○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 四人の公述人の皆様には、お忙しい中、足をお運びいただき、貴重な公述もいただきました。本当にありがとうございます。
 限られた時間の中で、私は、働き方改革を中心にした質問をさせていただきたいと思っています。
 今国会でも安倍政権がこの働き方改革の実現を大きな柱に据えているんですが、改めて第一回の働き方改革実現会議の安倍首相の発言を読みますと、これは、第三の矢、構造改革の柱と位置づけがされていまして、社会問題であるだけでなく、経済問題だという位置づけをしています。
 長時間労働によって、言ってみれば、購買する時間も機会もないことだとか、賃金が低過ぎて購買力が低下しているという文脈であれば理解はできるわけですが、先ほどから話がありましたように、実際は裁量労働制の導入などで、本当に労働者のための改革になるのかという疑念があります。
 そこで、まず初めに小田川公述人に伺いたいと思います。
 こういう改革と名が打たれたときに何を基準と考えるかということの一つに、国際基準を据えてはどうかと私は思います。労働の現場でいえばILO、また、きょう小田川公述人の資料にはEU指令などの文言も見られました。今、日本の働き方が国際基準から見てどのようにあるとお考えか、御意見をいただければと思います。
○小田川公述人 例えば労働時間にかかわって申し上げれば、御案内のように、ILOの条約を、残念ながら日本は労働時間関係については批准をしていない。そのこともあって、一日八時間、週四十時間という法定労働時間がありながら、それを抜けていくようなさまざまな仕組み、三六協定であるとか特別条項というものを認めるような法制度になっているというふうに思います。
 諸外国の例を言えば、一定時間の上限を設けて、それ以上は時間外も含めて認めないという仕組みを持っているところは幾つかあるように承知をしますので、その点での日本の働き方の国際基準からの立ちおくれというのがあるのではないかと思います。
 賃金の水準については、先ほど申し上げたとおりであります。
○畠山委員 ありがとうございます。
 もう一つ小田川公述人には伺いたいんですが、先ほどの質疑の中で、逢見公述人への裁量労働制についての質問がありました。この点については私も非常に危惧を持っています。社会的な問題になった高橋まつりさんの亡くなられた件で、この点で実は参議院で我が党の議員が質問を行っています。
 先ほどもありましたように、今度の対象業務が拡大される中に課題解決型提案営業が含まれる見込みで、これは先ほど名前を挙げた高橋まつりさんがかかわるネット広告に関する企画提案などが当たるのではないかということを問うたのに対して、厚労大臣から、三年から五年お勤めになった一定の技術を持った方が対象になるので、新人であった高橋まつりさんは当たらないという大臣の答弁だったんですね。
 そういうことも含めて、まだ労働基準法については議論の進行中でありますけれども、この裁量労働制の考え方について、改めて小田川公述人に、こういう現場の実態を踏まえた上での御意見をいただければと思います。
○小田川公述人 現在国会に上程をされています労働基準法改正法案に対する意見は、先ほど逢見公述人がおっしゃられた立場と全く一緒でありまして、私ども全労連としても反対の立場であります。
 現状から申し上げれば、現行の裁量労働制も、言えば、対象業務が現実の運用の中では拡大をされて十分規制がかかり切れていない現状であるとか、そのことによる過労死あるいは健康を損なう労働者の存在が繰り返し私どもの相談でも寄せられていることなどを踏まえれば、裁量労働制という働き方そのものに大きな問題があるというふうに考えています。
○畠山委員 ありがとうございます。
 本当に長時間労働をいかに克服していくかということは大きな課題でありまして、国会でも引き続き議論していきたいと思います。
 そこで、これは逢見公述人と小田川公述人お二方に同じテーマでお聞きしたいのですが、その規制に当たっては、上限を規制するということとともに、インターバルの規制ということも挙げられていると思います。こちらのインターバル規制についてはなかなか取り上げる機会もないものですから、こういうせっかくの機会でもありますので、その意義や必要性なども、現場の実態なども踏まえてこの機会に公述していただければと思います。
 お二人の公述人にお願いいたします。
○逢見公述人 インターバル規制の必要性についてですが、今の我が国の労働基準法では、一つの勤務が終わってその次の勤務に入るまでの時間というのが、勤務中の休憩時間はあっても、次の勤務に入るまでのインターバルについての記載が全くない。したがって、例えば夜勤が明けてそのまま日勤に入っても、それは労基法上違法にならないということです。
 現実に、例えば、ファストフードとかあるいはコンビニエンスストアで次の交代で来る予定の人が来なかったというときに、結局、自分がかわりの人が来るまでずっとそこで仕事を連続しなければいけなかったということで、夜勤からそのまま昼間の勤務に入ってしまったというのがあります。
 それから、ホワイトカラーでは、さまざまなクライアントから仕事の注文を受けてそれをこなしていくわけですけれども、製造業のラインの作業とは違って、そういうクライアントから仕事が一遍に来ることもあるわけです。そうすると、それを受けるためには自分が担当しているものをこなさなきゃいけないので、そのためには徹夜してでも準備をして、そして翌朝にはすぐ相手先へ行っていろいろなクライアントとの折衝、営業をやるということになると、その人本人にとっては連続した労働が日付をまたいで行われる。
 これが過労死、過労自殺の原因になっているのではないかというふうに思っておりまして、そういう意味で、ヨーロッパではEU指令によって入っておりますインターバル規制を我が国にも入れる必要があるというふうに思っております。
○小田川公述人 さまざまな働き方、多様な働き方があるかと思うんですけれども、自律的な働き方もあれば他律的な働き方もあって、先ほどおっしゃいましたように、顧客の皆さんあるいは親企業からの要請によって、自分たちで時間管理ができない働き方はたくさんあると思います。あるいは、御紹介をしましたように、バスであるとかトラックであるとかのように、流通関係のところでも、自分たちできちっと決めた時間だけで物事を貫徹できないという他律的な要素を持っている労働はたくさんあると思うんです。
 そういうところで、長時間であると同時に次の勤務との間が非常に短くなって、例えば、先ほど御紹介をしたバスの運転手の例で申し上げますと、六時間程度の休憩で次の運転に入っていくというような事例がたくさんあります。あるいは看護師さんの職場でいえば、十六時間連続の二交代制というのがあるわけであって、そういう場合には、八時間の間に、次にあるのは一般的な休憩時間しかないという状況になっていて、それを過ぎた後になお次の日の深夜に入るという場合があるような事例も散見をされていると思います。
 そういう意味で、先ほども申し上げましたけれども、二十四時間を単位として人間の生体リズムはできているわけで、それを壊すような働かせ方が現に起きていることに目を向ければ、インターバル規制、勤務と勤務の間に一定時間を置いて休憩を保障するという仕組みは絶対に必要だというふうに考えております。
○畠山委員 貴重な御意見をありがとうございました。
 手塚公述人に、中小企業における働き方改革について伺います。
 中小企業において、賃金の引き上げや労働時間は、もちろん法令遵守の立場であることは、多くの中小企業はその立場であることは間違いないんですが、現実はなかなか大変なことがあるかと思います。
 先ほどの公述でも、最後の要望の中で、賃上げの原資をどうするか、またあるいは、納期に応える物づくりの世界ですので、そこにおいての労働現場というのは、かなり社員さんの御苦労はあるかと思います。経営者としての御苦労もあるかと思います。
 下請と元請の関係でいえば、安倍首相が言っていましたが、五十年ぶりに下請法を改定したということもありますが、労働時間をどうするかというのは中小企業においても必要な観点だと思います。
 そこで、元請との関係で、手塚公述人の元請の関係を話すと角が立ちますので、一般論や同業者などとのことでも構わないと思いますが、実際の納期、働き方の関係で、こういう機会ですから、そこがやはり一つ大きな鍵を握るのではないかと思いますし、賃金の原資にかかわっても、先ほど最後に述べられたことの問題意識とあわせて御意見をいただければと思います。
○手塚公述人 ありがとうございます。
 ひたすら、これはお客様との交渉以外にはないと思っております。もちろん、私どもの会社は粉じん職場で、労基上、二時間以上の残業はできないことになっておりますので、私どもの経営理念の中にも法令を遵守するということを明記している以上、それをきちんと守っておりますので、お客様には御理解をいただき、お受けするときに、これぐらいの納期がかかりますということでお話をさせていただき、交渉させていただいております。
 賃金の方に関しましては、賃金の原資は、私が賃金の原資を持っているわけではなくて、お客様からいただくものですから、安倍内閣においては、賃上げに関しての原資をお客様にお願いしていくということも土俵に上げられるようになっておりますので、そのあたりを今後お客様にお話をしていきたいと思っております。
○畠山委員 非常に控え目に御回答いただきまして、本当に社長さんのお人柄がよくわかりました。
 本当に、中小企業に至るまで安心して働ける環境をどうつくるかというのは、先ほど小田川公述人の記載にもありましたけれども、一体的に考えていかなければいけないことだろうと思います。
 そこで、最後に中空公述人に、ちょっと時間が短いんですが、法人税の減税などが、ちょっと分野が違うことかもしれませんが、この間一貫して経済界なども要求があり、しかし、日本においては、一方で、内部留保がたまりにたまってしまい、これが、麻生副総理もよく言いますが、賃金や設備投資に回っていないということが日本の経済の成長性もとめているのではないかという問題意識が今広くなってきていると思います。この辺についての御見解を最後に伺えればと思います。
○中空公述人 ありがとうございます。では、手短にお話をしたいと思います。
 法人税減税は、国際基準から考えると下げるのは仕方がないというふうに思っています。それが高いままだとやはりグローバル競争力で負けるというのはもう基本だと思っています。
 また、民間がためている内部留保に関しては、内部留保を使いたくなるような設備投資先がないから動いていないというふうに私は思っていて、何も自分で全部持っていることが正しいと言っているわけではないと思っているんですね。設備投資をしたら利益が上がるというような環境さえあれば内部留保は必ず出てくるというふうに思っています。何かが違っているんだということだと思っていて、なので、企業が節約して持ってしまっているんだという発想は、できれば捨てていただけたらというふうに思います。
 以上です。
○畠山委員 四人の公述人の皆さんに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。