○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 きょうは、野生鳥獣による農作物被害の現状と対策について質問を行います。
 この五年間の農作物被害についての政府の統計では、最大二百三十九億円から直近は百九十一億円と、大体二百億円前後で推移してきています。金額以上に、農家にとっては、営農意欲の減退などにもつながる重大問題であることは間違いありません。
 そこで、まず農水省に伺います。被害が拡大してきた要因をどのようにお考えですか。
○佐藤(速)政府参考人 お答えいたします。
 鳥獣被害が深刻化あるいは広域化している要因といたしましては、近年の、雪が少なくなっていること、少ない雪による鳥獣の生息域の拡大、さらに、狩猟者の減少ですとか高齢化によります捕獲圧力の低下、さらには、農山村における過疎化、高齢化の進展によりまして耕作放棄地の増加が見られます、そういった要因が複合的に関係しているというふうに考えてございます。
○畠山委員 今答弁がありましたように、複合的な要因によって被害が拡大してきたということです。
 そこで、まず取り上げたいのが、狩猟者の育成、確保の問題です。過去二回、特措法において、技能講習の免除が行われてきました。特定鳥獣被害対策実施隊員は当分の間、それ以外の被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等に従事している者は二年間という内容です。
 これは、講習負担が重くて、その機に免許更新を行わない人がふえるのに歯どめをかけることを目的の一つとしてきました。
 そこで、確認します。これらの延長などによって減少が食いとめられてきたのか、狩猟者の現状について答弁してください。
○佐藤(速)政府参考人 技能講習でございますが、鳥獣被害対策実施隊員等に対します技能講習の免除措置につきましては、平成二十四年の鳥獣特措法改正によって設けられたものでございます。
 この措置を導入して以降、捕獲等の対策を行う鳥獣被害対策実施隊を設置する市町村が大幅に増加をいたしております。平成二十三年四月末に八十七市町村だったのが、二十八年四月末には一千七十三市町村まで増加しております。この結果、鳥獣被害対策実施隊員以外も含めて、技能講習が免除され得る捕獲従事者数は約五万三千名余りとなっております。
 鹿やイノシシの捕獲頭数につきましては、平成二十三年度に四十五万頭でありましたが、二十六年度には七十四万頭にまで大幅に増加をしているところでございまして、この技能講習の免除措置は、捕獲従事者の確保を通じた捕獲の推進に相当程度寄与している、かように認識をしております。
○畠山委員 技能講習の延長が貢献してきたことの答弁がありました。とはいえ、講習でありますから、その免除をなし崩しに拡大することには一般的に不安が残るのは当然です。
 そこで、きょうは警察庁にも来ていただいています。銃刀法にかかわることですので、確認いたします。
 猟銃免許にかかわる講習の意義と、過去もこのように延長してきたわけですが、免除しても構わないとしてきた理由について述べてください。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
 銃刀法におけます技能講習は、現に猟銃を所持し、その更新を受けようとする者等に対し、所持している猟銃の種類に応じて、都道府県公安委員会が行う猟銃の操作及び射撃技能に関する講習を受けさせることにより、猟銃の基本的な操作の不徹底や射撃技能の低下に伴う事故の防止を図るものでございます。
 警察庁といたしましては、技能講習は事故の防止を図る上で重要であると考えておるところでありますが、一方で、免除措置につきましては、深刻な鳥獣被害の現状を踏まえた政策判断によりなされるものであると承知をいたしております。
 なお、免除の対象とされております鳥獣被害対策実施隊員及びいわゆる特定従事者につきましては、有害鳥獣捕獲等のため、猟銃を使用する機会が一定程度確保されているとともに、猟銃を適正に取り扱っているものと考えられるところであり、現時点において、免除措置によりまして、直ちに安全性の確保に問題が生じているとまでは言えないというふうに考えております。
 以上でございます。
○畠山委員 調べていろいろお聞きしたときにも、講習の有無にかかわらず、頻度はそもそも少ないんですが、因果性も認められないというお話も伺っております。
 いずれにしましても、安全性や高い倫理を伴うことは必要でありまして、特例的に延長してきたことが常態化して講習自体が形骸化することがあってはならないということは指摘しておきたいというふうに思います。
 それで、鳥獣被害をどうするかなんですけれども、このように広がってきた被害に対して農水省として各自治体に鳥獣被害対策実施隊の設置を進めてきたのは、先ほど答弁でもあったとおりでした。捕獲活動あるいは防護柵の設置などへの対策とそのための予算措置も拡充してきたと説明も聞きました。施策の拡充は言うまでもありませんし、関係省庁や市町村の現場での連携が大事であることも当然です。
 そこで、問題は、現場での担い手をふやさなければいけないことですし、中長期的に、きょう私が取り上げたいのは、緩衝帯になる農地や山村の復旧、再生について、一言、大臣にも伺いたいと思っているんです。
 和歌山県に行ったときにミカン農家からお話を聞きました。ミカンの生産をふやすために、かなり条件の悪いところも含めて開いていったということで、同時に、そういう地域ですから、ミカンとあわせて林業でも経営を成り立たせてきたという歴史を伺いました。
 ですが、その一方の林業は、御存じのように、木材の関税がなくなったことも契機にして成り立たなくなったために、この間、ミカンなどを含めて、オレンジ自由化のことなどでさんざんな苦労はしてきましたけれども、そのように開いていった山間地域になればなるほど、だから今限界集落になってきているんだというようなお話でした。
 ですから、そこを窓口といいますか入り口として、鳥獣もどんどん畑などに入ってくることになったのではないかということは推測できます。現状は、ただ、余りにもふえ過ぎてしまったために、適正な管理を基本方針に捕獲などを行ってきたわけです。同時に、今述べたような中山間地域での対策が求められているとも思います。
 そこで、大臣に伺いたいのは、鳥獣被害対策の側面から、中山間地対策としてどのようなことをお考えになっているか、お聞かせください。
○山本(有)国務大臣 御指摘のように、中山間地域は、傾斜地など、条件不利でございます。さらに、鳥獣被害の増加の影響で厳しい状況に置かれている地形的な特色がございます。そういったことからして、中山間地域の活性化対策と鳥獣被害対策、これは両方をあわせて進める必要がございます。
 今年度補正予算で、中山間地域所得向上支援対策によりまして、鳥獣被害防止施設等の整備を含め、中山間地域の所得向上に向けた取り組みを支援しておりますし、被害対策の実施に当たりましては、野生鳥獣の生息環境を適切に管理することが重要であるというように考え、耕作放棄地の放牧利用可能な鳥獣被害防止のための緩衝帯、これを利用することに、鳥獣被害防止総合対策交付金等による支援を今現在行っております。
 今後とも、中山間地域において生産者が安心して営農できるように、中山間地域における農業振興と鳥獣被害の軽減に向けた取り組みを実施してまいりたいというように思っております。
○畠山委員 今、緩衝帯に触れて答弁していただきましたので、現場の努力の例を紹介したいと思っています。
 国会図書館の「レファレンス」二〇一三年十二月号で、山口県での現地調査を踏まえた報告があります。これによれば、山口県では、鳥獣被害対策の一環として、耕作放棄地等での和牛放牧技術の研究が進められて、それが山口型放牧と命名されるに至ったとのことです。牛が雑草を食べることで鳥獣の隠れ場所をなくすなどの効果があるとされて、二〇一二年度では、県内二百八十八カ所、約三百四十ヘクタールで、延べ千二百二十頭の牛が放牧されているとの内容です。
 これは、私もその後も調べてみましたけれども、実証実験の結果、このような耕作地と山林との間に放牧する区間を帯状に配置することで、より高い効果が期待できるとのことでありました。最近の資料で見ても、放牧面積はふえているんですね、しかも。ただ、因果関係は明確でないけれども、山口県での被害は減少傾向との報告もありました。もちろん、さまざまな手間や高齢化などの課題は残されています。
 鳥獣被害の対策は、当面は、地方自治体での実施隊など、体制を厚くすることなどの施策が必要です。同時に、少し長いスパンで見れば、中山間地域のこのような支援拡充、あるいは林業などとの複合経営が成り立つような環境づくりなどなどが必要と思います。地方自治体や環境省など関係省庁との連携も強化すべきでしょう。
 ですから、最後に大臣にもう一言伺います。
 このように、きょう、入り口は鳥獣対策としての質問をさせていただきましたけれども、農政にかかわる総合的な対策として位置づく内容であると思います。大臣のイニシアチブが必要だと思いますが、いかがですか。
○山本(有)国務大臣 御指摘の鳥獣被害は、農作物への直接的な被害だけではなくて、生産意欲の減退を招くという原因となります。離農のきっかけにもなるという重大な問題でございます。この農山漁村の暮らしにかかわる極めて重要な問題に対しまして、決然と取り組みたいと思っております。
 今後とも、農林水産省が率先して、環境省等の関係省庁と連携しつつ、農業者が安心して営農できるように、鳥獣被害対策に万全を期すつもりでございます。
○畠山委員 連携強化をぜひ強くお願いしたいんですね。環境省と農水省でそれぞれフィールドが違うということもあるでしょうが、現場においては、関係する自治体においては一つのところでやっているわけですから、しかも、出てくる場所は、山奥だろうが、田んぼだろうが、畑だろうが、出てくるものは一つであるわけでして、そういう点で、環境省、農水省とともに、関係自治体における連携強化を心からお願いするものです。
 県ごとのかなり成果のばらつきもあるというふうに聞いているのは、今言ったような中身によることというふうに思います。
 狩猟者や農業従事者、あるいは地方自治体の職員が減る中で、現場では被害対策に懸命となっております。現場を後押しする施策と予算の拡充を求めまして、質問を終わります。