○畠山委員 ありがとうございました。
 続いて、中原先生にお伺いします。お聞きしたいのは、酪農、畜産にかかわってです。
 北海道酪農は、つい先日まで、三年連続酪農家が二百戸、年間離農、離脱するという状況などもありました。それで、TPPがあろうがなかろうが、生産基盤の強化、対策が必要だということも言われてきました。
 私も、比例北海道選出で、多くの酪農などの現場は見させていただいたつもりではありますけれども、TPPのもとで勝てる農家というイメージが率直に言って私は湧きません。
 規模拡大やコスト削減なども政府、農水省から言われていますが、おのずとそれは投資の拡大を生むことになります。ただ、先ほどからあるように自然災害ですとか、あるいは牛を相手にすれば病気なども起こるわけであって、その場合、被害が広がったときに、年に一頭しか産めない牛ですから、生産基盤を大きくしていくということが急速にできるものではないというふうに思うわけです。
 ですから、こういう特徴がある酪農、畜産等ですから、その中において、今回のTPPにおいてかなり関税などは削減されていき、政府は乳製品や畜産対策のセーフガードもあるということを言いますが、これは国会で私も議論しましたが、その実効性については議論になっているところです。
 このような状況を踏まえて、政府の酪農、畜産の対策実効性について御見解をお聞かせください。
○中原准一君 やはり、酪農というのは固定資本装備が大きくて、単年度でもうかるもうからないという問題ではなくて、かなり長期のスパンでやっていかないとリターンが来ない、そういう産業だと思います。
 ただ、消費地のサイクルというのは非常に短くて、日本の場合、まだ飲用乳中心のマーケットなものですから、そこで厳しい状況が出てくる。ただ、今、府県の方はやはり北海道以上にリタイアしていく店舗がありまして、北海道は残った酪農家で三百八十万トンぐらい年間搾って全国の生乳の五二%ぐらいは引き受けているんですけれども、これは限界ですね。つまり、別海のあさひ農協さんに伺いますと、農協自身が介護のケアをしないと集落がやっていけない、こういうお話です。
 ですから、やはり、単に規模拡大で搾ればいいだけではなくて、本当に人々の毎日の生活、そして人々のライフサイクルに対してどうケアをしていくのか、そういうような地域政策というのは北海道から発信していく必要があるだろうと私は思います。それは、TPPあるなしにかかわらず、大事な問題だと思います。
 全国の減産を一手に北海道は引き受けているんですけれども、残念ながら、北海道も水害で、直接的なダメージはあれなんですけれども、やはり十勝、新得とか十勝清水、これは巨大酪農地帯なので、ここのダメージはやはり大きいわけで、もう九月から減産になっちゃっているんですよね。だから、農水省でも、年明けにバターを七千トン輸入しなきゃいけない、こういうような状況ですから、本当にもう大変な状況です。
○畠山委員 ありがとうございました。
 続けて、崎出専務さんにお伺いいたします。聞きたいテーマは、国内向けと輸出向けをどう考えるか、基本的なことについて伺いたいと思っています。
 冒頭に、台風被害で噴火湾の方を回ったということを私述べましたけれども、今回の台風被害のみならず、ことしはへい死が多かったというふうに聞きました。ザラボヤも、一旦とまったものも、ことしはまた発生が多かったということもあわせて伺いました。
 噴火湾ですから二年とか三年で出荷する。オホーツクなどでは天然物を含め四年とか五年ということで、酪農ともこれは関連もするでしょうけれども、その一年で、稚貝であったり、物が入ってこなかったり、そこで脱落したりすれば、二年後や三年後においての生産量に影響が出てくるのではないかということが養殖ホタテなどの構造であろうというふうに思います。そこで安定供給をどうするかということは、現場の皆さんと漁連の皆さん、いつも御苦労されているというふうに私は感じています。
 そこで、以前に水産経済新聞で崎出専務さんのインタビューを拝見したときに、国内販売を主体としつつ、その際いろいろな変動が起こり得ますので、輸出を需給調整として行うという役割分担についての考え方を拝見いたしました。もちろん輸出自体は伸びてきていることもありますし、ただ、きょうも一言、途中で、国内と海外向けについては両軸でという一文も資料の方には書かれております。
 私たちは、輸出の戦略性については否定することはもちろんないんですけれども、この間のTPPの議論をめぐって、第一次産業における国内の安定供給と輸出そのものについての何か議論が逆転したり、軽重が少し反対になっている側面もないのかなということは率直に感じることがあります。
 そこで、国内の安定供給と輸出向けのバランスやTPPにおけるこの間の議論で、崎出専務さんの御見解をお聞かせください。
○崎出弘和君 今、畠山先生の方からの御質問で、最初に一つは、安定供給の体制をどうするかという問題がありますね。
 噴火湾とオホーツク、両地区が今非常に大減産になっております。オホーツクについては、平成二十六年度、冬の大しけで、新規漁場が中心なんですが、その前の年にオホーツク地区で三十二万トンあったホタテが、二十二万トンに一気に十万トン減ってしまった。ことしは十八万トンということで、さらに減ってしまった。四年間続くと。ですから、来年まで水揚げ減少が続いて、再来年揚げる場所につきましては従来どおりの稚貝放流をしていますから、しけ被害だとかそういうものがなければ三年後にはまた戻ってくるとは思っているんですが、やはり、適正漁場、それからしけに強い漁場をどうつくるかというのが非常に大切なんですね。
 今、各漁協さんというのは、相当海底調査をしながら、今回の冬のしけというのは、やはり適正漁場でないところの貝が多く死んでいる面もありますので、そこら辺を再度見直ししながら、しけに強い漁場をつくりながら生産回復、そして、最近のしけなんというのは非常に温暖化の傾向が強くて、流氷が来ないとかいろいろありまして、そこで大きな被害が出ていますので、改めて、浜もそこら辺を意識しながら、また、道の水産試験場とも我々一体となってしけに強い漁場づくりをやっていますので、そういうような対応をしてきております。この回復というのは、何もなければ平成三十年、そこら辺から戻ってくるのかなと思っています。
 それで、噴火湾ですね。噴火湾も、去年が十万トン、ことしが五万トン、そして来年は三万トンぐらいという計画、三万から三万五千トンかなと思っています。これは高水温があったり、ことしの場合は台風被害があったり、相当、噴火湾の漁業者もつるす貝の枚数とかを調整しながらきちっとやっておるんですが、やはりこれも、天然の海水が、噴火湾というのは入れかわるんですよね、親潮と対馬暖流が。それがなかなか入れかえが遅くて、水温が下がらない。
 ホタテは高水温に弱いですから、二十四度、五度以上になっちゃうとへい死しやすくなる、活動がとまって餌をとれなくなってへい死していくという要素がありますので、そこら辺も、噴火湾の漁協それから水産試験場とも、へい死対策ということで、水温が高い場合にはどのような漁場に持っていって、水温が低いところに移設しながらへい死を防いでいくかということもやっています。
 これは長い歴史の中で既にやってきたはずなんですが、やはり最近の極端な天候変動でこのようなことが起きていますので、改めて、この極端な天候変動に対応するような、天然の地まきのものも垂下養殖のものも、今対応策を行政と一体となってやっている状態にあります。
 私は、水産経済新聞にもいろいろしゃべりまして、漁連としては、やはり国内消費者を最優先するというのは当然なんですね。日本の一億二千万という、世界でもGDPが三位の裕福な、ある意味、日本というのは裕福な国だと思います、まだまだ所得も高いし。その中で、魚食文化があって、そのマーケットを無視して、まだまだ日本よりも少ない魚介類購入量、供給量の国に売っていくのは、順番としてはやはり国内供給をしっかりつくり上げていくというのが大事だと思っています。
 ただ、やはり今現実論として、日本の消費者が魚介類の購入をどんどん減らしてきている。それは、海外の輸入水産物を、今はなかなか買い負けしていますので何でもかんでも買えるという状況ではないんですが、やはりそういう中で、末端量販店さん、小売店さんも売りやすい、消費者が買いやすいような製品は、輸入ならできるんですよね、定規格、定量とかいろいろありますので。そういう面では、国内の水産物はなかなかそういう面に行かないということもありますが。
 そういう中では、我々、そういうような形に対して、天然ですとか、ふぞろいでもいろいろ国内で買ってもらう、値段は今高いですけれども、それをどう消費者にふやしてもらうかということは、食育ですとか、それから北海道産の優位性ですとか、高鮮度ですとか、そういうものを持ち合いながら国内消費者をふやしていきたいと思っています。
 輸出というのは、これはなぜ先行していくかというと、国内というのは、やはり我々供給者側、サプライヤーが在庫を持ちながら、末端、東京でも大阪でも大消費地で在庫を持ちながら売っていくという非常に経費のかかる商売をやらなきゃいけないです。これは当然ですね、今の日本の物流という中では。輸出というのは、ロットをまとめてどんと輸出できちゃうんですね、コンテナごとに。それで現金決済していくという流れ。今のホタテでもサケでもそうなんですが、輸出価格が先行して出てしまうんです。去年までは、百二十円台という一年間通しての円安ですから、その中でどんどん出ていってしまったという経緯はあります。
 それに対して、我々、経済原則の中で、これはどうしてもとめながら、値段を、ついているコストのものを安くということにできないのはあるんですが、これは今の、国民が魚をなかなか食べてもらえないという傾向の中で、また輸出がどんどん高い値段で持っていってしまうという、世界的に需要が伸びていますので、その中で、今試行錯誤をしながら、漁連としては、やはり国内の大きなマーケットで、販促事業なり食育なり、特に昆布なんてそうなんですよね、こういうものもどんどん減っていっています、そういう中で、何とか国民の魚食に対する意識を高めていきながら、子供たちにも食べてもらいながら、維持して、そして国内供給を少しでもふやしていきたいと思います。
 これは難しいんですよ。やはりアメリカ、中国が二千円で買ってくれる、それが国内では千五百円だとなれば、これはどうしても、とめて売っていくというのはなかなか難しいんです。こういう地道な努力しか私はないと思っています。ただ、ひたすら輸出にどんどん出していって、先ほど問題点を説明させてもらいました、粗悪品をつくられて、日本産の水産物の高品質なものの品質を落とされてそれで日本産で売られてしまうというのは非常にゆゆしき問題でありますので、やはりそこら辺は地道な努力が必要なんですが、国内消費というのを第一に考えて、そして需給バランスという基本的な考えの中で輸出をやっていく。
 先ほど、原材料輸出から加工品輸出に変えていくということがありました。もちろん、これはもう本当に、品質普及という形でもって北海道産の水産物をさらに認知度を高めて売っていきたいというのはありますけれども、基本にあるのは国内消費であり、その次に輸出であるという考えであります。ただ、国内消費の今の傾向の中で伸ばしていくのは非常に厳しい面があるということは、御理解いただきたいと思います。
○畠山委員 ありがとうございました。
 最後に、山居書記長さんにお伺いいたします。
 かつてウルグアイ・ラウンドから、当時のことも御存じであろうというふうに思います。TPPでは、除外になったとか対策がどうだとかということはあるんですけれども、農産物でいえば、過去最大の輸入が見込まれる関税撤廃等であること自体は事実であります。セーフガードの撤廃なども、それぞれの年は違いますけれども、あることからもそれは明らかです。
 そこで、山居書記長さんからは、少し歴史を振り返って御見解を伺いたいんですが、ウルグアイ・ラウンド、ガット以降も、例えば米の対策について言えば、当時もコスト削減ですとか規模拡大ということが言われました。基本は今とそう変わらないんだろうと思うんです。ですから、当時から含めて、TPPでもまた同じようなことが繰り返されるのではないかという点では私も不安を感じる者の一人ですが、今回の米をめぐるTPPの対策を、過去の経緯も含めてどのようにお考えか、お聞かせください。
○山居忠彰君 ありがとうございます。
 先生のおっしゃるとおりで、歴史的に振り返ってみると、WTOは、多様な農業のあり方ということで交渉していたんですけれども、でも、やはり国内においては、構造改革、いわゆる近代化、機械化、規模拡大というようなことで、どうもデジャビュというか、同じものを繰り返している、そんなような気がしています。
 ことしの五月十八日に、アメリカの国際貿易委員会がちょっと興味深い内容を公表しているんですけれども、今回のTPPで、アメリカが輸出がふえて利益をこうむる、この利益を上げるうちの四分の三は日本からだということで、日本がターゲットになっている。
 ということは、日本の中でも、先ほど申し上げたように、やはり北海道が一番影響を受けるということになってくると、これは歴史的に見ても、今、NAFTAで、アメリカからトウモロコシが安く入って、メキシコの農家が総崩れになっちゃって、結局、アメリカに難民、移民になって入っていって、トランプさんじゃないけれども、壁をつくらなきゃならなくなってしまう、こういうことを考えていくと、非常に危惧もするんですけれども。
 我々は、北海道の農民が影響を受けて困るというのは、やはり農業というのは土地と一体化している、あるいは自然条件と一体化している。ですから、災害も当然受けます。それと、季節、春夏秋冬、これらとも一体化しているということです。
 さらに言えば、生活と営農、これも一体化しているということで、しかも、北海道は専業農家が多いということで、近くに大きな都市がないものですから、どこかに逃げる、農家をやめてそっちに行ってという移動が簡単にできない。そして、離農がふえていくとやはり農村コミュニティーも崩れていく。その中で、総合農協だって崩されちゃうと成り立たない。我々は、唯一の頼りの綱が、やはり命綱は総合農協なんですけれども、農協を頼りにしていても、これは何か難しい問題になっていきそうだ。
 さらに、もっと言えば、北海道は、半分雪が降って耕作ができない、その中で、病虫害に強いという利点もありますけれども、輪作体系を組んでいる、これは歴史的にもそうなんですけれども、この輪作体系が崩れるのではないかという心配も出てきます。
 そして、もっと言えば加工ですね、加工分野。先ほどもお話ありましたように、北海道は加工に従事する人、会社が非常に多いんです。ここのところも影響を受ける。
 もとをただせば、農業というのは、種子、肥料、農薬、農機具、それから輸送、そしてまた小売に至るまで非常に裾野が広くて、こういうところにも全部影響してくるのではないか。
 そして、これも先ほどお話ありましたけれども、TPPがあろうがなかろうがということで、これは本来は、TPPがあろうがなかろうが、日本の農業をしっかり強くして世界に打って出る、強い農業、攻めの農業、所得倍増というのは、それをやってからするべきであって、それをしないうちにいきなりやれということは、さあ、潰れなさいというのと、あるいは離農促進というのと同じことなんですね、イコールなんですね。現場の受けとめがそういうことになるものですから、非常に不安が募って、やはりこれが、このままの政策ではいかぬということが不満にもなって行動に移っているわけなんですね。
 これをまずしっかり解決して、従来からの農業対策の費用を全てTPP対策という冠をつけること自体おかしいんじゃないか、そういうようなことも含めて、まず、順序が逆でないか、本末転倒でないかということなんですけれども、それをしっかりやっていただいて、次のステップに進んでいただきたいということを申し上げたいと思います。
○畠山委員 貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。
 国会の審議も、今お伺いしたテーマだけでもまだまだ議論が必要だということも改めて痛感しましたので、国会での議論を深めていく立場で頑張りたいと思います。
 ありがとうございました。