○畠山和也君 私は、日本共産党を代表して、環太平洋パートナーシップ協定及び関連十一法案に断固反対の討論を行います。(拍手)
 何よりまず、TPP特別委員会における質疑打ち切りと採決強行に厳しく抗議するものです。我が党は、結党以来、強行採決をしようと考えたことはないと述べた安倍首相の目の前で、国会ルールを踏みにじり、慎重審議を求める国民多数の声に背く暴挙が行われたのです。
 そもそも、山本農水大臣の二度にわたる暴言は、国会と国民を愚弄するものです。辞職は当然です。にもかかわらず、政府・与党から事態の打開についてゼロ回答とはとんでもありません。
 その上、米国では、TPP離脱を明確に口にしたトランプ氏が次期大統領に選ばれました。TPPによって雇用が奪われることへの米国民の怒りと不安が反映したものです。米国のみならず、日本でも各国でも反対や批判の声が広がる中で強硬に採決へ突き進むとは、まさに愚の骨頂ではありませんか。
 国民への説明責任は果たされていません。国会で問題点を明らかにするべく責任を投げ捨てる、自民、公明による強引な運営に対して、満身の怒りを込めて抗議するものです。
 委員会質疑を通じて、TPP協定の重大な問題点が明らかになりました。
 第一に、TPP協定の原則は関税撤廃であり、国会決議に真っ向から反するということです。
 決議は、農産物の重要五項目を除外または再協議とし、十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も認めないことを求めていました。しかし、TPP協定には除外も再協議もなく、重要五項目のうち三割で関税が撤廃され、残り七割でも、関税率の引き下げなどにより、無傷な品目は一つもないと政府は認めました。乳製品や林産物、水産物の中に十年を超える段階的な関税撤廃品目があることも認めました。
 政府がかち取ったというセーフガードなどの例外も、発効七年後の再協議規定で撤廃に向けた協議が約束させられています。小委員会や作業部会などで協議の対象となることを政府も否定しなかったではありませんか。
 決議では、交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告することも求めています。しかし、交渉経過は黒塗り文書でやり過ごし、審議を通じても、交渉の中身については言えないとの一点張りで、国会にも国民にも限られた情報しかもたらされていません。
 さらに、SBS輸入米での価格偽装疑惑によって、政府試算の前提は覆りました。再調査も再試算さえもしない政府の姿勢に、米農家の怒りや不信が広がっています。
 これがTPP協定の紛れもない結果であり、国会決議違反であることは明白ではありませんか。
 第二は、TPP協定が、食の安全を初め国民の暮らしと命、健康を脅かすことです。
 TPP発効で、輸入食品や遺伝子組み換え食品の急増は明らかです。輸入食品の九割以上が無検査のまま流通し、残留農薬基準違反でも消費されている驚くべき実態がある現状で、政府は、食の安全を守れる保証を示せなかったではありませんか。
 日米二国間の交換文書で将来の保険制度の協議を約束し、国民皆保険制度が崩される危険があります。米国の製薬企業が薬価決定に影響を及ぼし、薬価が高どまりする懸念は否定できません。助け合いの精神で始まった共済事業が、民間保険との競争のもとで制度の見直しが議題になる可能性も政府は認めました。極めて重大です。
 第三に、TPPの効果は、日本の企業の圧倒的多数を占める中小企業には、恩恵が及ぶどころか、取引先の多国籍企業による海外展開につき合わされ、国内の産業空洞化が一層ひどくなることです。
 政府は、技術力などを持った中小企業がいながらにして海外へ展開することの後押しになると言いますが、現在、海外展開している中小企業はわずか〇・九%にすぎず、九割は海外展開の必要性さえも感じていません。
 また、安い農林水産物の輸入によって、農林漁業を基幹産業とする地域では、食品加工や流通、運送などの中小企業に打撃が及ぶことは、火を見るより明らかではありませんか。
 第四は、多国籍企業や投資家が損害を受けたとして、投資先の国を訴えることができるISDS条項が盛り込まれていることです。
 質疑で明らかになったように、米国政府が訴えられても敗訴した事例は一つもないなど、米国とその多国籍企業に有利な仕組みとなっているのが実態です。最低賃金の引き上げや原発ゼロ政策などに対してまで訴えが起こされているのが世界の現実です。濫訴の歯どめとなる保証は全くないばかりか、各国の経済主権が侵害されることは明白であり、断じて認められません。
 加えて重要なことは、政府自身が生きた協定と述べてきたように、各種小委員会や規制の整合、TPP委員会などの仕組みによって、発効直後からTPP協定そのものが変えられていくということです。
 政府は、国内の制度は変更を迫られないとか、国益に反する再交渉はしないなどと述べてきましたが、何の保証にもなりません。TPPの本質は、あらゆる関税と非関税障壁の撤廃にあるからです。
 その上、政府調達、公共事業、環境や労働にかかわる論点は審議さえもされていません。国民の暮らしと命にかかわる問題について十分な審議をせず質疑を打ち切るというのでは、国民に問題点を明らかにすべき国会の責務を果たしたとは到底言えません。
 最後に、国民の暮らしや命よりも多国籍企業の利益のために日本の経済主権、食料主権を脅かすTPP協定は断じて認められません。
 今、世界では、行き過ぎた貿易至上主義に対する反対の声が沸き起こっています。
○議長(大島理森君) 畠山君、時間が来ております。
○畠山和也君(続) 各国の経済主権を尊重しながら、民主的で秩序ある経済の発展を目指す平等互恵の貿易と投資のルールづくりこそ、世界の流れです。日本が進むべき道は、TPPではありません。
 日本共産党は、引き続き、TPP協定の全容と問題点を明らかにするとともに、国民の世論と運動とかたく結んで批准を阻止する決意であることを表明して、反対討論を終わります。(拍手)