○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 総括的な質疑ですので、総理にしっかりとお答えいただきたいと思います。
 TPPの審議は始まりましたが、協定文などの誤訳の問題、またSBS米の価格偽装疑惑などが発覚をしました。しかし、総理はTPPの批准を急いでいます。
 アメリカ大統領選挙でTPPが一大争点になりました。候補の二人が反対姿勢の中、総理は本会議で、国会でTPP協定が承認され、整備法案が可決すれば、再交渉はしないとの立法府も含めた我が国の意思が明確に示されますと答弁しました。しかし、まだ批准の手続を完了している国はありません。日本だけが前のめりで、後ろを振り返ったら誰もついてこなかったということはないのでしょうか。
 また、国民の声を聞いても、早い批准を望んでいないというのが多数です。資料にありますが、共同通信による世論調査においても、慎重審議を求める声は七割を超しています。また、NHKの世論調査でも、賛成、反対、どちらとも言えずよくわからないという方が半数を超えています。
 政府は約三百回の説明会を行ったときのうも答弁がありましたが、その結果がこれです。説明をすればするほど、慎重に考えたい、判断すべきだということなのではありませんか。先にこのことを総理に聞きたい。
○安倍内閣総理大臣 慎重に審議をすべきだという世論調査が出ていることは十分に承知をしております。ですから、この委員会においても熟議を尽くしていくということだろう、このように思います。
 一方、各種の世論調査で、TPPについては賛成の方が反対よりもおおむね上回っているということも承知をしております。
○畠山委員 肝心なことは、早く承認するかではなくて、日本国民にとってTPPがどのような協定か、徹底審議をして明らかにすることではありませんか。
 批准の手続を完了していない国もただ様子見ではない状況にあることを、総理、御存じでしょうか。国民から意見を聞くなどの機会を行っている国があるのは、総理、御存じですね。
○安倍内閣総理大臣 パブリックコメントの実施ということだろうと思いますが、政府としては、交渉会合のたびごとに、関係団体等からの意見募集を十三回にわたって実施をしてきておりまして、これまでに約二百件の御意見等を承っております。
 なお、オーストラリアやニュージーランド及びカナダでは、TPP協定自体の国会承認手続が不要でございます。その不要であることに鑑みてかもしれませんが、パブリックコメント手続によって国民の意見を聴取することとしているわけでございますが、まさに私たちの場合はこの国会において御審議をいただいているということで御理解をいただきたい、このように思います。
○畠山委員 国会の審議はもちろんです。他国はそれ以上に心も砕いて説明会やパブリックコメントを行ってきているということを日本政府としても学ぶべきであるし、その前のめりの、批准が先にありきのような姿勢に国民が不安を持っているということは指摘しておきたいと思うんです。
 先週、私は新潟県へ行きました。農業団体の方とも懇談をしましたが、TPPはもとより、農協改革、あるいは農地の企業所有、生乳の指定団体制度の廃止などに対して、現場のこともわからずに頭ごなしに決めつける、あるいは、総理や規制改革会議に言われるたびに意欲をなくすという声を本当に聞いてきました。知事選挙で米山候補が勝利した背景にTPPや安倍農政への審判もあったのは明らかだと思います。
 審議が始まる前に、強行採決かの発言もありました。また、月内に衆議院通過かの報道もあります。審議は始まったばかりです。拙速な審議や採決は許さないことを初めに強調しておきたいというふうに思います。
 それで、中身に入りたいわけですけれども、改めて基本に立ち返って、国会決議にかかわって質問します。
 自民党は、政権復帰を果たす前の二〇一二年総選挙で、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」とのポスターを張りめぐらせました。それに対して総理は、聖域なき関税撤廃が原則でないことを確認できたから交渉入りを決断し、今日まで至っています、交渉においては衆議院、参議院の農水委員会決議を後ろ盾に交渉してきたとも述べてきました。
 その決議を守れたかどうか。決議の第一番目には、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの重要五項目を除外または再協議の対象としています。
 この間、春の通常国会も含めた議論では、一般論として、経済連携協定には除外や再協議の規定はない、交渉の中で決まっていくものだとの答弁がありました。総理も同じ認識でよろしいですね。
○石原国務大臣 総理も同じ答弁だと思いますが、その認識でございます。
○畠山委員 総理は同じ認識ですか。
○安倍内閣総理大臣 同じ認識でございます。
○畠山委員 それでは、米で見てみましょう。
 これまで日本が結んだ経済連携協定の中で大きなものが日豪EPAでした。このときも同じように決議が上がっていますが、重要五項目は除外または再協議の対象と決議をされています。
 交渉の結果、米は日豪EPAでどのような扱いになったか、総理、御存じですか。
○山本(有)国務大臣 日豪EPAにおきまして、米につきましては関税撤廃等の対象から除外されております。
○畠山委員 日豪EPAでは除外であります。
 TPPでは、除外ではなく新たに七・八四万トンの輸入枠が設けられたことは事実です。本来なら、何でそうなったかと甘利前大臣に聞きたいところですが、報告を逐次受けていたという安倍総理にしたがって聞きたい。米は除外とするように交渉したんでしょうか。
○石原国務大臣 これは何度も委員会で御答弁させていただいているのでありますが、全てが決まったのは締結したときなんですね。ですから、そのときに全て決まったということで、その途中の経緯、例えばアメリカ側から自動車部品の問題はいつ決まったのかという話は公になっていないように、全てのことは最後のところで決まったというふうに御理解をいただきたいと思います。
○畠山委員 途中の経過については今求めていません。日本において除外または再協議と委員会で決議が上げられて、そのように米は除外してほしいと言ったかどうかだけを聞いているわけです。
 先ほど述べたように、報告を甘利前大臣から聞いていた総理、どうなんですか。
○安倍内閣総理大臣 従来から答弁をさせていただいておりますように、我々は、国会決議を背景に、国会決議は当然相手側も、米側も他の国々も知っているわけでございますが、それを背景に厳しい交渉を行ってきたわけでございまして、一々のやりとりについては、ここでつまびらかにすることはできないわけでございますが、その結果、我々としては国会決議にかなう結果を得ることができた。しかし、国会決議にかなうかどうかは国会が御判断されることではありますが、我々としては国会決議にかなう結果を出すことができたのではないか、このように考えております。
○畠山委員 日本側が除外してほしいと言って、相手側がこう返してやりとりがあったみたいなことまで聞いていないんですよ。後ろ盾にして交渉してきたと言うんだったら、その証明を見せてほしいというのは当然の思いじゃないですか。きちんと国会決議を後ろ盾に交渉したと言うのであるならば、きちんと除外を相手国に言いましたと、そう言えないんですか。
○石原国務大臣 大筋合意の前についても資料は提示させていただいておりますけれども、国会決議がなされた後、国会決議の原文を訳して、その中に示させていただいているように、相手国に示しているという事実は確認しております。
○畠山委員 政府としてやったのかということです。
○石原国務大臣 既に公表させていただいている資料の中に、委員が今御指摘の衆議院、参議院での国会決議なるものを英訳をさせていただいて相手国にお示しをさせていただいたということは、もう既に資料の中で公表をさせていただいております。
○畠山委員 資料として示したということですが、きちんと口で言ったかどうか。資料を示しただけで、大事ですよ、ただの参考資料なのか、その資料の位置づけがわからないじゃないですか。
 総理、改めて最後に伺いたい。
 先ほど述べたように、この決議が守られたかどうか、この交渉過程はつまびらかにできないということは言ってきました。しかし、先ほどからあるように、国会で判断するにおいては、きちんと除外の、または再協議と政府は言ってきたかどうか。全部出せと今言っているわけではないんですよ。その最初のところで言ったのか言わなかったのか、はっきりさせてください。
○安倍内閣総理大臣 国会において、我々が国会決議を守ることができたかどうかについては、まさに結果についてそれは御判断いただくことであろう、このように思うわけであります。
 先ほど、我々は、当然国会決議を背景として、しっかりと相手側にそれを示しながら交渉をしてきたわけでございまして、交渉者が何を言ったということになれば、相手側の方も、ではそれに対してどう答えたかということを問われていくことになるわけでございまして、そうなれば、例えばこれについては何を言ったのかということになっていくわけでありますから、それについては、我々としては結果をお示しをしているところでありまして、一々のやりとりについては発言を控えさせていただきたい、このように思います。
○畠山委員 一々のやりとりではなくて、政府がもともと後ろ盾にしてきたと言うんだったら、除外を求めて当たり前のはずじゃないですか。そうしたんですかと聞いただけですよ。
 ですから、その後ろ盾にぎりぎりの交渉をしてきたと言いますけれども、その証明はわかりません。本当にそのようにやってきたのかわかりません。国会決議にこれでは反しているのではないかと改めて断じざるを得ないと思います。
 そこで、例外をかち取ったということも総理は言ってきました。続けて、この問題について聞きたいと思います。
 農業分野では関税撤廃を二割にとどめて、国家貿易も維持した、また、セーフガード措置も獲得してきたなどと総理は述べてきました。
 セーフガードについて伺います。セーフガードとは、輸入量が大幅にふえたら、関税をもとに戻して輸入を抑えるという措置です。
 牛肉について聞きますが、牛肉は現在関税が三八・五%です。この関税が十六年かけて九%まで減りますが、セーフガードをかち取れたから大丈夫だという趣旨の答弁で、その間に農家の経営体質を変えるという話です。そこで問題は、では、セーフガードの発動基準のとき、農家がどういう状況になっているかということを伺いたい。
 牛肉に関してですけれども、直近の国内供給量と、うち国産と輸入量と比率について答弁してください。
○山本(有)国務大臣 二〇一五年の牛肉につきまして、供給量は八十二万トンでございます。うち国内生産量は三十三万二千トン、供給量に占める割合は四一%。輸入量は四十八万七千トンで、供給量に占める割合は五九%でございます。
○畠山委員 今、実際、国産が、供給量、在庫もあると言いますが、消費に占める割合は大体四割ぐらいということになるわけです。
 十六年後、輸入量がセーフガードの発動基準でふえていくことになりますが、十六年後に輸入量が幾らになればセーフガードは発動されるのでしょうか。また、あわせて、その時点での牛肉の国内消費量は今よりふえるとお考えでしょうか。
○山本(有)国務大臣 現行の牛肉関税緊急措置の発動水準が前年比一七%増とされている一方で、TPPの牛肉セーフガードの発動基準数量につきましては、あらかじめ数量が決まっておりまして、発効一年目は近年の輸入量の約一割増に相当する五十九万トンでございます。二年目以降は毎年一、二%増加しまして、十六年目には七十三万七千五百トンとなっております。
 発効後の牛肉輸入の見込みにつきましてでございますが、TPP交渉の結果、牛肉につきましては、関税撤廃ではなく、十六年目に最終税率九%として長期にわたる関税削減期間を確保しております。
 我が国以外の牛肉の需要が急激に現在伸びておりまして、他の輸入国との買い付け競争が激しくなるという予測でございます。当面、輸入の急増は、現在のところ見込みがたいと考えております。
 しかしながら、関税削減等により長期的には国産牛肉の価格が低下することが懸念されておりますため、総合的なTPP関連政策大綱におきまして、生産コスト削減などの体質強化対策を講じるとともに、セーフティーネットとしての経営安定対策の充実強化を図ることとしております。
 これらの対策を講じることによりまして、関税削減後におきましても、外国産牛肉との競争が可能となるものでありまして、国内生産量は維持されると考えております。
○畠山委員 今、対策の中身までを聞いているわけではなく、セーフガード発動基準がどのような意味を持つのかということを問いにして聞いていたわけですよ。
 セーフガードが十六年後発動される基準というのが七十三・八万トン、よろしいですよね。そして、私が聞いて、答弁していなかったかと思うんですけれども、その当時、十六年後に牛肉の国内消費量はふえるとお考えですか、大臣。もう一度聞きます。
○山本(有)国務大臣 牛肉の消費量につきましては予測がありませんけれども、二〇一一年を契機としまして、牛肉の消費は徐々に国内では伸びております。さらに、人口の減少等もございますけれども、今の食味からいたしまして、牛肉の消費は少しずつ増加する傾向にあるように思っております。
○畠山委員 人口減少の中、牛肉だけが、現状少しずつふえてきたというふうに言っていますけれども、大幅に伸びることは普通ではやはり考えられないと思います。
 そこで、仮に現時点と同じ消費量、供給量八十二万トンとした場合の資料、グラフなどをお渡ししています。
 最大輸入、十六年目のときに七十三・八万トンですから、消費量八十二万トンに占める割合は約九〇%と数字上はなります。つまり、このとき牛肉の自給率は一〇%ということになります。これ自体は、もう多くの畜産農家が淘汰された状況になるのではありませんか。つまり、こんな状況でセーフガードを発動する意味があるのか。
 総理は、セーフガードでかち取れたものをこの間言い続けてきました。このセーフガードだってそうです。これをかち取れた、なぜそう言えるんですか。
    〔委員長退席、うえの委員長代理着席〕
○安倍内閣総理大臣 関税撤廃が原則というこのTPP交渉の中で、特に農業分野について国会決議を、先ほど申し上げましたように、後ろ盾に粘り強く交渉しました。その結果、牛肉については関税撤廃を回避することができました。そして、十六年目に関税が九%になるという長期の関税削減期間を確保したところであります。
 また、アジア地域を中心に、我が国以外の牛肉需要が急激にこれは伸びていくわけでありますが、他の牛肉輸入国との買い付け競争が激しくなる可能性も踏まえて、当面、牛肉の輸入急増は見込みがたいと考えているわけであります。
 例えば、二〇〇四年、世界の牛肉の輸入量全体は三百四十二万トンでありますが、二〇一四年は五百八万トンにふえております。これが二〇二四年には恐らく七百七万トンにふえていくだろう、こう考えられているわけであります。
 例えば中国も、二〇〇四年は一万トンなんですが、二〇一四年は七十八万トン、つまり七十八倍になっていったわけでありまして、それがさらに百五十一万トンになっていくだろう、こう見られているわけであります。
 こういう状況分析に基づいて、今私が申し上げましたように、牛肉の輸入急増は見込みがたい、このように考えているわけでございますが、万が一輸入が急増するような事態が生じることに備えて、厳しい交渉の結果、セーフガード措置を獲得したわけでございます。
 これについては、初年度の発動水準が近年の輸入量の約一割増、こうなっているわけでありますが、前年比一七%の牛肉輸入増で発動する現行制度に比べても、これは現行制度が牛肉輸入増一七%でありますから、これが一割、一〇%となるわけでありまして、現行制度に比べて発動しやすくなっていること等から、輸入急増を抑制する効果は十分にある、このように考えているところでございます。
○畠山委員 今の答弁を聞きますと、諸外国などで牛肉の需要がふえているから、ここまでセーフガードが下がっても大丈夫ですから安心してくださいというように聞こえますよ。自給率一〇%になるまで、セーフガードがこの年まで発動されない場合、そういう結果があったときに、例外をかち取れたと胸を張って言える結果かというふうに農家は思っていると思いますよ。
 そこで、さらに聞きたい。セーフガードですが、農業セーフガードは、この牛肉以外に豚肉やオレンジなども対象になっているはずです。この農産品セーフガードはずっと保障されるのか、あるいは何年か後に撤廃されるのか、お聞きします。
○山本(有)国務大臣 TPP交渉におきまして、重要五品目の牛肉、豚肉・豚肉調製品、ホエーのほか、オレンジ、競走馬につきまして、セーフガード措置を確保いたしました。
 これらのセーフガードにつきましては、まず、オレンジについて発効後八年目でございます。豚肉・豚肉調製品につきましては発効後十二年目でございます。競走馬につきましては発効後十六年目に、それぞれ終了することとなっております。
 牛肉につきましては、十六年目以降もセーフガードが維持されるわけでございますが、四年間連続で発動されない場合は終了となるわけでございます。
 ホエーにつきましては、二十一年目以降、三年間連続で発動されない場合、終了することとなっております。
    〔うえの委員長代理退席、委員長着席〕
○畠山委員 つまり、全て期限つきであります。期限が来れば、セーフガードがなくなることなどで明け渡すということになりはしないか。
 しかも、これは前の通常国会でも議論しましたが、十六年目を待たずして見直しとなる可能性はあります。セーフガードについても、市場アクセスのところで設置される小委員会、あるいは日本と五カ国によるいわゆる七年目の再協議では協議の対象にはなり得ることはお認めになりますね。
○山本(有)国務大臣 もちろん、再協議ですから、どの分野を再協議してもいいわけでありますが、これは相手国があるわけでありまして、再協議するといっても、合意するかどうかはこちらの権限でございます。
○畠山委員 そこで、最初になるわけですよ。交渉において、例えばお米のことでも、重要五項目で除外を本当に求めたのかどうかもわからない。結果は除外なしだったではありませんか。
 総理の言う例外なるものも期限つきで、しかも再協議が迫られる対象にもなっているわけです。総理はよく、結果を見て判断してほしいというふうに言います。結果を見れば、このように、中身がわからない、決議違反は明らかでないか。それでも守られたと、総理、言えますか。
○安倍内閣総理大臣 このTPPにおいては、いわば関税撤廃が原則でありまして、農作物においては九八%、ほぼ一〇〇%が関税撤廃にほかの国々はなっている中において、我が国は、約二割の例外をこれは獲得することができたわけでございます。また、セーフガード措置も獲得することができたわけでございますので、我々としては国会決議にかなうものだ、我々はこのように考えております。
○畠山委員 ただ、きょうの質疑では、そのセーフガードにおいても、実質的にそれが発動されるときに支えになっていないのではないかと私は指摘しました。その例外なるものが農家の支えになっていなければ、これは国会決議に反しているということを私は指摘させていただきたいというふうに思います。
 日本共産党は、経済主権、食料主権を脅かすTPPからの撤退を一貫して訴えてきました。
 最後に、転換の方向について、きょうは質問したいと思います。
 政府は、TPPのもとでは競争力が必要だ、また、輸出で稼ごうと呼びかけています。先日の委員会で総理は、北海道の十勝川西長いもが台湾などで人気だと例に出して、いわば輸出の優等生のように紹介もされています。
 総理、お聞きしたいんですけれども、では、この川西長いも、どんどん輸出できるとお考えでしょうか。
○山本(有)国務大臣 議員御指摘の長芋の輸出でございますが、台湾、アメリカの西海岸を中心に薬膳料理の食材として人気が高く、平成二十七年には二十六億円と、この三年間で五〇%増と順調に増加をしております。
 こうした農林水産物、食品の輸出につきましては、本年五月に策定いたしました輸出力強化戦略に掲げた施策を着実に実施しておりまして、ハード、ソフト面でインフラ整備を行う予算も計上しております。
 その意味におきまして、我々にとりまして戦略的な商品である長芋、これが伸びることを期待するところでございますけれども、平成二十年に選果場についてHACCP認証を獲得しております。安全、安心の面でも輸出先国での信頼を得ていると思っております。
 そういう意味で、今後、全米やシンガポールなど新たな輸出先を開拓するなど、さらなる輸出の拡大に全力を挙げてまいる所存でございまして、薬膳料理のほか、品質の高さ、積極的なPR、滋養強壮によい食材、大衆への売り込み等々で私は伸びるというように思っております。
○畠山委員 農畜産業振興機構、ALICが「野菜情報」という冊子を出して、そこで各地の調査報告を出すんですよね。ちょっと古いんですが、二〇〇九年にこの川西長いもについて調査をして、このように書いています。
 輸出先の開拓に取り組んではいるが、輪作体系の中に高収益作物を取り入れるというのが基本的な方針であるとして、JAとしては、特別な生産体制をとるなどして輸出を重点に伸ばしていくのではなく、あくまで国内市場への通年安定出荷に軸足を置き、過剰生産に陥って値崩れしやすい国内市場の需給バランスを維持して価格の安定を図るというのが現地の方針なんです。
 日本は土地利用型農業であります。土地に制約されます。しかも、同じものを続けてつくれば連作障害というものが起きるのは大臣御存じだと思いますが、長芋はその輪作体系の一作物なんですよね。だから、長芋だけをつくり続ければもちろん連作障害は起きるし、急激にたくさんつくれるというものではもちろんありません。特別な生産体制はとれないわけです。
 だから、基本は国内の安定供給だ、現地はそのように言っていて、農産物の輸出というのは戦略上の話であって、農業政策の基本は、国内への安定供給、自給率向上にこそ基本に立つべきではないのでしょうか。
 そこで、農業に多面的機能があることは先日の委員会で総理も述べていました。そうであるなら、暮らし、雇用、環境を壊すものでなく、各国の実情を踏まえたルールづくりをすることで、我が党は、貿易においても平等互恵の原則が必要だということを訴えてきました。
 かつて日本政府も、WTO加盟後に国際社会へ提案する動きがあったのではないでしょうか。私、手元に、二〇〇一年ですが、農水省がまとめた「WTO農業交渉」という文書があります。その前書きに、「行き過ぎた貿易至上主義へのアンチ・テーゼとして自信を持ってこの提案を世界に示す。」と、五つの提案をしています。「1農業の多面的機能への配慮、2食料安全保障の確保、3農産物輸出国と輸入国に適用されるルールの不均衡の是正、4開発途上国への配慮、そして5消費者・市民社会の関心への配慮を求めるものである。」と書いています。食料安全保障の確保ですよ。
 最後ですから総理に聞きます。
 行き過ぎた貿易至上主義には日本政府がみずから警鐘を鳴らしていたのではありませんか。総理はTPPのメリットばかりを強調しますが、進むべき道はTPPではなく、食料自給率の向上、食料安全保障、この道ではないのですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、我々は輸出とか貿易至上主義ではないということは申し上げておきたいと思います。
 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の基本的な責務であり、国内農業生産の増大を図り、食料自給率と食料自給力をともに向上させていくことが重要であると考えています。
 安倍内閣では、農業の成長産業化を実現するため、農地集積バンクの創設、また、輸出促進や六次産業化、六十年ぶりの農協改革など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてきております。
 そして、TPPでございますが、関税撤廃が原則というTPP交渉の中で、先ほど申し上げましたように、農業分野においては、重要五品目を中心に関税撤廃の例外を確保し、さらには、セーフガード等の措置も獲得をしたところであります。
 それでもなお残る農業者の方々の不安を受けとめ、安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP関連政策大綱に基づきまして、攻めの農業への転換に必要な体質強化策を順次講じるとともに、重要五品目の経営安定対策の充実を図ることとしたところでございます。
 またさらに、TPPによりアジア太平洋に巨大な経済圏が生まれることは、これは日本農業にとってはチャンスであるわけでありますが、先ほど長芋についてお話がございました。供給量に制限がある。農業は工業製品と違うのは事実でございます。しかし、販路がどんどん拡大されていく中においてブランド化が進めば、これは、そこで品薄になれば、当然、需要と供給でありますから、価格が伸びていくということも十分に考えられるわけでございます。
 量としてふやすことはできなくても、収入はふやすことは十分に可能なのではないか、こう思うわけでありまして、平成二十四年、我々が政権をとる前から平成二十七年と比べますと、例えば、牛肉においても五十一億円の輸出が百十億円、これは倍になっておりますし、お茶も五十一億円から百一億円、リンゴは三十三億円から百三十四億円、三〇〇%増となったわけでございまして、しっかりと挑戦しなければ結果が得られないということではないかと思うわけでありますが、引き続き、農政改革を進め、農業の成長産業化を実現していくと同時に、農業の多面的機能をしっかりと我々も重視していきたい、このように思っている次第でございます。
○畠山委員 最初に言いました。新潟でその農政全般改革に対して厳しい目が向けられていると私、初めに言ったばかりですよ。
 ことしの農業白書に次のように書いています。「我が国は、引き続き「多様な農業の共存」を主張し、食料輸出国と輸入国のバランスの取れた農産物貿易ルールの確立を目指していくこととしています。」と。TPPとは明らかに違う道だと思います。
 農業だけでなく、林業、漁業、そして、暮らしに直結する医療や保険、共済など、たっぷりとTPPは質問しなければいけないことがあります。徹底審議を求めつつ、経済主権、食料主権を奪うようなTPPには反対であることを表明して、質問を終わります。