○畠山和也君 私は、日本共産党を代表して、農業競争力強化支援法案について質問いたします。(拍手)
 先日、米通商代表部、USTR代表に指名されたライトハイザー氏が、農産物の市場開放に向け、日本は第一の標的と公言しました。
 日本政府が今後の通商政策のベースと繰り返すTPPにおいて、米は新たに最大七万トンもの無関税輸入枠を設け、牛肉の関税も現行三八・五%から最終で九%まで引き下げることを、既に日米間では合意しています。
 このTPP水準を容認していることに加え、日米同盟が第一との立場で安倍首相が合意したことが、ライトハイザー氏の発言を許しているのではありませんか。
 来月にも開くという日米経済対話において、農業分野ではどのような姿勢で臨むのですか。さらなる譲歩をすることになるのではありませんか。何より、経済主権、食料主権を投げ捨てるTPP水準を交渉のベースにすることは撤回するべきです。交渉を担当する麻生大臣、また農水大臣の見解を求めます。
 昨年、安倍首相は、規制改革推進会議の意見を私が責任を持って実行すると農業競争力強化プログラムを決定しました。本法案は、このプログラムに基づき、TPP批准を念頭にした攻めの農業を具体化したものです。
 本法案は、農業が将来にわたって持続的に発展していくことを目的としていますが、重要なことは、農家の高齢化や耕作放棄地の増加など、農家の深刻な実態をどのように総括しているかです。
 これまで国は、食料確保における公的責任を後退させ、農産物輸入も拡大する中、農産物価格は下がり続けました。一方で欧米諸国は、農業、農家に対して手厚い補償を行い、食料自給率も向上しています。食の安定供給と地域社会の維持へ、国が責任を負うのが当然との考えからです。そこまで日本政府としてやっていると胸を張れるのでしょうか。
 農家の苦しい現状を解決するには、これまでの自民党農政の総括と反省が必要ではありませんか。答弁を求めます。
 本法案は、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化の実現を図り、農業者による農業の競争力の強化の取り組みを支援することとしています。この法案で言う競争力とは何を指すのですか。
 海外との競争に勝てる農業を目指すとすれば、おのずと方向性は大規模化への誘導、法人化や企業参入などとなります。
 しかし、中山間地が多い我が国で、家族経営や兼業農家、また都市農業などの多様な形態こそ日本農業の姿でした。その構造を変えるとは、これまで日本政府が原点としてきた多様な農業の共存という理念や、日本農業の基本であった家族経営を壊していくことになりませんか。競争力強化プログラムや本法案は、さらなる農産物輸入拡大を前提としているものなのですか。どのように将来の農家像を考えているのか、明確に答弁してください。
 本法案では第五条で、農業者の努力まで規定されています。有利な条件を提示する事業者との取引を通じて農業経営の改善に取り組むとありますが、米価初め農産物価格が下落するもとで、言われなくても農家は努力を行っています。なぜ、農家の自主的選択を束縛しようとするのですか。
 国は、農産物流通等の合理化を実現するため、事業再編または事業参入を促進することとしています。そのため実施に関する指針を定めるとしていますが、白紙委任するわけにはいきません。指針の内容について明らかにしてください。
 この指針に基づいて事業者は申請を出し、国の認可を受けることになります。再編や参入の事業者には国籍などの要件はありません。外資の参入も可能ということですか。
 また、認定された再編事業者は、海外における事業再編の実施においても債務の保証を受けられる特例を設けています。なぜ海外での事業再編も対象に含めたのか、答弁を求めます。
 本法案は、法施行日から一年以内に国が農業資材の供給や農産物の流通に関する最初の調査を行い、おおむね二年以内にあり方の見直しを含めた検討を行うとしています。
 これでは、早く結果を出せとの圧力となることが目に見えています。農協系統に対して、口では協同組合の自主性を尊重するとしながら、実態は上からの改革を迫るやり方となるのではありませんか。
 これまで政府は、農業者の所得向上をともかくも掲げてきましたが、本法案の目的にはその言葉さえもありません。目指すべき目標の一つが、農協、全農解体に向かうことも看過できません。
 我が党は、生産資材の価格引き下げなどを求めてきました。それは、農家経営の安定が目的であり、これをてこに農協系統組織の性格を乱暴に変えることは認められません。あくまで自主的な改革に委ねるべきです。
 本法案の制定により廃止するという主要農作物種子法についても聞いておきたい。
 種子法は、我が国の基本的食料である稲、麦、大豆の優良種子を生産、普及することを目的としたものであり、このもとで各地に適した品種改良が進められてきました。
 民間の開発を促すため種子法を廃止するとしていますが、巨大資本の種子独占を招き、自家採種が閉ざされるおそれがあります。種子の安定的な確保は、国内生産にとどまらず、気候変動や人口増加など国際的環境の変化を踏まえても、重要な意義があります。国のやるべき仕事は、種子ビジネスの応援ではありません。
 種子法の廃止によって、安定的な優良種子の生産という国や都道府県の公的責任を放棄することになりませんか。明確な答弁を求めます。
 最後に、国営諫早湾干拓事業に係る和解協議を進めている中で、農水省が堤防開門を求める漁業者を説得するための想定問答をつくり、漁業団体幹部に示していた問題について述べておきます。
 報道によれば、農水省の担当者は他言しないでほしいと秘密を押しつけ、国の基金案の受け入れを認めるような内容となっています。開門を命じた福岡高裁の確定判決への責任を果たすどころか、圧力まがいに国の主張を押しつけることなど、到底許されません。
 速やかに想定問答なるものを公開するよう強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)