○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 昨日も述べましたが、熊本県を中心とした九州地方での地震にて多くの被害が出ております。改めて、私からも、心からのお見舞いと、また、亡くなられた方や御家族に対してお悔やみを申し上げたいと思います。
 きょうの委員会では、先ほどからありましたように、重要な答弁がありました。重要五項目のタリフラインで、いわゆる無傷と言えるものはないということでした。
 きのう、私はこの場で、国会決議との整合性について、これまで、米など重要五品目が除外または再協議の対象となり、決議にも書いているにもかかわらず、 TPPにはその区分さえなく、政府は最初から守る気があって交渉したのか疑問だとただしました。それで、きのうは、どういう交渉をしたのか、初めからわ かっていたことなのか途中からわかったことなのかは具体的な答弁はありませんでしたが、しかし、政府が結果を見てくれと言ってきたその結果を見ても、きょ うの委員会では、重要五品目で無傷なものはなかったということでした。この点は、私からも改めて確認をしておきたいと思います。
 それで、きょうは、国会決議との関係で、繰り返し石原大臣も例外をかち取ったという答弁をされていた、例外の問題について少しただしたいと思います。
 まず、事実の確認をしたいと思いますが、その例外の中身というのは、先ほどからありますが、協定文書の書かれているところは、第二章四条二項、別段の定めがある場合を除くというところでよろしいですね。
○石原国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。
○畠山委員 それで、その例外を確保したということでありますが、協定文書の農業分野にかかわる規定には、その例外さえも見直す仕掛けが幾つもあるのではないかということを、私、きょうは聞きたい。
 お手元の資料とともに、本当はきのう使うつもりでいたパネルで、せっかくつくったものですから、きょうはこちらにも持ってきましたが、こちらの資料をごらんになってください。
 例えば、第二章十八条には、物品の貿易に関する小委員会が設置されると書かれています。その任務は、締約国間の物品の貿易を促進することで、しかも、括弧書きでわざわざ、関税の撤廃時期の繰り上げというものが入っています。
 二つ目に、農業貿易に関する小委員会も、第二十五条によって設置をされます。その任務も、農産品の貿易の促進ということが明確に書かれています。
 この二つとも、効力発生の後最初の五年間、少なくとも年一回会合するということもきちんと書かれています。
 そして三つ目に、第二章附属書二―Dにある、いわゆる七年後の再協議規定です。これは、日本と、オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド、そして米国の要請に応じて行うものと規定がされています。
 確認しますが、これら三つの、委員会や再協議規定において、先ほど大臣も認められた別段の定め、いわゆる例外は、協議の対象となりますね。
○石原国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。
○畠山委員 協議の対象であるということを確認します。
 それで、その例外がきちんと例外として確保されていくのかということが次に問われなければなりません。この仕組みそのものを、きちんと中身を見なければいけないと思っています。
 政府は、この間の答弁で、このような見直しや再協議の規定というものはどの条約にもある一般的なものと答弁をしてきました。しかし、例えば二つ目にある農業貿易に関する小委員会というのは、これまで日本が結んだFTAやEPAにはありません。TPPしかないはずです。
 通告していませんが、その点、一回確認します。事務方でも結構ですが、ほかにはありませんよね。
○澁谷政府参考人 TPPは、物品貿易の章に、農業貿易というサブセクションがございますので、小委員会を設けることといたしましたが、他のEPAにおいては、物品貿易に関する小委員会が同じ内容を扱う、そういう理解をしております。
○畠山委員 ないんです。
 七年後の再協議についても、日本以外に五カ国の名前が出てきますが、日本以外の国同士、例えばオーストラリアと米国とか、ニュージーランドと米国などの 再協議がされるということは、私、英文の条文を見ましたけれども、ありません。つまり、五カ国と日本だけとの再協議規定ということになります。
 つまり、二番目の小委員会についても、あるいは三番目の七年後の再協議についても、一般的と政府は言うけれども、そう言えるのか。関税の撤廃時期を早め ることが、あるいは農業の物品貿易を促進することが書かれているこれらの小委員会が定められ、つまり、さらなる関税撤廃を求めるためのこれらの規定ではな いのか、一般的なものと違うんじゃないかというふうに私は思うのです。それが違うと言うんだったら、これらは何のための委員会や再協議規定なのかというこ とを問いたい。
 一体これらは何のためのものですか。
○石原国務大臣 畠山委員から三点の御指摘がございましたので、三点ごとにお話をさせていただければと思います。
 まず一点目、物品の貿易に関する小委員会。これは、物品貿易の章のところで規定されている事項について検討することを目的として設立されております。大体、過去のEPAにおきましてはこういうものが設けられているということは政府委員から御答弁をさせていただきました。
 二番目、農業貿易に関する小委員会。これは、第二章二十五条で規定されております、農業に関する規定の実施及び運用について監視したり協力を促進したりすることを目的としてつくられております。
 先ほどもう既に御答弁をさせていただいておりますように、関税撤廃の例外となる措置について、両小委員会における検討の対象となり得ます。これはもう既に御答弁をさせていただいたわけでございます。
 しかし、これらの小委員会の意思の決定は、議題設定も含めて、いずれの国からも反対がないことが条件になっております。我が国の意向に反する決定がなされることは結果としてない、しかし議論をすることはあるというふうに解しております。
 そして三番目、七年後の再協議。附属書二―D、日本国の関税率表、委員が御指摘されたところでございますが、これも委員の御指摘のとおり、日本と豪州、 日本とカナダ、日本とチリ、日本とニュージーランド、日本と米国の五カ国、協定発効から七年がたった後に相手国からの要請に基づいて協議を行うことに合意 した国、今の五カ国でございます、との間で再協議の規定を相互に設けさせていただいております。
 その再協議に当たっては、これもまた先ほどの二つの小委員会と同じでございますけれども、関税撤廃の例外となる措置についても対象となり得ると認識をしております。
 しかし、TPPの交渉は、これまでもお話をさせていただいておりますとおり、関税だけではなくて多くの分野について、この五カ国につきましても同時並行で交渉を行いまして、全体の分野で各国が合意できるぎりぎりのところで合意に至ったものでございます。
 したがいまして、三番目に御指摘をされております再協議にしても、そのバランスが崩れるような形で合意を得るということはありませんし、また、日本国も国益を害するものについては合意する考えは全く持っておりません。
○畠山委員 私が一般的な聞き方をしたのでそうなったので、少しわかりやすく言えば、つまり、七年目の再協議規定に限って言えば、相手の国 からは、日本が例外としたものをテーブルとするということが要求されるのは間違いないのではないかということを問いたいわけです。この点、どうですか。
○石原国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思いますが、裏から読みますと、七年間はこの話はないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○畠山委員 そこで、七年までの間にこの小委員会が、先ほども述べたように、年一回の会合を行っていくということですから、これは、先ほど 大臣から答弁があったように、ここも協議の対象にもなり得るわけです。ただ、そこで政府は国益に反する合意はしないなどということを、この間、いわば言葉 の担保として言ってきました。
 しかし、結局、では何でそういう規定をここに置いたのかということの根本的な疑問が私は残るんですよ。ほかの国、十一カ国全部に幅を広げれば、農産物の関税撤廃率は九八・五%となります。日本風に言えば、守っているものはほとんどないということとなります。
 そして、これは私は、前の農林水産委員会のときだったか、同じく、七年目の再協議規定がなぜ置かれたのかという問いをしたことに対して、高鳥副大臣から、相互主義に基づくものであるのだという御答弁がありました。
 攻めと守りをお互いに再協議するということであるならば、例えば豪州を例にとったときに、農産物も、あるいは全品目に広げても、豪州については関税撤廃 はほぼ一〇〇%なんですね。であれば、日本からは何を要求するのか。結局、豪州から要求されるというだけの規定になるわけですよ。
 そこで、日本から要求する品目がないのに、では何でこれが置かれたのかということになるわけです。
 このような規定が置かれた理由というのは、石原大臣が繰り返し何度も言ってきたように、TPPは、そもそも原則は関税の撤廃です。そして、きのう来議論 になっているように、除外や再協議の区分がないので、例外というものを政府がかち取ろうとした。そのセットで、そのかわり、こういうふうに協議の規定をつ くりましょうということが考えられるんですが、違うんですか。
 ここの協議の規定が置かれた交渉過程、それはなぜですか。
○石原国務大臣 ここも大変苦しい答弁なんですが、セットで結果として出てきたということは、私も委員の御指摘のとおりだと思います。
 しかし、先ほども政府委員の方から御答弁させていただきましたとおり、大体のEPA交渉には物品貿易に関する小委員会というものがあります。もちろん物 品の中に農産物も入りますから、そこで議論をされる。しかし、今回は、こういう形に、セットで出てきているというふうに御理解をいただきたいと思います。 (発言する者あり)
○畠山委員 委員長、済みません、一回、定足数を確認していただけますか。
○西川委員長 大丈夫だな。
○畠山委員 大丈夫ですか。
 今、石原大臣から、結局、原則関税撤廃ということと、したがって例外はかち取られたが、一緒に、再協議についてはセットであるということも委員の考えるとおりだということが言われました。私は、これは大事な答弁ではないかというふうに思います。
 つまり、七年目の再協議というのは、裏を返せば、原則関税撤廃、だからこれを置かざるを得なかった、だから協議の対象として全品目入ることになっている、そういう理解でいいんですね。
○石原国務大臣 私は、セットという意味は、結果としてこれがセットになっているという意味でございまして、というのは、どこどこでどうい う交渉、相手国がどういうことを言ったからこの何々ができたということについては、経緯でございますので、この場でお話をすることができない、制約がある ということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
 例えば、一番上でございますか、御指摘をされております物品貿易小委員会、これは他のEPAにもあるということは先ほども政府委員から御答弁をさせてい ただきましたけれども、締約国間の物品の貿易を促進すること、貿易促進のためにこの小委員会というものが設けられている。
 その中で特にどんなことを議論するかと申しますと、非関税措置の適用に関する障壁について対処し、適当な場合には、これらの事項を検討のために委員会に 付託することができると。どちらかと申しますと、非関税措置の適用に関する障壁についての対処ということがこの委員会の主なる任務となっております。
 また、二番目の農業貿易に関する小委員会についてでございますけれども、この規定は、締約国間の農産品の貿易及び適当な場合にはその他の事項を促進する こと、そして、この規定の実施、運用、規定する食料の輸出の制限の通報を含むについて監視し、及び協力を促進することと。スムーズにいっているかいってい ないかということを監視するということが重立ったる任務である。
 そういう形でこの二つの小委員会ができていると御理解をいただきたいと思います。
○畠山委員 これは、きちんと仕組みの問題で改めて議論したいと思うんですよ。
 小委員会は、もちろん、この章だけでなく、さまざまなところに置かれています。この小委員会、どういう人が委員となるかということもまた問題です。そして、これを全体としてつかさどるTPP委員会がまたあります。
 これらの仕組みによって、先ほどから言っているように、ほかの国々は原則もう関税が撤廃されている状況のもとで、日本に要求されることは、例外として政府が言ってきたことを対象として協議されるということは想像にかたくありません。
 ですから、この点、改めてまた議論したいと思いますけれども、その点で、政府が例外と呼ぶものも守られ続ける保証があるのかという疑問を強く述べておきたいと思います。
 時間がきょうは少ないですので、政府の影響試算と米について、一言、二言だけお聞きしておきたいと思います。
 TPP発効後に、米については初年度に、米国に五万実トン、豪州に〇・六万実トンの輸入枠を設けています。徐々にふえて、十三年目以降は、今でさえミニ マムアクセス米として七十七万トンを輸入しているわけですが、それに加えて、米国から七万実トン、豪州から〇・八四万実トンを輸入ということになります。 そして、政府は、その分の国産米を備蓄米として買い入れるから、価格への影響も生産額の減少もない、ゼロだという試算をしています。
 これに対しては、本当に影響がゼロだと言い切れるのかという強い心配の声が上がっています。これは、政府の試算を農家だけでなく自治体もまた信用していない状況があるんですね。大臣御存じだと思いますが、さまざまな県が試算を行っています。
 今回輸入するものについてはSBS枠として、これは主に中食、外食など業務用に使われているお米ということは、前回どこかの答弁で大臣も答弁されていました。
 その業務用米の生産が多い青森県の試算では、米生産額は二十三億円減ると試算しています。福井県でも、同じく、業務用米の価格低下に引っ張られて、米生 産額が十五億二千万円減ると試算しています。熊本県でも、同様に、十三億六千万円の米生産額減少です。この三県だけでも五十一億八千万円も減少すると試算 しているんですね。これは、政府試算の生産額の減少ゼロとは大きな違いです。
 県の試算が間違っているというんだったら間違っているとはっきり言わなければいけないし、ゼロだというのであるならばその根拠を明確に説明しないと、これはいつまでも心配は解けません。
 一体、この違いは何から生まれるんでしょうか。
○森山国務大臣 畠山委員にお答えをいたします。
 冒頭の御発言で誤解があるといけませんので少し御説明申し上げておきますが、私が玉木委員に御答弁をいたしましたのは、我が国の譲許表では、WTOの水 準に従うもの、すなわちTPPでは変更を加えなかったものを単純に数え上げれば、重要五品目五百九十四ラインのうち百五十五ラインであるということでござ いますので、そこは先ほど答弁を申し上げたとおりでございますが、御理解をいただいておきたいと思います。
 まず、三十六の道県が行った試算においては、米につきましては、大半の道県で、二十九の道県でございますが、政府の試算と同様の影響額はゼロという結果 になっておりますけれども、一部の県においては、特定の銘柄の米の価格とSBS輸入米との価格を比較し、その価格差分、当該県産の米の価格が下がるという 仮定によって影響額を試算しておられると思われる県が七県ございます。今先生が御指摘になった県でございます。
 これまでSBSで輸入される米の価格は、輸入米に比べて圧倒的に多く流通しております国産米、約八百万トンでございますけれども、この価格水準を見据え て形成をされ、主に業務用に用いられる国産米とほぼ同等の水準で流通をしております。今までのSBSの結果がということでございます。
 政府としては、新たに国別枠が設けられた場合でも、その数量規模が数万トンと、これまでの状況と基本的に変わらないと考えておりまして、この前提で影響試算を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、政府としては、政策大綱に基づきまして、国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れ、国別枠の輸入量の増加が国産 の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断することによって、確実に再生産が可能となるようにするということを大綱で決めさせていただいております。
 合意内容、国の試算の考え方、対策の内容やその効果についても、今後とも、各地域に対しまして丁寧に説明をいたしまして、農業者の皆さんの不安と懸念の解消に努めてまいりたいと考えております。
○畠山委員 先ほどの玉木委員の発言のことについて言われましたが、議事録できちんと精査したいと思いますけれども、先ほど来の答弁で確認されたことを私も改めて確認したいというふうに思います。
 それで、今答弁ありましたけれども、私が県名を挙げた三つの県ともに、政府の対策を前提とした試算を行っているわけです。一体何が違うのかということ は、現場ではかなり、わからない、不安だということがどんどん出てきているわけですよ。そうでなくても米の価格が、さまざまな要因はあったかもしれません が、ミニマムアクセス米など輸入がどんどん広がり、それにあおられる形で価格が下がってきたということを体験的に多くの農家が知っている中で、政府の試算 がどうして信用できるかということになるのは、私は当然の思いだと思うんですね。
 それで、日本農業新聞のモニター調査でも、政府の試算は影響を少なく見過ぎていると答えた方が七六・七%もいる。全然納得していないんですよ。
 私は、もう一回きちんと試算をやり直す必要があると。この米の問題についても、これだけさまざまな県が、対策を、同じことをやると言っているのに違うんだから、きちんとやり直すべきだと思います。
 最後、答弁してください。
○森山国務大臣 例えば、先生、青森の場合でございますが、先ほど委員御指摘のとおり、米への影響額というのは二十三億円というふうになっ ておりますけれども、考え方として、青森県の「まっしぐら」とか「つがるロマン」という価格がSBSの輸入米の価格まで低下するという仮定が置いてござい ます。低下する価格にそれぞれの銘柄の県産量を乗じての計算になっております。
 青森県産の個別銘柄の価格、青森県の「まっしぐら」とか「つがるロマン」というのは、相対取引の価格ということを考えますと、そういうことにはならない のではないか、そう考えておりまして、それぞれの県の試算と我々の考え方についても精査をいたしておりますので、よく御説明を続けてまいりたいと考えてお ります。
○畠山委員 時間ですので、終わります。