○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 山本大臣が就任して、きょう所信質疑を行うということになりましたので、一言、やはり冒頭に、二度にわたる暴言については申し上げなければなりません。
 大臣という行政府に身を置く者でありながら、立法府に踏み込み、強行採決を促すような発言が一回目でした。それを撤回、謝罪しながら、あの発言は冗談だったと言ったあげく、パーティー参加の農業関係者に対して、農林省に来れば何かいいことあるかもしれないと利益誘導まがいの発言をしたのが二回目でした。
 農水大臣として容認できない発言であり、改めて断固抗議いたします。
 本題に、質問に入ります。
 大臣は、所信の演説で、TPP発効を前提に、攻めの農政の展開をまず掲げました。総合的なTPP関連政策大綱を着実に実行すると述べたわけですが、ここでは、交渉で獲得した措置とあわせて、経営安定、安定供給へ備えた措置の充実等を図るとしています。
 ここで書かれています交渉で獲得した措置というのは、政府がこの間言ってきましたセーフガードや長期間にわたる関税削減などと思います。しかし、TPP特別委員会で私からも、これらの措置は協定発効直後から見直しの対象とされるのではないかと指摘してきました。TPPは関税撤廃が原則だからです。
 そこで、大臣に聞きます。
 交渉で獲得した措置はすぐにでもなくなっていく、そうであれば、経営安定や農産物の安定供給に向けた対策を図るという政府の言い分の前提が崩れることにはならないのでしょうか。それでも大臣としてTPPへ引き続き固執するのか。まず初めに御答弁ください。
○山本(有)国務大臣 御指摘のTPP交渉におきましては、国家貿易の堅持、セーフガード等の有効な措置を獲得したわけでございます。
 委員御指摘の協定の見直しというものがもしある場合に、ここに不安が残るというところであろうと思いますが、TPP協定に限らず、通商協定におきましては、発効後の見直しとか再協議に関する規定が設けられていることが一般的でございます。
 TPP協定に設けられております七年後の再協議規定につきましても、他の通商協定と同様に、協議が調わなければ約束内容を変更する必要はないというように承知しておりまして、双方が合意しなければ見直しは行われないことから、また、我が国に不利な形での改定は行われることがないというように認識しております。
○畠山委員 参議院で審議もしておりますし、きょうはこれ以上のことは問いませんけれども、ただ一つだけ指摘しておけば、参議院の委員会でもありましたが、TPPの機構として、TPP委員会が附属書二―Dの表を検討することを任務としていることが先日取り上げられているはずです。それは、わざわざ括弧書きで、「(関税の撤廃時期の繰上げによる修正に限る。)」ことがTPP委員会の任務として書かれています。
 ですから、政府は、国益に反する交渉はしないとか、総理も、コンセンサス方式だから、今大臣が述べたように、一致しなければそれは議論として成り立たないというふうに答弁をしてきましたが、TPPの機構上、それは許されないのではないか。TPPからの撤退をこの場でも改めて表明しておきたいと思います。
 きょうの質問の中心的なテーマですが、私は、先ほどから議論がありましたように、やはり、十一月十一日に規制改革推進会議農業ワーキング・グループが出した農協改革に関する意見について問います。
 読みましたけれども、改革先にありきの暴論です。高いボールを投げたどころか頭を狙ったビーンボールで、野球でいったら退場物の中身だと私は思います。今後しっかり議論したいと思いますが、今は、北海道を中心に行われている組合員勘定制度、通称組勘制度について確認します。
 ワーキンググループの意見では、この組勘制度を廃止すべきとしています。
 大臣に確認します。この組勘制度とはどのような制度で、どのように始まったのか、経緯を御説明ください。
○山本(有)国務大臣 組勘制度は、組合員が営農計画を立てることで経営の自己管理機能を高めるということを目的に、農協との取引を通じて経営の発展を図るということを目指しておりまして、昭和三十六年から北海道独自の決済制度として発達したと承知しております。
 仕組みといたしましては、先ほど申しましたように、組合員が作成しました営農計画書に基づきまして、農協が貸し越し限度額を設定し、その限度額の範囲で、組合員に対し、営農資金や生活資金がいつでも引き出せる、いわゆる当座貸し越しであるというように認識しております。
○畠山委員 そこで、十四日の参議院のTPP特別委員会で組勘制度の認識を問われたときに、山本大臣が、農協を利用しない販売がしづらいとか、畜産などは少々利用しづらい、改善に向けた方策を模索したいなどとの答弁をしています。議事録を読みましたが、質問にかみ合っていない答弁だと私は思いました。
 そこで、きょうは質問時間もないので、ずばり聞きます。
 山本大臣は、ワーキンググループが提言している直ちに廃止という考えとは同じでしょうか、違うのでしょうか。
○山本(有)国務大臣 北海道の方々の御意見、あるいはそのほか現場の方々の不安、そうしたものを体して考えていきますれば、規制緩和会議ワーキンググループからの意見、この意見はそれはそれとして、また独自で、地についた、農家不安のないような改革案というものも他方あるならば、それを模索しなければならないというように考えております。
○畠山委員 ワーキンググループが直ちに廃止をすると提言している理由を見れば、組勘制度によって農家の自由度が奪われているというものです。全く歴史も現場もわかっていないと言わざるを得ません。
 北海道は、冬が長い、農閑期が長い地域で、自然条件が厳しいのは言うまでもありません。市中の金融機関から借りていた農家もありましたが、バブル崩壊などの影響もあり、融通がきかなくなった農家もいます。その中で、安定的に資金を調達し、計画書もつくって、営農指導と一体に進めてきたのが組勘制度でした。これが今の北海道での効率化や大規模化を進めてこられる土台にもなってきた経過はあると私は思います。
 ですから、組勘制度を廃止することは、北海道の農家を潰せと言っていることと等しいと私は受けとめました。大臣、そう思いませんか。
○山本(有)国務大臣 七割の北海道の農家の方々が活用し、安定的な農家経営をされておられるということの機能の大切さ、重要さというのは、これは変わるものではありません。
 また、農協だけに販売しなければならない、こういう契約、約定というものに対する現代的な疑問というのも他方あるのかもしれません。
 そんな意味で、調和点が図られることを希望しております。
○畠山委員 調和点というのが何を意味するか私は理解できませんが、ただ、直ちに廃止ということには大臣は今同意していなかったことを確認しておきます。
 昨年二月の予算委員会や農協法等の議論をした本委員会で、私は、組勘制度が廃止されようとする動きを告発してきた質問を行っています。
 去年の二月の予算委員会でも、私は、在日米国商工会議所が、JAグループの金融事業を制約せよ、さらに、日本政府及び規制改革会議と緊密に連携し、成功に向けてプロセス全体を通じて支援を行う準備を整えているとまで向こうは書いている。政府がいろいろ言おうとも、向こうの側はそういう形で来ているということを私は予算委員会でも取り上げました。
 営農指導と金融事業が一体化して農家の暮らしを丸ごと支えている組勘制度へのくさびを打つがための提言ではないか、私は到底こういうものは許されないということを強調しておきたいと思います。
 残りの時間で、指定生乳生産者団体についても伺っておきたいと思います。
 農業ワーキング・グループは同日、牛乳・乳製品の生産・流通等の改革に関する意見も出していて、その冒頭の「改革の原則」として、「生産者が自ら自由に出荷先等を選べる制度への改革」が掲げられています。
 これは事務方で結構ですが、今の制度で生産者は出荷先を選べないのでしょうか。
○枝元政府参考人 制度について御説明いたします。
 現在、酪農家は、指定生乳生産者団体への出荷以外でも、みずからが販売業者を介して乳業メーカーへ販売するなど、自由に生乳の出荷先を選択することは可能でございます。
 ただし、現行制度では、指定生乳生産者団体に生乳を出荷しなければ加工原料乳生産者補給金を受け取ることができないものですから、このような出荷先の違いによりまして補給金の交付、不交付が決まるのは不合理であるという意見があることは承知をしてございます。
○畠山委員 今ありましたように、現状でも自由な販売先があることを確認しておきます。
 それで、今答弁にありましたように、補給金をめぐることでワーキンググループが問題にしているんですよね。飲用乳はもちろん夏場に需要が、消費がふえて、冬場に消費が減る。そこで、供給過多を防ぐために加工へ回す。しかし、飲用に比べて価格が低いために、指定団体を経て生産者へ補給金が渡る。指定団体がこの交付を受けられるのは、加工を通じてこの需給調整を行う役割があるからであることは先ほど来議論もされてきたことです。需給という全体のリスクを指定団体が背負っていると言えると思います。
 しかし、規制改革推進会議では、出荷先の違いで補給金が出る、出ないというのは不公平だという議論になっている、おかしい話だとなっています。それなら補給金を受ける団体は同じように需給調整の全体の責任を背負わなければいけないことになるはずで、だから、ワーキンググループの意見を読んでいくと、新たな補給金を得ようとする生産者は、飲用、加工の年間販売計画などを国に報告することともしています。一体、今の制度と何が変わっていくんだろうかと理解不能になってくるような中身なんですが、そこで大臣に認識を確認したいんです。
 この補給金交付の現制度とワーキンググループの提起するこの制度で、一体、一番の違いは何だと思いますか。
○山本(有)国務大臣 このワーキンググループの意見からしますと、まず、意欲ある生産者に公平に交付したい、あるいは条件不利地域の生産者からも確実に集荷されるようにしたい、あるいは一定の要件を満たす場合は補給金の加算もしたい、また、労働条件が過酷な場合にはそれも改善したいというような意見を言っているわけでございます。
 生乳の特色からすると、すぐに傷みやすいわけでありますし、生産調整が必要でありますし、北海道の皆さんの酪農と本州の酪農との違いも伊東さんの御意見からよくわかるわけでございますし、ここにつきましては、生産者の皆さんの生産に対する不安がないような形での意見の取りまとめ、さらに将来の合意というのを地道に求めたい、農林省としてはそう思っておる次第でございます。
○畠山委員 多くの酪農家はみんな意欲を持って頑張っていますし、一番現場を不安にさせているのはこの意見、提言ですよ。
 それでも、この議事録やワーキンググループの意見を読むと、農水省側の意見に全くかみ合わせていない支離滅裂な意見ばかりで、何でこうなるかといえば、結論先にありきだからだと私は思います。
 指定団体を選ばせているのは強制だと決めつけて、「農協利用を誘導・強制する法制度は、農協改革の趣旨にもとるものである」と書いています。さきの組勘廃止についても、意見書のタイトルで改めて見れば、「農協改革に関する意見」という冠です。つまりは、農協を目のかたきにして、農協改革したいということが出発点になっていて、もう支離滅裂な中身になってきているのが私は本性だと思います。
 最後に、大臣に聞きます。ワーキンググループの言うような組勘の廃止や指定団体の改革は、本当に農協改革と大臣は思っていますか。認識を伺います。
○山本(有)国務大臣 組勘廃止、あるいは指定生乳生産者団体制度の改革、この規制改革の委員会の御意見は御意見として、私どもは農家収入の向上という意味で捉えていきたいとは思っておりますが、しかし、何より、生産者が不安に思い、また将来の営農について懸念を抱くことへの不安の方が私どもとしては非常に大事、重要でありますので、できれば、地についた改革、そして、今の生乳生産者団体、こうしたものの皆さんが安心感をなお持てるというような改革を進めさせていただければというように思っております。
○畠山委員 繰り返し述べますが、この規制改革推進会議ワーキンググループの出した意見を拒むことが一番の安心であるというふうに思います。
 昨日も、北海道の農家から要請も受けました。現場の実態を踏まえないで急進的に物事を進める規制改革推進会議への不満の声は相当強いと思います。この場に参考人として呼んで問いただしたいぐらいです。
 また次の機会に、これらの問題をじっくりと取り上げたいと思います。
 以上で質問を終わります。