○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 きょうの最後の質疑ですので、よろしくお願いいたします。
 質問に入る前に、先月三十日、翁長沖縄知事が防衛省沖縄防衛局に対して出した名護市辺野古における新基地建設の作業停止指示について、林大臣が効力の一 時停止を決定したことについて、我が党は予算委員会などでも、大臣の決定が沖縄の民意を踏みにじり、沖縄防衛局の申し立てをオウム返しにしただけのもので あることを批判してきました。改めて、本委員会でも強く抗議の意思を初めに表明したいというふうに思います。
 質問に入ります。
 食料・農業・農村基本計画では、品目別の生産努力目標が示されているわけです。その中でも、飼料用米については十一万トンから百十万トンへ引き上げるというふうにしています。
 なぜ飼料用米の引き上げを重視するのか、その意義と、十アール当たり八万円の交付単価に設定した理由について、事務方で結構ですので、改めて御確認をしたいと思います。
○松島政府参考人 まず、飼料用米の生産努力目標の水準を引き上げる、この意義ということでございます。
 これにつきましては、本委員会で何度も御議論がございますけれども、主食用米の需要が年々八万トン程度減少する中で、需要に応じた主食用米の生産ということを図っていく必要がある、やはり主食用米の需給と価格の安定というのは非常に大事な政策目的でございます。
 それに加えまして、水田のフル活用を進めていくという観点から、需要のある飼料用米への主食用米からの転換ということが大きな政策課題になっているということで、主食用米から飼料用米の生産への生産努力目標を引き上げたということでございます。その背景でございます。
 さらに、もう一つ委員から御質問がございました、水田活用の直接支払交付金の交付単価の考え方でございます。
 これにつきましては、飼料用米に限らず、この直接支払交付金の交付単価は一定の考え方で算定が行われてございまして、具体的に申し上げますと、交付対象 作物の生産コスト、それから交付対象作物の販売収入、これを一定の前提を置きまして試算した上で、主食用米の所得との格差が生じないようにということを基 本に設定しているところでございます。
 具体的に飼料用米の場合について御説明申し上げますと、その生産コストにつきましては、通常、飼料用米は主食用米をつくっている方が転換するということ でございますので、通常の主食用米の生産コストから主食用と共通で利用できる農機具費などを差し引いたコストといったものを前提に、反当たり六万四千円程 度になるというふうに試算してございます。
 他方、販売収入につきましては、通常、飼料用米は輸入トウモロコシと同等の価格で販売されているということがございますので、それをベースに流通経費などを差し引いて計算しますと、反当たり七千円になるというふうに見込んでいるところでございます。
 その中で、交付金単価との関係でございますが、まずその単収が、標準的単収、反当たり五百二十キロ強でございますけれども、これをベースに、交付金単価 を八万円と仮置きいたしますと、例えば、先ほど御説明しました販売収入が七千円、交付金単価が八万円、これからコストである六万四千円を差し引きますと、 反当たり二万三千円という所得が得られるという試算ができるわけでございます。
 もう一つ、多収性専用品種による作付を今推進しているところでございますけれども、これを用いて試算いたしますと、多収性でございますと、仮に標準的な 収量から百五十キロぐらい多収するということを前提に試算いたしますと、販売収入が反当たり九千円、それから、百五十キロ増収できますと交付金も上限の反 当たり十万五千円出ますので、それを加えまして、さらに多収性専用品種を使ったことに伴いまして、反当たり一万二千円の追加的な支払いがある。そうします と、九千円と十万五千円と一万二千円を加えまして、生産コストを差し引きますと、大体反当たり五万円という数字が出ます。
 一定の試算におきますとそういうことになりまして、他方で、同様に、主食用米につきましても、反当たりで三万六千五百円という所得の試算がございまし て、おおむね、幅はございますけれども、飼料用米を生産した場合の所得と主食用米を生産した場合の所得が遜色ない数字になっているという考え方で設定して いるということでございます。
○畠山委員 大分御丁寧に説明をいただきまして、つまりは、主食用米から飼料用米にかえることを誘導するわけですから、その生産に見合う単価である、所得差が生じないようにするということなわけですよね。
 主食用米ですけれども、ただ一方で、生産努力目標、今回立てられたものを見れば、現在の八百五十九万トンから七百五十二万トンまで下げる、しかも、生産 コストは、目標として今後十年間で四割減らすということはさまざま語られてきたわけでして、これで仮にTPPへの参加ということとなれば、間違いなく米価 も下がることは懸念されるわけです。
 そうなれば、主食用米の価格に引きずられて飼料用米に対する交付単価も下がっていくということにはなるんでしょうか、ならないんでしょうか、なりませんか。
○林国務大臣 今お話がありましたように、主食用米の需要が毎年八万トンずつ減っていきますので、水田のフル活用を図るためにも飼料用米は大事だ、こういうふうに思っております。
 飼料用米の生産拡大のためにも、今細かく試算をお示ししましたが、直接支払交付金を充実して、単価に差が出るのは、数量払いというのを入れまして、飼料用米のインセンティブを高める、こういうことでございます。
 この直接支払交付金の単価ですが、これは毎年度の国会の予算審議を経て決まるものでありますので、これを予断することは適当ではないと考えております が、一方で、新たな食料・農業・農村基本計画においても、飼料用米など戦略作物の生産拡大を位置づけまして、その達成に向けて必要な支援を行うということ を明記させていただいたところでございます。
○畠山委員 もちろん、なかなか十年後まで同じ単価ということを考えるのは難しいかもしれませんけれども、どこでもそうでしょうけれども、 やはり安定的に見通しを持ってつくっていくということについては、交付金が維持されていくのかということについて、もちろん、多くの農家は心配されている わけです。
 米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針では、この後、出てくると思いますけれども、「競合品と競争し得る価格での供給」という項目があります。 「新用途米穀の需給規模を拡大するためには、輸入小麦・トウモロコシ等の競合原料と競争し得る価格で供給することが必要」と明記されています。
 つまり、栄養価も高くて、多収量の品種で、その上、競争に耐えられるようにコスト削減を進めろということだというふうに思うんですよね。コスト削減は今 だってどの農家も努力はもちろんしているわけでして、問題は政府の支援の方だと思うんです。結局、コスト削減で乗り切れということかという不安の声が出て くるのは当然だというふうに思うんですね。
 大臣、改めて、この飼料用米に係る生産費に見合うだけの交付金、助成ということを維持していくべきではありませんか。
○林国務大臣 これはまさに、先ほど、ほかのものと比べて遜色のない、こう言われましたが、これを基本にしっかりと考えていかなければならない、こういうふうに思っております。
 単価そのものについては、先ほど申し上げましたように、国会の予算審議というのがございますので、予断をすることは適当でないと思いますが、この食料・ 農業・農村基本計画、これはおおむね十年を目指して、計画をきちっと定めて、生産努力目標も百十万トンということで掲げさせていただいておりますので、こ れを達成するために必要な水田活用の直接支払交付金の単価、予算についてはしっかりと確保してまいりたいと思っております。
○畠山委員 そもそも、飼料の自給率も下げてきたということについても、やはりこの機会に見直して、反省するべきは反省することが必要だというふうに思うんですよ。
 飼料用トウモロコシの輸入は、一九六〇年に百四十七万トン、一九七〇年に四百二万トン、そして一九八〇年に一千十二万トンと急増してきたわけです。
 これだけ急増してきた原因について、農水省としてはどう考えていますか。
○林国務大臣 昭和三十年代後半から、畜産物の摂取量の増加など国民の食生活が大きく変化をした、これに伴って、畜産そのものが大きく生産量を伸ばしておりまして、餌の需要が急速に増大したということでございます。
 飼料穀物については、国土や気象条件の制約などがございまして、この需要に対応して生産を拡大することが難しかったということである一方、今御指摘の あった米国等の穀物の輸出国、これがトウモロコシなどの穀物生産を拡大しまして、極めて安価な安定的な供給が可能となったということで、米国のトウモロコ シなどの輸入量が増加してきたところであります。
○畠山委員 国民の食生活の変化だけに原因を求めたらだめだというふうに思うんですよね。
 当時、もちろん御存じだと思いますが、一九五〇年代に飼料用の穀物の輸入が自由化された後に、一九六一年でしたか、制定された農業基本法で、選択的拡大 の名のもとで、外国産農産物と競合するものがほかの作物へ転換が進められて、その結果として飼料の輸入も進むということになったわけです。これが今の飼料 の自給率低下の出発点ではなかったのかと思うんですね。
 もちろん、飼料の自給率を上げることは大事だというふうに思うんです。ですから、今このように進めている方向についても遅きに失しているというふうに思 いますし、その当時から、さらに飼料は自国で生産するというふうにさまざまな検討や政策を進めることが必要だったというふうに改めて思うわけです。
 ですから、食料自給率を引き上げるんだったら、この六〇年代と同じ轍を踏むべきでない。飼料用米でも展望を持ってつくることができるよう、先ほど述べた交付単価の維持ですとか、歯どめなき輸入拡大路線の見直しを繰り返して求めておきたいというふうに思います。
 次に、農地とその担い手について質問いたします。
 農地の見通しと確保について、前回の基本計画では、優良農地の転用抑制や耕作放棄地の再生で、農地面積を基本的に維持する見通しのものとなっていまし た。ですが、今回の計画では、二〇一四年現在の農地面積四百五十二万ヘクタールから、十年後には四百四十万ヘクタールと減る見込みとしています。
 食料自給率を上げるなら、さまざまな品種や技術の向上はもちろん必要でしょうが、優良農地の確保も大事なことは言うまでもないというふうに思います。で すが、今回の計画では、農地の転用というところに十一万ヘクタールと見込んでいます。ここには、せっかくの優良農地も含まれるかもしれないわけです。
 この十一万ヘクタールが転用されると見込んだ背景や理由はどういうものですか。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
 今回の農地面積の見通しにつきましては、平成二十六年の農地面積四百五十二万ヘクタールを基準といたしまして、近年の農地転用面積、それから荒廃農地の 発生面積の趨勢を踏まえて、基本計画の期間における荒廃農地の発生の抑制、それから荒廃農地の再生等に係る施策の効果を織り込みまして、平成三十七年の農 地面積を四百四十万ヘクタールと見通しているところでございます。
 このうち、お話のございました農地の転用につきましては、耕地及び作付面積統計におきます平成二十三年から二十六年の農地転用面積の平均が平成三十七年まで継続するものといたしまして、約十一万ヘクタールの減少を趨勢として見通したということでございます。
○畠山委員 転用ですから、その後、その農地を受ける、借りる、受けたいというところが、要望がないともちろん転用されていかないわけでし て、もちろん農水省がそれを何に使ったかと後追いするものではないんですけれども、それでは、どういうところが強く転用が望まれてきている、実際そのよう に使われてきているというふうに考えていますか。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
 今御説明申し上げましたバックデータのそのまた内訳を見てみますと、近年の農地転用で大きな転用先といたしましては、統計の分類でいいますと宅地等ということでございます。
 宅地等には、住宅、学校用地、公園、その他の公共用社会福祉施設、あるいは会社等の厚生福祉施設用地、また商業用地等が含まれているというものでございまして、そのほか工場用地、道路、鉄道用地等がございますけれども、大きなものは宅地等ということでございます。
○畠山委員 今、この農地をめぐってさまざまな不安の声が上がっているわけですよ。
 地方創生の一括法案なども別のところで審議されていますけれども、これは、小さな拠点をつくる。今回、基本計画にも盛り込まれていますけれども、これは 別の機会に議論したいと思っていますが、そこにかかわって、さまざまな規制や、あるいは許可権者についての変更がされているわけです。
 ことしの一月十六日に、日本経団連が、「わが国農業の持続的発展と競争力強化・成長産業化に向けて」という提言を出しています。その中の、「農業の成長 産業化を支える担い手の確保」で、「企業を農業経営の重要な担い手として位置づけ、時期を含め、企業による農地所有の可能化を明確に示すべきである。」と 求めています。
 これは、予算委員会等で日本共産党は繰り返し主張してきましたが、農地の転用あるいは流動化というのは、一貫して財界、経済界が主張してきたことだったというふうに思うんですね。
 農外企業が農地を確保して、農業生産法人の要件も緩和される法案がこの後されますけれども、落下傘のようにやってきた場合に、今いる中小の農家はどうなるのかというのが重大な問題になるわけです。
 基本計画では、この計画全体で示している農業構造の実現に向けた担い手について、認定農業者、認定新規就農者、集落営農を挙げて、重点的な支援を実施すると書かれております。
 では、担い手から外された農家はどうなるのか。何の支援もなく、勝手に作付してくれということになるんでしょうか。
○林国務大臣 農村地域では、高齢化や人口減少が都市に先駆けて進行しておりまして、集落機能が低下するなど、厳しい問題にも直面しております。
 したがって、こういう状況に対応して、国民に対する食料の安定供給、それから多面的機能の発揮を図るためには、農地や農業の担い手を確保するとともに、農業生産活動が継続して行われるよう集落の共同活動を維持していくことも重要でございます。
 こうした中で、担い手以外の農業者の方々についても、地域の実情はそれぞれあると思いますが、実情に応じて、担い手への農地集積を行いながら、地域の共 同活動や六次産業化等の取り組みに参画していただく、また、担い手の規模拡大が当面困難な地域では、農業生産の継続、農地等の保全に一定の役割を果たして いただく、こういうことが期待をされておるところでございます。
 こういう取り組みを通じて、担い手以外の農業者も含めて、地域住民が役割分担をしながら、共同活動、六次産業化等に取り組む環境を整備するということによって、農村コミュニティーの維持にも配慮した農業の振興に努めてまいりたいと思っております。
○畠山委員 今、役割分担という言葉がありまして、実際、この基本計画も、五十二ページですけれども、「農業・農村の構造変化が見込まれる中で、農地や農業用施設の維持や管理等における、多様な関係者による役割分担等の在り方について検討する。」というふうにあります。
 大臣も、最初の就任をされたときですけれども、二〇一三年十一月二十六日の記者会見で、役割分担にかかわって記者に問われて、こう答えています。地域と して、この農地を農地として維持するための共同活動、これをきちっとやっていって、結果として担い手の育成を後押しをしていくと答えている。
 つまり、今までの議論をまとめてみますと、担い手から外れた農家というのは、認定農業者だったりあるいは参入した農外企業であったりを、水路ですとか農道の管理で後押ししてほしいということなんですか。
○林国務大臣 まさに多面的機能支払いということは、水路、農道等の地域資源の維持管理を行っていただく共同活動でございます。
 これは、集積が進んでいって担い手が広いところをやるようになると、それだけ水路の維持、農道等の管理というのは大変になってまいりますので、やはり共 同でそういう活動をやっていただくということは大変大事になってきますし、そういうことがあって初めて担い手への集積というものもできてくるのではない か、こういうふうに思っておりまして、そういう活動を御支援申し上げようということで多面的機能支払いという位置づけをしておるところでございます。
○畠山委員 そもそも農村の多面的機能というのは、生産と管理が一体として、それぞれの農家の方々が自発的にそれぞれの地域において行って きたものだというふうに思うんです。ですから、食料・農業・農村基本法の第三条にも、「農業生産活動が行われることにより生ずる」というふうに定めてい て、繰り返しですが、生産も管理もそういうふうに一体に進めて、これまでの日本は国土の保全であったり水源の涵養を進めてきたわけだから、この委員会も含 めて議論して、だから基本法に盛り込んできたというふうに思うんですよね。
 ですから、これを今言ったように役割分担ということで分けていくというふうになっていけば、農村のあるいは農家のさまざまなこういうコミュニティーが結果として崩れていくことになるのではないかというふうに思うんです。
 ですから、先ほど多面的機能支払いのお話もされましたけれども、このパンフレットで、日本型直接支払いも含めて、担い手に集中する水路、農道等の管理を 地域で支え、農地の集積を後押しすると、わざわざ米印をつけて主従関係のように描かれているわけです。そのようにこのパンフレットで書いている。
 そういうわけですから、実際、今まで、どのような年齢であっても、どのような面積であっても、一生懸命地域を、生産とそれから美しい農村を、こうやって 結果としてつくっていくことになってきた農家の方々の思いを考えたときに、この道で本当にいいのかということを指摘せざるを得ないというふうに思います。
 ですから、今回の基本計画というのは結局何なのか。TPPを初めとしてさらなる輸入の自由化が前提とされて、農外企業の参入と、勝ち残れるところだけ勝 ち残っていればいい、小さい農家は農村維持の役割を担ってくれればいいということなのかというふうに思うんです。それに対して障害となるような農業委員会 や農協の制度は見直そうじゃないかということなのではないかというふうに懸念を持つわけです。
 前回の質問でも述べましたが、食料自給率を引き上げるのであれば、国内での価格保障を行うとともに、歯どめなき農産物輸入拡大路線を転換することであるというふうに思います。
 このような道とは違う基本計画では、一層日本の農業を壊していくことにつながるのではないかということを指摘いたしまして、私の質問を終わります。