○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 きょうは長い委員会になりましたけれども、最後ですので、どうぞよろしくお願いします。
 西村内閣府副大臣のTPPの情報を開示するとしていた発言を撤回した件について、まず、私からも伺います。
 TPPは、言うまでもなく、秘密交渉です。
 まず確認ですが、これまで日本政府として、秘密保持契約にサインをして、情報を隠したまま交渉してきた例というのは過去にあったかなかったか、確認のために答弁をお願いします。
○西村(康)副大臣 一般に、過去の貿易交渉、経済交渉において、今回のTPP交渉参加の際に交換したような秘密保護に関する書簡、契約を交わした例はないというふうに承知をいたしております。
○畠山委員 今ありましたように、これまでの交渉は、逆に言えば、必ず情報を開示して進めてきたということになるわけです。
 ですから、今進めているTPP交渉、秘密保持契約があるということは、これまでの交渉とは質が異なる交渉であるという認識はもちろんございますね。
○西村(康)副大臣 はい。そのような認識のもと、交渉を進めてきているところでございます。
○畠山委員 では、なぜこのように秘密保持が必要とされているかといえば、その中身、この間、二十一分野ありますけれども、ちょっと個別に いろいろ言いますけれども、農業、労働ですとか知的財産とかISDとか、さまざま、国の基本にもかかわってくるような問題で、多くの国民が不安を抱えるも のがたくさんあるわけです。
 ですから、本来、情報が出ないということ自体がおかしいわけでありまして、だからアメリカにおいても、あるいはほかの国においても、さまざま制約がある とおっしゃいますけれども、情報を示してほしいと国民から迫られてもいますし、先ほど来議論があるように、日本国内でも、国会あるいは国民からも、情報を 出すべきであるという声が多いのは当然だというふうに思います。
 連合審査の際に私の事務所の方で調べましたが、地方議会からのTPP反対、あるいは慎重審議を求める意見書が二千を超えて寄せられています。もちろん、 二度、三度と意見書を上げている議会があるにせよ、背景には数千万になるであろう国民の思いが反映していることでもありますし、仮にTPPが賛成であった にしても、情報がここまで出ないというのはちょっといかがなものかという声が出てくるのも当然だというふうに思います。
 情報の開示というのは、もちろん国民からの強い要望でもあるという認識はお持ちですね。
○西村(康)副大臣 御指摘のとおり、もちろん、これだけの幅広い分野にわたる交渉でありますので、国民生活にも当然影響がございます。そ の意味で、秘密保持の契約は結んでおりますけれども、その範囲内でできる限り情報提供を行わなければいけないという気持ちも他方で持っておりまして、そう した観点から、これまでも、悩みながらでありますけれども、これは各国同じでありますけれども、悩みながらもできる限りの情報提供に努めてきたところでご ざいます。
○畠山委員 ですから、まとめますと、これまでに例のない秘密交渉であること、しかも、あらゆる分野が重大な内容を日本全体にかかわって 持っているということ、それから、国民からも強い要望があるということ、そして、アメリカでも国会議員は条件つきだけれどもアクセスできるということなど を見れば、だから日本でも開示を進めようというふうに考えるのは私は極めて自然なことだというふうに思うんですよ。
 それで、きょうもずっと議論して、西村副大臣御自身のそのような思いから四日の会見では出たことなんだと繰り返し述べていらっしゃいますが、今言ったような背景があったからこそ、その気が生まれたということですよね。
○西村(康)副大臣 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、これまでもできる限りの情報提供に努めてきたところでございまして、先 般、五月一日にも、いわゆるルールの交渉においての、テキストそのものではありませんけれども、交渉の状況について、これまで以上に詳しい内容のものも公 開をさせていただいて、できる限り多くの皆さんに情報を開示していこうということで努めてきたところでございます。
 今般、アメリカで、アメリカの議員と意見交換する中で、閲覧をしているというようなことの情報にも接し、そしてまた、セミナー等においてもそうした情報 開示の話題が出る中で、私自身、非常に強い思いの中であのような発言に至ってしまったわけでございますが、特に、アメリカと同じように開示ができるかのよ うに受け取られてしまったことについて非常に反省をしておりまして、撤回をしたところでございます。
 そうした反省も踏まえながら、引き続き、我が国の制度、制約の中でどういう工夫ができるのか、これについてはしっかりと考えていきたいというふうに思っております。
○畠山委員 TPP交渉については、もう最終局面だというような表現でも示されるほどですし、先ほど述べた、情報開示をめぐるさまざまな状 況、情勢から、情報開示を求める声が高まる、そういうのが出てくる、必然だというふうに思うんですよ。逆に言えば、この時点で出ないという方が、情報が開 示されないという方がおかしいのではないかと思います。
 それで、なぜ撤回をされたのかは、きょうも午前中から議論がありました。
 これは私の全くの個人の推測ですけれども、一旦情報開示に前向きになったけれども、もしかして、TPA法案の成立が長引きそうだ、あるいはまだ見通せな いという示唆があって、それなのに今情報を出すわけにいかないという判断などがあったのではないか。実際、きょう、上院本会議でTPA法案の動議は否決さ れたということでありました。そういうことではないのですか。
○西村(康)副大臣 繰り返しになりますけれども、従来よりこうした委員会での質疑等を通じて情報開示を強く求められてきましたし、それか ら、今般、アメリカでさまざまな情報に接する中で、もっと工夫して何か一定の、我が国の制度、制約はありますけれども、その中で何かできないのかという思 いを強くした中で私があのような発言をしてしまったわけでございまして、そのことについて、報道に接して、アメリカと同じような開示をするというふうに受 け取られてしまったこと、これについては、日米の制度も違いがあるし、同じようにはできないということでありますので、これは修正をしなきゃいけないとい うことで、私の誤解を招いたような発言について撤回をしたというのが経緯でございます。
○畠山委員 その話はきょう午前中からもう十回ぐらい聞いてきたわけでありまして、確かに、TPAがどうなろうとも、ただ、現状でアメリカでは国会議員がアクセスできていることは事実ですよね。
 通商交渉は、アメリカは議会の権限が強くて、日本は政府の権限だと言い張るということではないと思いますけれども、そうだということであるならば、余り にも国会軽視ではないのかと言われてきたわけですし、出口が見えるという状況であるならこそ、ますます開示する必要はあるというふうに思うわけですよ。逆 に言えば、出口が遠のいたということなのですか。
○西村(康)副大臣 TPPの交渉が最終局面を迎えているのはもう事実だと思います。
 しかしながら、最終に、交渉各国がいろいろなカードを切っていく、政治的な決断をしていく、これにはアメリカのTPA法案が必要だという認識も共有して おりますので、TPA法案の早期の成立を我々望んでおりますし、それがTPPの交渉妥結の前提だというふうに考えております。
 そういう意味で、TPA法案の早期成立を私ども期待をしているところでございます。
○畠山委員 TPAをめぐる情勢は、きょう、先ほどあったように、動議は否決された状況でありまして、かなり厳しく、少なくとも今月中は厳しくなったのではないかとも報じられています。
 いずれにしても、きょうもずっと議論がありましたように、このTPPについて、もちろん、国民的な関心や、この後、日本が進むべき道について、重要な問 題であるからこそ情報の開示をこのように求めてきているわけでありまして、国会への報告はもちろんですが、いわゆる国民に向けて今度説明会をされるという ことですけれども、本当はそういう国民向けの説明会も、東京一つだけではなく、私、出身、選挙区は北海道ですけれども、北海道はもちろんですし、全ての都 道府県でやるべきであろうことだというふうにも思うんですよ。
 そういうように、さらに広くやはり開示していくということを改めて強く求めたいと思いますが、副大臣、この間ずっと、検討する検討するというふうに御答弁されましたが、いかがですか。
○西村(康)副大臣 情報開示の必要性につきましては、委員御指摘のとおりでございます。
 さらにどういう工夫ができるのか、これは真剣に考えていきたいと思いますし、まずは十五日の日に、東京ではありますけれども、説明会を開かせていただ く。これまで以上に広い会場、これまで以上にというのは、各団体に説明してきた、関係団体に説明してきたこれまで以上に大きな会場で、千人規模の会場を確 保しておりますので、まずはその場でやらせていただいて、さらにどういうことができるか、これは真剣に考えていきたいというふうに思います。
○畠山委員 繰り返しになりますけれども、最終局面だと言われている状況の中での情報開示の必要性は言うまでもないと思いますので、検討ということは繰り返し述べられていますが、その必要性をやはり改めて強く指摘しておきたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 副大臣、結構でございます。
 安倍首相の米国連邦議会での演説について、きょうも玉木委員からありましたけれども、ちょっとそのことについて伺いたいというふうに思います。
 演説の中で首相は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉のときに、血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしましたと演説しました。続けて、ところがこの二十年、日本の農業は衰えましたと述べました。
 きょうも午前中からこの文脈の解釈で議論がされるほど、文脈の意味が、私だけなのかどうかわからないのですけれども、よく理解できないんです。関税を 守ったから日本の農業は衰えたと言いたいのか、農業開放に反対したんだけれども、それがかなわなくて日本の農業は衰えたと言いたいのか。それならば、やは り開放すべきではなかったというふうになっちゃうんですけれども。
 一体ここの意味は、本来だったら安倍首相に問いただしたいところではあるんですけれども、まず、この意味はどういうことなのか、答弁できますか。
○林国務大臣 誰も手を挙げないものですから。
 午前中もお答えしたように、事前にこの演説を、例えば総理が所信表明を日本の国会でされますときは、各省に担当のところが来まして事前に調整するという作業が通常あるわけでございますが、このアメリカでの内容については事前に承知をしておらなかったわけでございます。
 これを読みますと、今まさに委員からお話がありましたように、「ところが」というのが、前の段落を言って逆説的につながるのが「ところが」でございます ので、一体どこが逆説になるのか、こういうことだろうというふうに思いますけれども、私は、農産品の市場開放が不十分であったことが農業が衰退した原因だ と述べたということではないんだろう、こういうふうに思っておるところでございます。
 平均年齢が十歳上がって六十六歳を超えましたとか、それから、これは私どもいつも言っておりますが、耕作放棄地がふえているということは、市場開放云々 も全く影響がなかったと言うつもりはございませんが、農政の改革をして、待ったなしの改革というのは、対外的な交渉いかんにかかわらずやはり取り組んでい かなければならない課題である、こういう認識を示されたんであろう、こういうふうに理解をしております。
○畠山委員 交渉いかんにかかわらず取り組まなければいけないのならば、こんな難しい表現をしなくてもいいわけでありまして、一体この演説は何を意図したのかと、たしか本会議でも、この安倍総理の演説についての質疑を行うことになったかというふうに思うんですけれども。
 例えば、演説原稿は英語でマッチヤンガーという言葉が入っているわけです、余りにも若過ぎたというわけで。若いから反対したということでなく、そもそ も、やはり農業の開放が問題だったということを認識して反対したのではなかったのかというふうに思うんです。そうでないと、一緒に反対された農家の方が、 がっかりしている方がいるというふうに思うんですよ。
 こんな告白よりも、これぐらい国民が反対をしてきた重要品目なんだと言った方がまだましな演説だったんではないかというふうに思うわけです。
 誰も答弁できないのかどうかわかりませんけれども、一体何でこの部分を演説で入れる必要があったのか。真意を答えられますか。
○澁谷政府参考人 済みません、私はTPPの対策本部の人間でございまして、総理の演説原稿全般については事前に全く協議とかそういうものにあずかってはおりません。
○畠山委員 官邸サイドなのかわかりませんけれども、結局、この問題を私は軽視するべきではないというふうに思っているんですね。
 ウルグアイ・ラウンドの合意を受け入れたのは細川内閣で、当時の会議録も振り返って私は読みました。例えば、平成五年十二月十三日の本会議で、当時、自民党の玉沢徳一郎議員が、自民党を代表してと言って、質問をこんなふうにされています。
 「本年は、天明の飢饉以来と言われるほどの未曽有の凶作に日本列島は襲われました。農家は生産意欲の減退が強まり、経営の存続にも深刻な悩みをもたらし ております。それに加え、米について、ミニマムアクセスの受け入れで輸入量が年々拡大されることになれば、全国の稲作農家及び畜産・畑作農家すべてが崩壊 に向かって進むことになりかねません。」と述べているんです。
 当時の自民党自身が反対の議論をされていたわけで、安倍首相が血気盛んで反対したというものではないはずというふうに思うんです。
 結局、村山内閣のもとで批准がされてミニマムアクセス米は始まりましたけれども、低下傾向だった食料自給率がこれを機にさらにどんどん下がっていくことになったわけです。
 歯どめなき農産物輸入の拡大は見直すべきだというふうに私は委員会で訴えてきましたけれども、当時のウルグアイ・ラウンド反対の根拠を持ったものとして 反対をしてきたはずなのに、安倍首相は、マッチヤンガー、若過ぎたなどというふうに、今の輸入拡大路線を認めるような演説になっているんじゃないかという ふうに思うんです。そのように読めるんですよ。
 それであるならば、日本がTPPでも前のめりになって約束をさらにちゃんとやっていきますよというふうに読めるんですが、林大臣、いかがですか。
○林国務大臣 総理が演説をされたこと、今度は衆議院の本会議ですか、御質疑があるということですから、それを前に、余り私から勝手に解釈 を申し上げるのはいかがかなと思いますが、英語の原文を読んでおりませんので、今委員がおっしゃったマッチヤンガーということになりますと、一般的な英語 の語感だと、とても若かったということで、若過ぎたというニュアンスだとツーヤングということになるのかなと思って今聞いておりました。
 いずれにしても、この「ところが」のところがどういう逆説でつながっていくのかというのは、見方によっていろいろ変わってくるのではないかと思います。私は、先ほど申し上げたようなニュアンスで受け取っております。
 したがって、大事なことは、この後段のところで、日本の農業を今から変えていかなければならない、いろいろな改革、これは攻めの農政ということで、足か け三年になりますが、やってまいりました。いろいろな改革がございますので、これをやっていかなければならないということが大事なメッセージじゃないかと いうふうに考えております。
○畠山委員 ただ、アメリカの農務省が、昨年十月でしたか、TPPが妥結した場合に、二〇二五年までに参加十二カ国の農産物貿易がどれだけ ふえるかというのを発表しているはずです。それで、八十五億ドル、農産物貿易がふえる、その中の輸入増の七〇%は日本だ、米国産米の輸出は二倍強ふえると いう発表をしているわけです。そんなさなかに、一国の首相が、輸入拡大に反対した私が悪かったかのような演説をしたとなるならば、これはやはり問題ではな いかというふうに思うわけです。
 そういうことを前提として、昨年十月の米農務省の発表を認識に入れた上で、安倍首相の演説について林大臣はどのように認識されますか。
○林国務大臣 繰り返しになりますが、この演説については事前に承知をしておらなかったものですから、あくまでこの文章を見ての推測ということになってしまうわけでございます。
 今例に出されたアメリカの推計でございますか、これもよくよく勉強してみなきゃいけないと思っておりますし、また、我々としても、この交渉参加に当たっ て、一定の前提を置いた推計というのは出しておりますが、これは御案内のように、全ての関税を即時撤廃した上で何の対策も講じない場合はこうなる、こうい うのをやっておりますので、多分、アメリカのその発表というのも、何らかの、こういうふうになるということを仮置きしてやっておられるんだろう、こういう ふうに思います。
 まだ交渉は妥結をしておりませんので、何も決まっていないということでございますから、何かの仮定を置かないとそういう数字は出てこない、こういうふうに思っておるところでございます。
 まさに、そういう意味では、この総理の演説は、大事なメッセージというのは、いずれにしても、年齢が上がってきている、耕作放棄地がふえるような今の状 況を座視しているということでなくて、しっかりと改革をやって、持続的で、かつ新しい若い世代の方も希望を持って入ってこられるようにしていく、この大事 さをメッセージとしてお出しになろうとされておられたのではないかと、あくまで推察をしておるところでございます。
○畠山委員 結局、その後、続けて農協改革の話も出てきているわけですね。私は、予算委員会のときにも、林大臣がいらっしゃったときですけ れども、この農協改革というのはアメリカからの要望でもないのかということを質問させていただきました。USTRから、二〇一〇年外国貿易障壁報告書の中 で、わざわざアルファベットでKyosaiと書いた項目を立てて、日本の農業共済は、規制の基準や監督を競争相手である民間企業と同じ条件にすべきという ふうに書いているではないかと。
 また、昨年六月の在日米国商工会議所、ACCJの意見書でも、平等な競争環境が確立されなければ、JAグループの金融事業を制約するべきで、外資系金融 機関に不利な待遇を与える結果となっていると、米国の企業参加の道を求めて、最後に、ACCJは、こうした施策の実行のため、日本政府及び規制改革会議と 緊密に連携し、成功に向けてプロセス全体を通じて支援を行う準備を整えていると、日本政府と二人三脚で農協改革を進めるという表明がされているわけです。
 こういう一連の流れとして演説をどうしても読んでしまうし、そういうふうにメッセージを送ったのではないかというふうに思わざるを得なくなるわけですよ ね。そういうことを改めて安倍首相にも問うていきたいというふうに思いますし、こういうようなことが事実であるならば、容認できないということは述べてお きたいと思います。
 最後に、TPP妥結が何をもたらすかということについて、改めて具体的に議論をしたいと思います。重要品目のうちの甘味資源作物についてです。
 いろいろ、その数字のよしあしの出方はともあれ、米だとか豚肉、牛肉などの交渉状況の報道はされていますけれども、甘味資源作物の状況というのはもちろ んよくわかりません。どのような交渉状況になっているのか、答えられないのかどうかと思いますけれども、一応確認したいと思います。
○澁谷政府参考人 お答え申し上げます。
 TPPの交渉は、最終局面、最終局面に近づきつつあると言う方が正確なのかもしれませんが、依然難しい課題が残っております。
 御指摘の甘味資源作物も含めた農産品に関する二国間の交渉は、全体をパッケージで交渉しているという現状でございまして、各国との間でまだ課題が引き続き残っている、こういう状況でございます。
○畠山委員 甘味資源作物の交渉もまた秘密の中にあるわけであります。生産者も関係者も、もちろん不安が消えません。
 北海道では、てん菜は甘味資源作物であるとともに、連作障害を防ぐ、欠かせない作物であります。
 そこで、北海道庁が、国の試算を踏まえた、TPP関税撤廃による影響試算を行っておりますが、これは全道十二品目として行っているその影響額のうち、てん菜の部分で、その影響額の総額と、雇用や農家戸数に与える影響というものについて、確認のために答弁をお願いします。
○中川大臣政務官 平成二十五年三月に北海道庁が、関税を即時撤廃するなどの一定の前提を置いた北海道農業などへの影響試算を公表したことは承知いたしております。
 本試算におきましては、北海道農業などへの影響といたしまして、生産減少額が四千七百六十二億円、雇用への影響が十一万二千人と試算されています。
 このうち、てん菜につきましては、生産減少額が一千三十一億円、雇用への影響が一万一千人と試算されています。
○畠山委員 農家戸数も出されているかと思うんですが、それについては。
○中川大臣政務官 農家戸数への影響ということで二万三千戸ということはありますけれども、てん菜では試算されておりません。
○畠山委員 試算されていないのですか。てん菜の部分、あると思いますよ。
 それでは、時間ももったいないので、続けます。
 全道十二品目の影響額の中で……(発言する者あり)きちんとそこは、通告をきのうしているんですから、お願いしますよ。
○江藤委員長 委員長からも。
 通告があったことについては、しっかり準備をするようにしてください。
○畠山委員 全道十二品目での総影響額一兆五千八百四十六億円のうち、てん菜は影響額で一五・六%を占めます。同じく雇用では九・八%、農家戸数では、比率でいえば三三・三%を占めるほどです。
 てん菜は、特に関連産業の影響額も大きい。全道十二品目での影響総額のうち、関連産業への影響が占める割合でいえば二二・三%になりますが、てん菜で限って見ると、関連産業の影響が占める割合は三六・七%にもはね上がります。
 連休の前に、私は、北海道の美幌町というところで、てん菜工場があるんですが、ここで調査を行ってきました。
 収穫の最盛期になれば、トラックが百三十台行き来するほど運搬にもちろんかかわりまして、てん菜は、霜害やあるいは風害のリスクもあって直播もなかなか 進められないという中で、どうしても移植して栽培するということでは人手も多くかかる作物でもあります。そういうときには、地域の業者の皆さんも一緒に なって手伝って、重労働を分担しているという現状にあります。こういうようなことも含めて、関連産業に対する比重が大きいというのがてん菜なわけです。
 これで、TPP交渉で仮に打撃を受ければ、先ほどの数字のように地域経済と雇用は大打撃になるわけでありまして、しかし、だからといって、てん菜をつく るのがやめられない。それは、やめたら連作障害を防げないからだというのは御存じのとおりだと思うんです。だから、仮に赤字になろうとも、てん菜をつくり 続けているということがあるわけです。
 それで、確認しますが、北海道での十アール当たりの粗収入と生産費について、この間の特徴や傾向について、いかがですか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
 私どもで実施をしておりますてん菜生産費調査で最近十年間の北海道のてん菜農家の収支状況を概観いたしますと、まず、全ての規模階層平均の物財費、労働 費、資本利子、地代を含めました十アール当たり全算入生産費は、平成二十年前後に肥料費等が高騰した後、十万円台で推移をしているという状況でございま す。
 他方、十アール当たりの粗収益でございますが、こちらは、各年の気象条件や病害虫の発生状況等によりまして変動が大きいわけでございますけれども、ここ近年の、平成二十三年からの三年間で見ますと、十アール当たり十万円前後で推移をしております。
 その結果、近年は、生産費が粗収益を若干上回っている状況になっているということでございます。
○畠山委員 年によってもちろん違いますし、緑ゲタが始まったときなどもありますので、いろいろその年によってもちろん違うんですけれど も、多くは生産費の方が多く、基本的には赤字続きで進めてきているわけです。でも、それだけでやはり農家を続けられるはずがありませんし、実際、作付面積 が減ってきているところでもあります。
 それで、現地からの要望としては、家族経営が守られるような価格の設定をという要望も受けました。てん菜も含めて輪作体系が成り立てば農家の経営も安定するんだということは、強い要望であることを述べておきたいと思います。
 話は戻りますが、問題は、こうやって踏ん張っている農家の要望に応えるべきなんだけれども、やはりTPPが問題になってくるわけです。美幌町だけでな く、北海道は八つの地域に八つの製糖工場があり、関連八自治体でも連絡協議会をつくってTPP交渉の行方を注視しています。サトウキビを抱える沖縄でも、 台風による被害ですとか生産費上昇で今苦境に追い込まれている実態があることから、ことしの一月に、我が党が、再生産を可能とする水準への要望も行いまし た。
 ですから、やはり、こういう甘味資源作物をめぐる実態を見ても、このまますんなりTPP妥結ということは認められないと思いますが、林大臣、改めて、甘味資源作物についての認識とこのTPP交渉の問題について、どう思いますか。
○林国務大臣 交渉の具体的な中身については、先ほど内閣官房の方からありましたように、お答えを差し控えさせていただきますが、まだ、全体をパッケージとして交渉しておりまして、決まったというものはないわけでございます。
 この決議でございますが、今御指摘のあった北海道の輪作体系を支える基幹的作物であるてん菜などの甘味資源作物、これは重要五品目の中に含まれておるわ けでございますので、この重要五品目などの確保を最優先するということが決議に入っているということでございますので、これも繰り返しになって恐縮です が、この決議が守られたと評価をいただけるように、政府一体となって全力を尽くす考えでやってまいりたいと思っております。
○畠山委員 評価がいただけるようなということは何度も繰り返し聞いてきたわけです。
 最後なんですけれども、一つだけ、ちょっとそれで確認したいんですけれども、昨年四月十一日の衆議院の内閣委員会で、甘利大臣が、日豪EPAの内容が仮にTPPで採用された場合、決議との整合性はとれるのではないかとの答弁があります。
 つまり、評価されるようにと言われる一線をどこにするのかということについて、この日豪のような、関税撤廃をしなければ国会決議に反しない、極端に言え ば、一%の関税でも残っていればあとはセーフガードで結構だという認識は林大臣はお持ちなのですか、そうでないのですか。
○林国務大臣 甘利大臣が御答弁されたというのを、詳細に今手元に資料がございませんが、この決議はまさにこの委員会でなされた決議でござ いますので、それがどういう意味をしているのか、解釈について政府側におります私の方から申し上げることは控えさせていただきたい、こういうふうに思って おります。
○畠山委員 否定がされるような答弁ではなかったというふうに今受けとめたんですけれども、甘味資源作物も含めて、今多くの農家、生産者を 初め、これだけ最終局面と言われる中で不安を抱えているわけです。その中で、情報も示されないで、仮に国会決議を守れないようであるならば、我が党は TPP交渉からの撤退ということを求め続けてきました。
 改めてその立場を繰り返し表明いたしまして、質問を終わります。