○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 森山大臣とは、先週の月曜日から、きょう数えたら五回目の質問ということになって、また君かというふうに思わないでいただきまして、早速質問に入りたいと思います。
 本題に入る前に、国と北海道と北海道むかわ町が三月に結んだ協定について一言伺います。
 これまで、町と道、道と国、国と町がそれぞれ連携していたものを、今回、流域が一体となって森林の整備、管理、また森林資源の有効利用を図ることとした協定と聞いています。
 さまざまな問題を抱えている林野行政の中で、国と都道府県と市町村がこのように三者協定を結んだことは、重要な意義を持つものと考えます。
 そこで、今回のこの協定が、今回審議されている法案や、見直しが進められている森林・林業基本計画との関係でどのように位置づけられるのか、内容や意義について説明してください。
○伊東副大臣 畠山和也議員の御質問にお答えしてまいります。
 お話にありましたように、本年三月二十二日、むかわ町、そして北海道庁、北海道森林管理局との間で、むかわ町における地域主体の一体的な森林づくり協定 が締結されたところであります。この協定は、お話にございましたように、国有林、道有林、町有林、そして私有林の所管を超えて、流域一体となって森林整備 やあるいは森林資源の循環利用を推進することを目的としたものであります。
 畠山委員御指摘のとおり、林野庁といたしましては、地域の森林・林業を活性化する観点からは、国有林と民有林との連携が重要であると考えております。こ れまでも、こうした協定に基づき、路網の整備や効率的な間伐等に連携して取り組む森林共同施業団地などの取り組みを進めてきたところであります。
 今般見直しを進めております森林・林業基本計画の案におきましても、森林共同施業団地の推進等による国有林と民有林との連携した取り組みの推進の方向を位置づけているところでありまして、引き続き積極的にこれらに取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○畠山委員 今ありましたように、積極的な内容を持つし、積極的な意義があることというふうに私も思います。
 大分前になるんですが、むかわ町の、合併した穂別の方にあります木質ペレット工場や森林組合を伺ったことがあります。今も、きょう議論されているとおりですが、多くの木が伐期を迎えるということから、森林資源の有効利用について学ばせていただいたんですね。
 同時に、そこに向かう途中で、大きくはないんですけれども土砂崩れがあった現場も通りまして、急激な天候の悪化のときだったというふうに聞きましたが、 そこがどこの所有の山だったかちょっと記憶にないんですけれども、いずれにしても、活用と同時に保全、保安の重要性もその現場で学んだという記憶がありま す。
 つまり、先ほどの答弁にもありましたように、現状は、国有林、民有林なども問わず連携を強めながら、根本的なさまざまな検討を必要とする時期を迎えているということを確認しておきたいと思います。
 そこで、本改正案について伺いますが、まず大臣に、森林をめぐる現状認識について伺います。
 むかわ町に限らず、戦後造成されてきた人工林の半数以上が主伐期を迎えている中で、切ったら植えなければいけないわけですので、森林資源の有効利用と計画的な再造林は一体なものであることは間違いありません。
 木材需要は近年増加傾向ですが、一方で、木材の価格がさほど上がっていない。これらを背景にして、森林所有者の経営意欲の衰退や森林組合員の減少などが森林の管理、保全や有効利用を困難にしているのではないかと思います。
 このような現状や問題点について、まず大臣の認識を伺います。
○森山国務大臣 畠山委員にお答えいたします。
 委員の御指摘のとおり、やはり、近年、木材価格が低迷をしてきておりますし、また、森林所有者の世代交代等により森林所有者の経営意欲が低下をしてきて いるというふうに見ております。地域の森林組合に対しては、地域の森林の施業を集約する役割を一層果たしていくことが期待をされるようになってきていると いうふうに認識しています。
 その期待に応えるためには、これまでの施業受託や森林経営信託の引き受けという手法に加えて、組合がみずから森林を所有し、経営できるようにすることが有効であるというふうに考えたところでございます。
 このため、今般の法改正では、森林組合系統が積極的に森林経営を行えるように、森林組合が、組合員の同意に基づいて、組合員の利益の増進を図る目的で森 林経営を行えるように道を開くとともに、組合員の同意をとりやすくして、連合会も組合と同様に森林経営ができるようにする等の改正をお願いしているところ でございます。
○畠山委員 今大臣、中身についても御答弁いただきましたけれども、この後、少し掘り下げて質問させていただきたいと思っています。
 ただ、いずれにしても、ここは認識は同じでありますが、木材価格の低迷に対してどうするかということは重要な点だと思いますので、まずこの点を少し伺いたいと思うんですね。
 振り返ってみますと、戦後の復興資材から見れば、当時、大量の木材が、復興資材ですから、必要とされ、伐採をされて、人工林が成長する前に高度経済成長期と当時の東京オリンピックを迎えることとなりました。
 そこで当時の政府がとった策として、丸太の関税もゼロにして海外材を大量輸入するということもありました。これで当時の需要を賄うことはもちろんできま したけれども、低価格の輸入材が市場に定着してしまうことになったのではないか、それが、今日、国内需要の約七割を輸入材で占めてしまう出発点となってし まったのではないかと考えます。
 人工林の約七割近くを占める杉とヒノキの木材価格が、今、ピーク時の約三分の一から四分の一となっています。ある生産森林組合にお話も伺ったんですが、 木材価格が安過ぎて人件費が払えないという表現をされたんですね。それで、二〇一三年の森林組合統計を見ると、生産森林組合の方ですが、総数三千七十九の うち二千九十二組合が平均で六十四万円の赤字となっているということは、現状は共通しているというふうに考えます。
 そこで、先ほど大臣が答弁されましたように、いろいろな形態も変えていったりすることになる本改正案ですが、生産森林組合でいえば、株式会社、合同会社、認可地縁団体など多様な形態に変更できることとしています。
 今の低い木材価格に対して、これで経営が改善できる環境といいますか、そういうことになるのかどうかについて伺います。
○今井政府参考人 生産森林組合のお尋ねについてお答え申し上げます。
 生産森林組合は、森林経営の協業化を望む組合員が、みずからの森林、労働力等を出し合って、法人形態で効率的な森林経営を行うための協同組織としてつくるものでございます。
 そういった制度の趣旨から、組合員みずから組合の事業に従事するということが法律上求められておりますけれども、高齢化等により、みずから組合の事業に 従事することが困難となっている、そういう場合があったり、あるいは、生産森林組合の経営を多角化したい、そういう意向を持つ場合であっても、森林組合法 で規定されている事業以外の事業を行うことが制約される、そういったこともあり、今日的に見ますと制度と実態との間に不都合な面も生じている、そういうこ とではないかと我々としては分析しております。
 このため、今般の法改正で、組合の活動状況ですとか経営の意向の方向等を踏まえまして、保有する森林の管理を継続しながら、生産森林組合から他の適切な法人形態へ移行できる措置を講じてはどうかと考えたところでございます。
 今回措置する組織変更の規定によりまして、生産森林組合が株式会社になる、あるいは認可地縁団体になる、合同会社になるということで、法人としての活動 がより自由になって、経営が今よりも改善される部分があるのではないかということを考えておりまして、先ほど先生から御指摘があった組織形態の変更という のは、材価の低落に伴う対応ということではなくて、むしろ、組織の行為能力、その活動の仕方をより自由にして経営能力を発揮できるようにするというような 趣旨で今回法改正を考えたところでございます。
○畠山委員 今、森林組合法の話となりましたので、もう少し中身について伺います。
 経営能力の発揮という点では、生産森林組合、森林組合、県森連なども含めて対象で、考え方としては同一だと思うんですが、二十六条には森林組合がみずから森林の経営ができる規定があります。
 この改正案では、これまで例外的に認められていたという経営事業をやりやすくするものということで理解をするんですが、確認なんですけれども、それで は、今までなぜ経営事業の目的は限定され、実施手続も厳格に定められていたのか、その厳格さが求められていた理由について、確認のため伺います。
○今井政府参考人 お答え申し上げます。
 森林組合は、森林所有者等によって構成される協同組織でありますので、施業の受託、販売事業などによる組合員の森林経営のサポートを行うとともに、森林の保続培養、森林生産力の増進を図ること、そういうことを目的とした組織でございます。
 森林組合がみずから森林を経営することにつきましては、組合員が行う森林の経営と競合し得るという面もございますし、また、森林組合がみずから森林経営を行うことになりますと、森林組合自体のリスクともなり得るということから、組合員の利益に影響するおそれもあります。
 そうしたことから、当初の森林組合法におきましては、事業の目的に限定をかけまして、法第一条に定められる法目的の一つであります森林の保続培養、森林生産力の増進のために行う場合に限ってその森林経営の実施を認めてまいりました。
 また、その実施に当たりましては、組合員の意見を適切に反映する観点から、組合員の三分の二以上の書面による同意という厳格な手続を定めていたところでございます。それが当初の制度を創設したときの考え方でございます。
 しかしながら、近年、木材価格の低迷ですとか、森林所有者の世代交代によりまして森林所有者の経営意欲が低下する中で、地域の森林組合は、組合員の方か ら、森林施業を集約する役割を一層果たしてほしいということが大きく期待されるようになってきているところでございます。
 その期待に応えるためには、今般の法改正におきまして、法第一条に定められるもう一つの法目的であります森林所有者の経済的社会的地位の向上に資するも のとして、林業を行う組合員の利益の増進を期する、それを森林経営事業の目的に追加しまして、森林組合みずからによる森林経営を行いやすくするように措置 しようと考えているところでございます。
○畠山委員 先ほど、小山委員でしたか、経営上のリスクの問題であったり、今答弁がありましたが、適切な組合員の意見の反映など、協同組合 としての原点である相互扶助などが厳格さを必要としていたと思うんですね。それで、今回のように、森林組合が森林を取得して森林経営を行うとすれば、組合 員の利益に反することになりはしないかということなどは、先ほどから議論があったとおりだと思います。
 今回の改正内容を改めてもう一度確認していくと、一つに実施手続等の緩和があるわけです。組合員数八百人以上規模の組合については、組合員の過半数が出 席した総会において、出席組合員の三分の二以上の議決でよしとする。二つに、組合員の従事義務を廃止するなど実施手続も簡素化する。三つに、公益目的とさ れている森林組合の行う森林経営の目的に、林業を行う組合員の利益の増進という経済目的を加える。四つに、森林の経営主体に都道府県の森林組合連合会も位 置づけられるなどなどとなります。
 それで、今ありましたように、組合員の減少であったり高齢化などから、森林経営事業の労働力として見込めないことなどに、一定の緩和や廃止などの措置はやむを得ない面がある現状は理解しています。
 一方、森林組合や連合会が、木材の加工販売や、今回はバイオマス事業者等の大口取引先の問題も入っていますけれども、林地残材や未利用資材を販売するな ど経済事業に積極的になればなるほど、森林組合法の第四条に書いてある、組合は「その行う事業によつてその組合員又は会員のために直接の奉仕をすることを 旨とすべきであつて、営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という理念との整合性について、矛盾はないのかどうか、これは大臣に御答弁いただき たいんです。
○森山国務大臣 お答え申し上げます。
 森林組合法第四条は今先生が御指摘になったとおりだと思いますが、今般の法改正におきましては、森林組合が、組合員の同意に基づいて、林業を行う組合員の利益の増進を図る目的で、みずから森林経営を行えるように道を開く等の改正を行うものでございます。
 このように、今回改正される森林組合の森林経営事業は、組合員の同意に基づくもので、組合員の利益と相反するものではないと理解をしております。また、 法目的の一つである組合員の経済的社会的地位の向上を図るための手段として行われるものであることから、法第四条の基本理念とは矛盾をしないと考えており ます。
○畠山委員 あわせて、関連して少し質問を前に進めたいんですが、改正案では、都道府県域を超える取引を木材安定供給確保事業計画の認定対 象に追加して、計画の策定主体に木質バイオマス利用事業者を加えることにもしています。これによって、大型製材工場や木質バイオマス利用事業者等が広域か ら木材を集荷しやすくして、木材の安定供給体制の構築を促進することとしています。
 この事業計画の策定主体に木質バイオマス利用事業者が入ることについて、いろいろ聞き取りもしたんですけれども、ある首長さんからは、大手のバイオマス 事業者が山を丸ごと買いたいと言ってきているというところがあるそうなんですね。大手に山ごと囲い込まれてしまわないかという心配の声もあるんだという懸 念のお話も伺いました。
 そもそも、木質バイオマス発電についてもいろいろまた調べましたけれども、今まで林地に捨てられていた林地残材を活用して地域の林業振興の一助にするという狙いも一方にあったと思います。
 しかし、今回、森林組合が行う経営事業の見直しや共有林の持ち分移転の裁定制度の創設などと相まって、施業の集約化と利益を上げるための伐採が優先され て、地域に根差した林業再生や森林資源の保全という観点が後景に追いやられるという心配、おそれはないかということについて伺います。
○今井政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の法改正におきます森林経営事業の見直しですとか共有林の持ち分移転の裁定制度の新設は、近年、木材価格の低迷や森林所有者の世代交代等により森林 所有者の経営意欲が低下する中で、適切な森林の整備ができない問題が顕在化していることを踏まえ、それに対する対応策として考えたものでございます。
 具体的には、施業の受託だとか経営信託に加えまして、森林組合がみずから森林を所有し、経営できるようにする、あるいは、所在不明の所有者の存在により 施業が困難となっている共有林の立木持ち分が移転できるようにするということにしておりまして、これらにより、森林施業の集約化と面的な森林整備が促進さ れるものというふうに考えております。
 これらの措置によりまして森林が伐採されることとなった際におきましても、森林計画制度における伐採の届け出ですとか森林経営計画制度、保安林制度等に より適切な施業が担保されるとともに、今般の法改正におきましては、森林所有者等による造林の状況の報告等の制度も創設し、市町村による指導監督を行いや すくすることとしておりまして、これらの制度の適切な運用を通じまして、森林の保全を考慮しない無秩序な伐採などが行われることがないように取り組んでい きたいというふうに考えております。
○畠山委員 そのほかにも個別の観点でいろいろ聞きたいことがありまして、林地台帳の問題も先ほど来質問がされまして、私の方も問いたかっ たんですけれども、やはり事務作業を、地方自治体において負担を軽減しなければいけないという点などがあるということを指摘しておきたいと思います。
 時間の関係で、少し先に進めたいと思うんです。
 いろいろこのような形で、さまざまに個別も含めた、議論を深めるべき論点があると思っているんですね。それほど林業の現状が深刻だということで、一つ一 つを解決することはもちろん大事だと思っているんですが、ちょうど今、基本計画を見直していることに当たり、根本的な問題を改めて議論もしておく必要があ ると思っています。
 この森林・林業基本計画の見直し案には、輸入材に対抗し得る高い競争力を確保していくことが強調されて、望ましい林業構造の確立という部分では、意欲あ る者に森林経営計画の作成と長期的な施業の受託を推進し、同計画に基づく低コストで効率的な施業の実行の定着を図るとあります。
 意欲ある者という理解なんですけれども、これは力のある森林組合や生産森林組合、あるいは民間の林業経営事業体に支援を集中するとも読める内容と理解していいのか、それが目指している内容なのか、答弁いただけますか。
○今井政府参考人 お答え申し上げます。
 何度か先生からも御質問いただきましたけれども、現在、一番の問題は、木材価格の低迷、森林所有者の世代交代等により森林所有者の経営意欲が低下している、それが非常に深刻な事態にまで至っているということではないかと思います。
 そういう中で、林業の持続的かつ健全な発展を図るためには、その地域の森林を森林組合等にまとめる役割を果たしていただく、そういうことが必要かという ふうに考えておりまして、とりたてて、力のある大きな林業事業体、森林組合等に全てを任せるということではなくて、全体の森林経営に対する意欲が低下して いる中で、地域の森林を守っていくという意思を持っている事業体にいろいろな計画等をお願いできるような、そういう枠組みをつくるということが重要ではな いかというふうに考えております。
 そういうことから、今見直しを行っております森林・林業基本計画の見直し案の中では、森林経営計画の作成による施業の集約化ですとか長期受委託を推進す ることに加えて、生産森林組合ですとか共有林の活用等を通じた施業ロットの確保、生産性の向上、あるいは自伐林家の取り組みへの支援、そういった地域の森 林・林業にかかわる全ての主体が活躍できるような、そういうフィールドをつくっていきたいというふうに考えております。
 今後とも、特定の主体に偏ることなく、地域の実情に即して多様な担い手が育成、確保されるとともに、それぞれの活躍を通じ、林業の持続的かつ健全な発展が図られ、森林の多面的機能の発揮が確保されることを目指していきたいというふうに考えております。
○畠山委員 何で先ほどのような質問をしたかといいますと、同じようなところの部分で、自家労働により施業をしている林家については、この 計画案の中で次のように書いてあるんですよ。地域の森林・林業を効率的かつ安定的な林業経営の主体とともに相補的に支える主体として捉えると書いてあるん ですね。相補的、よくわからなかったんです、私の理解が悪いのかどうか。
 今御答弁ありましたように、全ての主体が活躍できるような環境をつくるであったり、多様な主体をもって支援するんだということであるのかどうか、もう一度、ここの私が指摘した内容について、関連して説明していただけますでしょうか。
○今井政府参考人 お答え申し上げます。
 林業の持続的な発展を図るためには、林業従事者の多くが居住する山村におきまして、林業生産が活発に行われ、定住が促進されること、そういうことが非常に重要だと思います。
 その際には、いろいろな事業体が地域にはありますので、森林組合、あるいは民間事業体、さらにはいわゆる自伐林家などの多様な担い手が相互に協力していくということが非常に重要であり、かつ効果的なんだろうと思っております。
 相互に協力することの具体的な効果といたしましては、例えば、林業事業体による活発な林業生産活動を通じて整備された路網等を自伐林家が有効に活用す る、あるいは、造林など季節性のある林業事業体の労働力を、自伐林家が一時その労働力として担うことにより、自伐林家の収入の確保に資する、あるいは、林 業事業体が中心となって木材を安定的に供給する中で、地域の材の価格安定につながり、それはひいては自伐林家の利益にも資する、そういった相互に補完する ような関係というものがあって、そういうものが実現するようなものを目指していくことにより、多様な担い手が地域の森林・林業を効果的に支えていく姿、そ ういうことを目指したいということを基本計画の中に位置づけたいと考えたところでございます。
○畠山委員 施業の集約化の必要性だったり、今述べたような中身もあるかと思うんです。一概に否定するつもりはもちろんないんですが、大規模な事業体だけに限らず、バランスよく支援の仕組みを充実するということは必要だと思うんですね。
 というのも、今年度予算をもう一度見てみると、例えば、高性能林業機械導入支援事業というのが、年間素材生産量が三千立米以上という要件になっている。小さな生産森林組合では対象にならないところもあるんですね。
 林政審議会でも、こういう大規模集約などだけではない、もう一つの道があるんじゃないかという問題提起に私は注目しました。いろいろな実例も議論されて いましたよね。群馬県では、県森連が渋川市に製材施設を設置して、全量買い取りの出口対策を行っていることですとか、きょう冒頭にも紹介した、地方公共団 体との連携によって地域の林業関係者を支える多様な道もあるのではないかというふうに思うわけです。
 年間二千立米ほどの素材生産量がある生産森林組合でもちょっと聞き取りをしましたら、施業困難な森林所有者の委託を受けて仕事を確保し、黒字化してきた という努力も伺いました。一方で、自分たちのように地域に根差した林業経営をしている小さな事業体は、大きな事業体が進出してきたら太刀打ちできないと述 べているわけです。
 これは大臣に一言きちんと述べていただきたいんですけれども、こういうような現場の声に対して、どのように受けとめられますか。
○森山国務大臣 林業の現場においては、効率的、安定的な、大規模な事業体のみならず、それぞれの地域の実情に応じた多様な担い手が存在することが重要であると認識をしております。
 このため、小規模な事業体と大規模な事業体が相互に協力、役割分担をしながら、地域の森林・林業を支えていくことができるように、引き続き、小規模な林業事業体による造林、間伐等への支援など、各般の施策を講じてまいりたいと考えております。
○畠山委員 残りの時間、最後に問いたいのが、政府の林野行政の位置づけについてです。
 まず、基本を確認いたします。
 森林・林業基本法は、第四条で、「森林及び林業に関する施策についての基本理念にのつとり、森林及び林業に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。」と国の責務を定めています。
 確認します。ここにある基本理念とは何でしょうか。事務方で結構です。
○今井政府参考人 お答えいたします。
 森林・林業基本法におきましては、第二条及び第三条におきまして、国、地方公共団体や林業従事者等の関係者が進むべき方向となる基本的な考え方を基本理念として規定しております。
 まず、第二条におきましては、森林の適正な整備及び保全を通じて、森林の有する多面的機能の持続的な発揮が図られることが重要であるということが一つ目の理念として掲げられております。
 その上で、第三条におきまして、その森林の多面的機能の発揮のためにも、林業が持続的かつ健全に発展するとともに、林産物の需要に即した供給と利用促進が図られるべきであるということが二つ目の理念として掲げられております。
 その上で、第四条は、国は、この二つの基本理念にのっとり、森林及び林業に関する施策を総合的に策定、実施する責務を有するというふうにされておりまし て、林野庁といたしましては、こうした理念にのっとり、第二条、第三条の二つの理念に基づき、森林・林業基本計画に基づいた具体的な施策を講じていくとい う構成になっていると認識しております。
○畠山委員 森林の多面的機能の持続的発揮のための整備、保全、また山林における継続的な林業生産活動も一体として捉えるということがこの基本理念の中にあるかと思います。この方向で林業の再生を図っていくことが基本だろうと思います。
 そこで、今回の法案を見て感じることが、国の責任を軽くして、市場に任せようという姿勢ではないのか。その姿勢が、政府の林野行政に対する位置づけにも端的にあらわれているというふうに思います。
 というのは、二〇一五年農林業センサスで、二〇〇五年に二十万あった林業経営体が二〇一五年に八・七万経営体と五六・六%減ってきていました。
 軌を一にして、林野庁の資料によれば、林野庁の職員数も、二〇〇七年度は七千百八十三人いたのに、今年度は四千九百七十二人と約三割減です。統計のある昭和三十九年、ですから一九六四年だと思いますが、当時は八万八千五百三十八人いたんですね。
 改めて、林野庁の入庁案内、職員募集パンフも見たんですね。転勤も多い職場なんだなと改めて思いましたし、森林の大切さを理解して、山を守りたいという 職員の初心や思いというのが伝わってきました。ですから、人員削減が続いてきたことが残念でなりません。こういう機会に改めてその点を指摘しておきたいと 思うんです。
 営林署から人が消えてもう久しいですし、予算で見ても、二〇〇六年度の四千二十六億円から、今年度二千九百三十三億円と三割減。森林資源の活用はもちろ ん必要だと思いますが、水源確保や防災の観点も含めて、森林の保全という国の大義を改めて確認すべきではないかと思います。
 この基本法の理念に基づいて、指摘されているとおり、ふさわしい人員や予算が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○森山国務大臣 お答えいたします。
 林野庁の職員につきましては、その大半が国有林野事業の職員でありますが、政府の行政改革の方針のもと、人員、組織の徹底した合理化、縮減に取り組みました。
 昭和三十九年がピークでございまして、そのときは八万九千人いた職員が、先ほど委員も御指摘になりましたとおり、本年四月時点で約五千人弱になっているところでございます。
 また、平成二十五年度からは、国有林野事業の事業、組織全てを一般会計に移行したところでございます。
 一方、林野庁の予算については、政府の厳しい財政状況のもと、平成九年度がピークでございますが、このときは五千三百億円でありましたけれども、本年度は二千九百億円となっているところであります。
 今後とも、業務の効率化を図ることは大事なことだと思っておりますが、必要な予算の確保を行い、森林の多面的機能の発揮や林業の持続的かつ健全な発展などの基本理念に掲げた政策の実施に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○畠山委員 今回の法案を審査するに当たって、私自身も本当にいろいろな現状を学ばせていただきました。所有者がわからない、先ほどあった 木材価格の低迷、いろいろな問題が複合的に絡まっていて、今述べたように、歴史的に、林野行政はどうあるべきだったんだろうかということも思いました。
 法案が五本一括で出されて、必要なものもあると思っていますし、懸念しているものも率直に言ってあります。
 これまでの矛盾が膨らんできたことで、全てを解決しなきゃいけないということから五本一括ということだったのかもしれません。ですが、これまでの林野行政の総括なしに展望はなかなか見えてこないのではないかなというふうにも一方で思います。
 大臣、最後に伺いたいんですが、今回の法改正にとどめず、林野行政のこれまでの全般的な総括を求めたいと思いますが、最後に、いかがでしょうか。
○森山国務大臣 お答え申し上げます。
 戦後造林をされました人工林が本格的な利用期を迎える中、森林資源を循環利用し、木材需要の拡大と国産材の安定供給体制の構築を車の両輪として、林業の成長産業化を実現し、地方創生に貢献することが喫緊の課題であると認識をしております。
 このため、需要面では、CLTや木質バイオマスの利用促進等による木材の需要拡大、供給面では、施業集約化や路網の整備など低コスト化の推進を通じた国 産材の供給力の強化、間伐等の森林整備、保全等を通じた森林の多面的機能の維持向上などの施策を総合的に推進し、木材需要の拡大と国産材の安定供給体制の 構築に取り組んでいるところであり、林業の成長産業化の実現に向けて最大限の努力を今後も続けてまいりたいと考えております。
○畠山委員 なお、この後提案されます合法伐採木材等の法律案について一言だけ申し上げます。
 地球温暖化の防止、日本を初め各国の森林資源の保安、保全に向けて、合法伐採の木材を活用することで違法なものを市場から排除する仕組みは我が党も必要なものと考えます。関係団体や国際NGO団体からも提起されてきた問題であり、可決する意義は大きいものと考えます。
 これを機に、輸入業者、関係業者が林業、木材加工業等の健全な発展に貢献することを期待するものであります。
 質問を終わります。