪農、畜産をどう支えるかという点では、私は維持が必要だと思っていますし、率直な議論をし合いたいと思っています。
 独立行政法人の農畜産業振興機構が出している年報畜産二〇一五というのをきょう私は持ってきたんですが、これを読んだんですよ。それで、外国の政策にも学び合いたいと思って、少し紹介します。
 例えば、豪州は一戸当たりの経産牛飼養頭数は二〇一四年で二百六十八頭、ニュージーランドは一戸当たり同じく四百十三頭。一頭当たりの乳量は、豪州で年 間五千四百六十七リットル、ニュージーランドでは四千百九十六リットルです。もちろん確かに大規模ですし、両国とも価格支持政策がないんですね。
 しかし、広大な草地での放牧中心ということでコストが安く済んでいるということでもあり、輸出産業としての強みがあるということは理解ができます。
 それで、この機構の年報畜産二〇一五は、それ以外にもEUですとか各国のものも載っています。
 EUでは、国によってばらつきはもちろんありますが、最大のデンマークで一戸当たり飼養頭数は、二〇一〇年ですが、百九頭。平均では十三・四頭。そし て、一頭当たりの乳量が、これは単位が違いますが、デンマークで八千六百六十キログラム。平均で六千五十七キログラムです。
 日本が今大体一頭当たり八千から九千程度だと思いますから、豪州やニュージーランドほどEUは農地が広くなく、日本に近い規模ということは言えるだろうと思います。
 そして、先ほど豪州やニュージーランドには価格支持政策はないと言いましたけれども、EUの価格や所得の下支えについてここに詳しく書いているんですね。
 バター及び脱脂粉乳の介入買い入れ、あるいは大幅な価格下落があった場合の民間在庫の補助、肉牛などは、繁殖雌牛奨励金、屠畜奨励金、雄牛や去勢牛を飼養する生産者への特別奨励金などなどの直接支払いが数多くあります。
 EUでも規模の拡大はもちろん進んでいますが、経営基盤を強化する独自の施策があります。ヨーロッパは、国民、消費者が自国の農産物を守り、食べるという風土があって、税金の投入にも寛容的といいますか国民的合意があるということは背景にはあろうかとは思います。
 しかし、そこで、日本はどうするかですが、酪肉近でも放牧の推進は掲げています。それ自体は必要なことかもと思います。しかし、豪州やニュージーランド に比べたら、北海道とはいえ農地は少ないわけで、コスト低減にも限界が生じると思います。そこで補給金の制度が、当初は不足払い制度としての意義を持っ て、家族経営はもちろん、大規模経営も支える役割を果たしてきたのではなかったのでしょうか。ここ一、二年は、業界の懸命の努力の反映がありまして乳価も よくて、そして補給金の支えもあって一息ついているというのが実態だと思うんですよね。
 そこで、大臣に伺います。
 もちろん、EUに全てをまねる必要はないとは思っています。しかし、本当に経営基盤を強化するのであるならば、今例で挙げたような価格や所得を支えてい くための仕組みの構築は必要ではないかと思うんです。その中に、補給金の算定式については、いろいろ変更などの議論も含めて、考える時期にあるのではない かというふうに思いますが、その検討について、大臣、どのようにお考えになりますか。
○森山国務大臣 酪農の施策というのは、それぞれの国の酪農の発展の歴史によって大きく違うんだろうなというふうに思っております。例え ば、飲用主体なのか、あるいは乳製品が主体なのかということもあるでしょうし、そこの国が輸入国であるのか輸出国であるのかということ等もあるのだろうと いうふうに思っております。
 日本においても、北海道と本州の方はまた少し違いますので、そういう意味では、加工原料乳補給金制度というのは、どちらかというと乳製品向けの生乳の主 産地である北海道と、飲用向けの生乳の主産地である都府県の特徴を維持しつつ、全国の生乳需給の安定と酪農経営の安定を図るという、我が国の実情に適した 制度であるということは、先生と私は意見が一致するのではないかなというふうに思います。
 ただ、いろいろな変化がありますので、補給金制度についてどう考えるかというのは少し勉強をさせていただきたいというふうに思っておりますし、TPP対 策におきましてもいろいろな対策を出してまいりましたし、生クリーム等についても対象にするということにいたしておりまして、これはいろいろなデータ等の 関係もありまして二十八年からは無理でございますので、何とか二十九年には間に合わせて仕組みをつくっていって、酪農家の皆さんが安心をして再生産に取り 組んでいただけるようなことを頑張っていかなきゃいけないな、こう考えております。
○畠山委員 TPPのことも含めて、とりわけ畜産、酪農にかかわる方々は非常に不安、心配をしていますし、本委員会も含めた議論を注視して いると思うんですよね。先ほど私述べましたけれども、この間、子牛の価格や業界の努力などで一息ついているという状況がありつつも、しかし、ここで下がっ ていったらどうなるかということの不安は、もちろん畑作にしてもお米をつくっている方もそうなんですが、さらに心配や不安の度合いも大きいだろうというふ うに思うんです。
 先日、調査で北海道の別海町へ行きました。この十年間で百五十六戸が離農したといいます。町は酪農研修牧場をつくって新規就農者を育てる努力をしてきていますが、年三から四戸のペースで、離農数に全然追いついていないというお話を伺いました。
 規模を拡大してきた農家も離農をされていますので、その後の農地をどう確保するかということでも苦労があるというお話だったんですね。適切な規模で適切 な経営が進められるには、価格の安定や所得の保障ということがどうしても必要になると思いますし、その意味では、今、補給金にかかわる新たな検討なども含 めて求めたいと思います。
 加えて、酪農、畜産だけではありませんが、団塊世代以上の方が多くて、間もなく年金をもらう年となれば、このTPPを機に離農を考えるという方もいらっしゃると聞きます。
 新規就農などの支援策や畜産クラスターを、規模拡大を要件としないで柔軟な対応をするということも重ねて要求したいと思います。
 それで、後半に、TPPのことにかかわって質問します。
 先日の連合審査で、私は、影響試算が出ていないもとで、何を根拠に対策と補正予算の検討をしたんですかと甘利大臣に質問しました。甘利大臣は、対策とい うよりは、いずれにしても待ったなしの必要な政策でありまして、いわゆる影響試算を前提にするものではないと答弁しました。政策大綱は影響試算を前提とし ていないと読める重要な答弁です。
 私がその後に、政策大綱の中にある「経営安定・安定供給のための備え(重要五品目関連)」のことについて、これはTPP前提でないのかと森山大臣に質問 したことに対して、大臣からは、米の備蓄やマルキン拡充はTPP協定の発効に合わせて措置することが適当と答弁されました。続けて、その後の答弁にも、 TPP協定の発効に合わせて措置する対策を明らかにすることは政府として当然のことと答えています。
 甘利大臣は、政策だから影響試算を前提としないと述べました。森山大臣の答弁を信じれば、対策ということであるならば、影響試算があるということになるのでしょうか。
 先ほどからの議論の中で、年内に出すということを内閣府は言っておりましたし、農水省もそれに合わせてということは先ほどの答弁にもありましたが、私が 前回に聞いたその質問で、大臣が何に基づいてそれでは対策を検討したのか、その影響試算というものがあるのかないのか、もう一度確認したい。
 影響試算をもとにして対策をしたということなんでしょうか。
○森山国務大臣 甘利大臣と私が申し上げていることにはそごはないのだろうと思っております。
 TPP大筋合意がなされましたので、どういう方向性になるなということはよくわかっているわけでございますから、農家の皆さんの、現場の皆さんの不安を 取り除くために、急いでやらなければならない経営安定対策というのはこういうものですよ、こういうことをしっかりやるんですということをお示しさせていた だいているわけでありますし、また、そのほかのことでも、どういうことをやるというのは、来年の秋までにも、またいろいろな議論をいただいて、決めさせて いただくということでございまして、二段階になっておりまして、当面、はっきりしていることは急いでやろう、こういうふうに御理解をいただければいいので はないかと考えております。
○畠山委員 二段階というのは、先ほど影響試算のことについて質問したときに、これからまだ数字が動いているような答弁と私は理解したんですけれども、それとは前の段階に数字が一定確定したものに基づいて対策というふうなことを考えたと理解していいんでしょうか。
○森山国務大臣 全ての数字がコンクリートされてから対策をやるということでは、やはり現場の皆さんの不安というのは募るだろうというふう に思いますので、方向性としてははっきりしているわけですから、それに対応できる対策というのは政策大綱に基づいて方針を決めさせていただいて、補正予算 で対応できるものはそれでしっかりやっていくことによって、現場の皆さんの不安というものを和らげることができるのではないか、そんな思いでおります。
○畠山委員 方向性で出したということであるならば、例えばマルキンについても、これは長年の関係する皆さんの要望が強く出されていたもの でしたよね。そうであるならば、政策大綱に書いているようなTPP発効に合わせてとせずに措置をするべきなのではないのでしょうか。大臣、いかがですか。
○森山国務大臣 そういう御意見もあることは承知をいたしておりますが、まだTPPが発効しているわけではありませんので、発効を待ってやるというのが方針でございますので、その方針にのっとってやらせていただきたいと考えております。
○畠山委員 繰り返しで申しわけありませんけれども、政策として、方向性として必要なことだと先ほど御答弁がありました。ということは、TPPであろうがなかろうが、これは必要なことだと私は思うんですよ。
 これまでこの委員会でも、酪農、畜産にかかわってはさまざまな議論があって、マルキンの必要性は、先ほど委員からありましたけれども、そもそも緊急のキ ンですから、それだけ求められてきた事業であるというならば、TPP発効を待たずして進めていく必要があると思いますが、もう一度答弁ください。
○森山国務大臣 今すぐ関税が下がるわけではありませんので、やはりTPPが発効した時点でしっかり対応ができる制度をつくっておくということが大事なことだというふうに思っておりますので、そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。
○畠山委員 ただ、影響試算などをもとにした対策ということの順番については、先ほど別の委員からも質問があったように、それでこそ対策の 本来の意義があると思うんです。それとは別に、大臣が先ほど話されたように、これまでに必要なことを合わせた方向性の趣旨として出されたものだというので あるならば、TPP発効を待たずして実施する必要があるということを重ねて要求したいと思います。
 それで、同じく先日の連合審査で、私は、TPPのテキストを甘利大臣は読んだんですかという質問をしたことに対し、内容については、それぞれ所管が英文 で全部読んでおります、所管ごとに概要の説明を私が受けておると答弁しました。甘利大臣に聞きたいことはあるんですが、きょうは森山大臣に伺います。
 確認ですけれども、森山大臣はTPPのテキストや交換文書はもちろん読まれていますね。
○森山国務大臣 一通り目を通しております。
○畠山委員 それでは、第二章の四条「関税の撤廃」と、十七条「物品の貿易に関する小委員会」については、これも御存じですね。
○森山国務大臣 承知をしているつもりでおります。
○畠山委員 今手元にないからすぐ出ないかと思いますが、それなら事務方でも結構ですが、この十七条の小委員会の機能について、アルファベット(a)、(b)、(c)とある(a)項で、何について協議すると書かれていますか。答えられる方はいますか。
○森山国務大臣 関税の撤廃時期の繰り上げについて協議をするという規定が二章の四条ではないかと思っております。それはどこでやるかとい うことが二章の十七条で、小委員会で取り扱うということにつながりますので、撤廃時期の繰り上げについて協議をするということがこの小委員会の役割ではな いかと理解しております。
○畠山委員 資料の二枚目を開いてごらんになってください。TPPはまだ正文の日本語訳がありませんので、私の事務所の責任のもとで翻訳したものが左側にあります。正文の翻訳がどうなるかわかりませんが、そういう趣旨のものと御理解ください。
 そこでは、今大臣が答弁されたように、四条の「関税の撤廃」は、3のところで、線を引いているところですが、「附属文書2D(関税撤廃)に記載された関 税撤廃時期の繰上げについて検討するため協議しなければならない。」同じく十七条の(a)は、「本協定の下での関税撤廃時期の繰上げについて、」「協議す ることなどを通じて、締約国間で物品に関する貿易を促進すること」とあります。
 この小委員会で、関税撤廃の品目はさまざま重要五品目の中を含めてありましたけれども、それらどの物品もここで協議される可能性は排除されていませんね。いかがでしょうか。
○森山国務大臣 この協議規定は、協議の対象は関税を撤廃する品目だけで、関税を撤廃しない品目は対象外であるというふうに理解をしております。また、協議が調わなければ約束内容の変更は必要がないという性格のものであると思います。
○畠山委員 もちろん、関税が撤廃時期のということになりますので、撤廃がなっているものの前倒しというか繰り上げ、英文ではアクセルレーティングと書いていたかと思うんですけれども、そういうことになろうかと思うんです。
 それで、協議が調わなければというふうに言いました。これは、これまでの日豪EPAですとか、さまざまな同じような議論が、EPA、FTAにも同じよう に小委員会の項目があるので、国会でも議論されていて、少し調べたんですけれども、今大臣がおっしゃったように、協議をしなければとか合意がなければしな いということは一貫した話にはなっているわけですよ。もちろん、それは合意しなければ話が進まないのは当然でして、本当に合意しないで頑張れるのかどうか ということが問われてくるわけです。
 ただ、今回のTPPの小委員会というのは、例えば日豪EPAなどと比べても、この関税撤廃時期の繰り上げについては表現が異なる、極めて機能が明確に書 かれた、目的のはっきりした小委員会だということを私はきょう取り上げたいんです。日豪EPA以上になっていると思います。
 先ほどの資料の右側に、日豪EPAに同じく関係する項目をそれぞれ並べました。日豪EPAは、外務省のホームページですから、確定している和文のテキストとなります。
 日豪EPAをごらんください。二十条の「市場アクセス及び競争力の保護に関する見直し」のところで、これも同じく線を引いている箇所の前後になります が、「当該見直しは、例えば、より迅速な関税の引下げ又は撤廃、」云々かんぬんとなり、「への対処等の措置を通じて、市場アクセスの条件を改善する観点か ら行われる。」日豪EPAについては、関税撤廃の時期の、ここは「迅速な」という表現にしていますけれども、これについては「例えば、」という例示扱いに なっているんですね。
 小委員会について、二十一条をごらんください。その(b)項では、線を引いているところです、「両締約国間の物品の貿易を促進すること」、これが小委員 会の任務として書かれています。その後の括弧書きで、「(この協定に基づく関税の更なる自由化及び関税の撤廃時期の繰上げに関する協議による促進を含 む。)。」つまり、日豪EPAの小委員会は括弧づきで、それ以前の、前のものは一般的な規定にとどまっているということになるのではないか。
 それに比べてTPPはどうか。そこで私が先ほど指摘した内容になるわけです。改めて見れば、四条「関税の撤廃」では、附属文書に記載された関税撤廃時期 の繰り上げについて検討するため協議しなければならないと、例えばではなく、これがもう明確な目的となっています。そして、同じく小委員会についても、 (a)項で、本協定のもとでの関税撤廃時期の繰り上げについて、協議することなどを通じて貿易を促進すると明確です。
 このように、日豪EPAと比較しても、TPPというのは、関税撤廃された品目をさらに繰り上げて、早めていくことが盛り込まれている、そういうレールは敷かれているのではないかというふうに思うんです。
 そこで、大臣は先ほどこの章のことを承知されていると答弁されました。この内容も含めて承知していたのか、承知した上で国会決議も守れたと認識しているのか。そうであるなら、守れたという根拠をぜひ示していただきたい。いかがでしょうか。
○森山国務大臣 私は、国会決議は過去に答弁をしたとおりでございますけれども、日豪EPAは日本と豪州の二国間のことであり、TPPは十 二カ国、複数国家のことでありますから、それぞれ全く別の貿易交渉であるというふうに理解をいたしております。その結果、当然のこととして、内容が異なる ことはあると考えます。
○畠山委員 それは、もちろん違う条約ですから、違うことが生まれるのは当たり前の話でありまして、今言ったようなことを承知していたのかということは、それでは、いかがですか。改めて確認します。
○森山国務大臣 承知しております。
○畠山委員 それでは、これを承知した上で、国会決議は守られているという判断でよろしいんですね。
○森山国務大臣 私が今の立場で決議が守れたかどうかということを申し上げる立場にないことは御理解をいただいて、それは国会がお決めにな ることでございますから、そう御理解をいただきたいと思いますし、協議は、協議が調わなければ意味がないわけでございますので、そこはぜひ御理解をいただ きたいと思います。
○畠山委員 再協議などは七年後ということなども言われて、ただ、それ以前に、このようなレールが敷かれている事実のもとで対策をすると言って、農家が信用できるかどうか。
 ある農協組合長から私は言われました。国会決議との整合性は徹底的に審議してくれ。当然の要求だろうというふうに思います。ですから、概要、本当にわず かなページですよ。概要だけではやはりだめなんですよ。全文を和文で、日本語文で出していただく。影響試算もちゃんと出す。今まで、交渉中だから情報が出 せないと言ってきたわけですから、今必要な情報を出さずしていつ出すのかということだと思います。
 重ねて、今、農家の不安がかき立てられている状況を払拭していくと重ねて言うのであるならば、これらの要求にも応えていただきたいことを述べて、質問を終わります。