○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 参考人の三人の皆様には、本当に貴重な御意見をお聞かせいただきまして、心から感謝を申し上げます。
 時間が短いですので、早速、私からも質問をさせていただきます。
 まず、脇参考人の方に、やはり昨年の首脳会談及び共同経済活動にかかわってのことで伺います。
 今回の首脳会談で大きな目玉となったのが、先ほどから議論となっている共同経済活動の前進ということですが、同時に、先ほどからこれもお話がありましたように、一方で、領土交渉が置き去りにならないのかとの懸念もついて回っています。
 それで、旧ソ連が崩壊して以降でしょうか、同じように共同経済活動が議題に上っていた時代があって、そのときの日本政府は、並行的に、共同経済活動委員会と国境画定委員会、いわばそれを二本立てで協議するということをロシア側とも合意して、担保する形で、島民の皆さんやかかわる皆さんに、心配もさせないようにするし、領土交渉での前進も図るという態度だったと思うんです。
 ですから、そのようなことを承知されている皆さんからすれば、今回の共同経済活動が、一つだけの道筋になるのではないかという不安が出るのも私は当然だろうというふうに思うんですね。ですから、今からでももちろん遅くはないわけで、共同経済活動や領土交渉というものを並行的に進めていく必要は私はあると思っております。
 その上で、脇参考人から、過去のこのような経過も含めて、さらに今の日本政府における交渉のあり方について所見がありましたら、御意見を伺わせていただきたいと思います。
○脇参考人 先般の日ロ首脳会談の中で、特に、経済活動ということがクローズアップされてきた、しかも、そのことが最終的には領土問題の解決につながるんだ、つなげるんだという安倍総理の強い思いということは、私なりに感じております。その結果どうなるかは別にして、そういう思いでもって今進んでいるんだというふうには受けとめております。
 ただ、今、私自身、ここに来て最近思うんですけれども、国民的に、一般の国民から見て、経済活動と経済協力ということを一緒に考えている節があるんですね。
 経済協力というのはあくまでもサハリンを中心としたそういう部分であって、経済活動というのは四島を中心とした経済活動。そこをどうも何か一緒に考えている節があって、本当にこのままで理事長、いいのか、どんどんどんどん経済活動だけが進んでいって、ロシアの方にばかりすり寄ったような形になってしまうのではないのかというふうなことも風聞としてありますので、国として、共同経済活動と経済協力ということを、きちっとやはりある程度分けてというか、はっきり説明してほしいなというふうに思っているんですね。我々が説明してもなかなか理解がすとんと落ちないという部分があるものですから。そういう部分で、そういう思いはしております。
 したがって、私も、経済活動が進んでいくこと自体は、期待もしたいし、安倍総理の言っていることを期待しながら希望もしたい、希望をつないでいるわけです。したがって、これがどうなっていくかということ、これはやはり経済活動が今後進んでいく状況を見ながら、我々としてもどう対応するのかということを見定めていかなければならない、その上で、我々元島民の組織としても対策も考えていかなきゃならないということだと思っています。
 くどい話になりますけれども、我々の残置財産の問題等々がそのまま放置されたままで交流がどんどん進んでいくことについてはいかがなものかなと思っていますので、その段階で我々としても、また国に対していろいろな申し入れもしたいというふうに思っているところであります。
○畠山委員 二月の予算委員会で、私から安倍総理に、このときの首脳会談について質問をさせていただきました。会談ですから、首相自身も、全てをつまびらかに、明らかにはできないという答弁が繰り返されるんですけれども、その質問をするまでに過去の交渉の経過なども改めて調べると、それでも、過去はもう少しオープンに、元島民、国民の皆さんに現状がどうなっているかということを知らせてきた首脳としての努力もあったかと思うんですね。その点では、私は、もう少し安倍首相に、さらに中身を明らかにできないものかというふうに思うことはあるんです。
 ただ、いずれにしても、このまま領土のことが置き去りにならないようにということは、私も当然受けとめていかなければならないし、私自身も発信しなければいけないと思っています。
 中村参考人に、共同経済活動について伺いたいんですが、共同という前に、認識の共有、科学的事実の共通、一致といいますか、ということが必要だと私は思うんです。例えば、知床も含めた自然環境保護に対する研究的なアプローチとか、先ほどから議論されている水産資源のデータの共有や調査を出発点にすることなど、科学的一致点を共有することから始めるということがさまざまな今回の活動のスタートになるのではないかというふうに思っているんです。
 なかなか、経済といったときには、利害関係や、もちろんこれから法律的な問題なども出てくる中で、何を取っかかりにしていくか、どのようなステップを踏むかということはもちろん必要でありますし、繰り返しになりますが、これは領土問題を脇に、別にして進めるということがあってはならないと思っています。
 それで、そのアプローチ、ステップを踏む上で、科学的な共有ということをロシアとの関係でどのように進めることが考えられるか、御所見を伺いたいと思います。
○中村参考人 日ロ間では、決して経済協力とか領土交渉だけに限らず、さまざまな、自然環境とかいろいろな、渡り鳥の調査とか、そういった両国でできるところが実はたくさんあるわけなんですね。ですから、そこからどんどんお互いの認識を深める、一致させる、できるところから進めていくというのは、非常に賢明なやり方だと思っています。ですので、そういった形の研究調査、北海道には、北海道大学スラブ研究センターとか、いろいろ理系の研究施設もありますので、そういうところの支援をいただきながら調査を進めるというのは非常に重要なことだと思っています。
 それと、共同経済活動について、北方領土を対象とする共同経済活動、これまで何度か話が出てきて消えてしまったというような話があるわけですけれども、私はここで、きょういらっしゃる議員の先生方と認識を共有したいと思っていますのは、これがなかなかうまくいかない一つの大きな理由というのは、実は、北方領土内での、いわゆる今ロシア国内で行われている、北方領土で行われている経済活動に非常に腐敗、汚職がはびこっているということですね。これはサハリン州全体もそうです。サハリン州知事が逮捕されたり、あと国後の地区長が逮捕されたりとか、汚職とか、非常にそういうところで、共同経済活動といっても、実際のところ、どんな経済活動があの北方領土で行われているのか。
 そして、昨年だと思いますけれども、プーチン大統領と色丹島の工場で働いている労働者がホットラインでテレビでつながりまして、それが全国に流れたんですけれども、その水産工場で働いている女性の従業員がプーチン大統領に訴えていました。今、この色丹島でとっている魚というのは中国が持ってきていると言ったんですね。そして、給料の未払いが起こっている、三カ月、半年間未払いが起こっている、そういう現状が明らかになったんですね。これは、恐らくプーチン大統領にとっても意外な展開だったと思うんです。
 ですので、共同経済活動とか、それとは別に領土交渉もどんどん進めていかなくてはいけない。そしてエコロジーの問題とか、いろいろな問題を、北方領土を取り巻く環境がどうなっているのか、そのあたりをまず最初に調査研究していくというのは、今でもすぐできる、ロシアとの交渉で開始できる糸口になるかと思っています。
 以上です。
○畠山委員 貴重な御意見、ありがとうございました。
 高岡参考人の方には、根室の経済という点で少し現状をお聞かせいただければと思います。
 先ほどの意見陳述の中にも、製缶業界あるいは流通も含めた根室の経済、かかる産業の実態が大変な状況だということを伺いました。もちろん、領土の問題が解決することは水域が広がることの解決にもつながるわけですが、そこに至るまでさまざまな、もちろん時間的な経過が必要になることは言うまでもありません。
 この間、これも先ほどからあるように、流し網漁がだめになってしまったということなども含めて、当面の水産業界において、やはりつなぎ融資であったり、商工会、金融関係との連携というのは非常に今大事な状況にあるかと思うのですが、この間の協会の皆さんや根室の経済界を含めた地域の現状をさらにもう少し詳しく御発言いただければと思います。
○高岡参考人 今、実際に根室の経済は、サケ・マスの流し網漁を失いまして、これは金額的にも漁獲的にも非常に大きな経済の柱であったわけです。これを穴埋めする魚種、工場を稼働する上で穴埋めする魚種というものが、当初、我々が第一回目に期待したのが公海でのサンマ、あと、小型船でのイワシ、サバ、この操業です。その中で、公海のサンマにおいては、我々が手がけることができない、冷凍のまま海外輸出が条件ということで、国内の市況維持のためにそういった措置がとられております。
 我々は、今回、ホタテの増養殖ということで、新たな漁場整備を昨年させていただきました。それに伴いまして、本年度、稚貝の放流をしなきゃいけないということがあるんですが、これが本年と来年度、約二年で六億六千万の稚貝を購入して放流しなきゃいけないということなんですが、いかんせん、新たに、全く白紙の状態で食事の種を借りておるわけですから、原資がありません。その原資の観点から、今、国の方に要望、陳情をしているわけであります。
 この何にもない、魚が全く揚がっていない、通年、普通の企業であれば、二百五十日ないし二百七十日の稼働をしなければ、経済的に、今の日本、国際社会の中でも成り立っていきません、その中で三カ月の稼働空白というのが生まれるということは、ほかの月日に分配しても非常に大変なことなんです。そこの穴埋めをぜひしていただきたいので、今回、根室市を挙げて要望しているわけであります。
 あと、今後やっていく中では、やはり共同活動というのは根室に直接影響してくると思います。魚の動向、観光にしても、人の動向によっていろいろ変わってくると思うんですね。空路という形でも行ける地区というのは国後、択捉だと思うんですね。北方四島というからには歯舞、色丹もありますので、私は極端な発想をする方なので、何を言っているんだと思われるかもしれませんが、橋でつないだらいいんじゃないかなという。これはやはり、「えとぴりか」も入れないような水深の浅さ、宿泊施設がないというような現状を鑑みますと、日帰りで観光ルートをつくる。これは、路面をつないでいくという方法もあると思いますので、そういうこともあるかなと思っております。
 以上です。
○畠山委員 ありがとうございました。
 ちょっと時間がないのですが、脇参考人に一言だけ、連盟の皆さんのとりわけ二世、三世がさらに継続して運動を広げていく上で、一つだけ伺いたいことがあります。
 以前伺ったときに、現職で働いている皆さんからすれば、例えば全国キャラバンをするに当たっては、昔だったら中小企業も余裕があって人を送り出したけれども、今はなかなかそうならないんだという経済の実態ですとか、実は手弁当になって、さまざまな手当などが出ない状況が大変なんだというお話も伺いました。
 これは国のさまざまな支援にかかわるものなんですが、今後のそのような運動にかかって、一言、脇参考人から伺えればと思います。
○脇参考人 御案内のとおり、当連盟の元島民は八十二歳を超えている現状の中で、当連盟の活動なり運動がなかなか体力的にもできないというような状況の中で、二世、三世にそのことをお願いせざるを得ないという今の状況です。
 ただ、そこで、今おっしゃられるように、二世、三世はまだ現役世代です。したがって、会社を休んで行くということになるとなかなか大変だ。休ませてくれるのであればまだしも、休んだとしても、行ったときの費用弁償というか、旅費は出るにしても、それ以外の部分については、休んで、会社に迷惑をかけなきゃならないということなので、これが我々当連盟にとっても非常に苦慮しているところであります。
 したがって、ちょっと申し上げますけれども、当連盟の予算規模は約三億です。そのうちの六百万しか会員から会費収入はありません。あとの二億数千万は国と道からの助成金なんですが、その助成金も、事業に伴う助成金であります。したがって、事業をやることによって、職員の十数名の人件費もそこから生まれてくるということでありますので、非常に弾力的な財政運営ができない。要するに、自由に使えるお金が、自由に使えると言うと語弊がありますけれども、そういういろいろな事業展開をするに当たっての費用が捻出できないという苦しみがありますので、何とか皆さん、そういう千島連盟の台所事情もちょっと御理解いただければと思っています。
 以上です。
○畠山委員 時間ですので、終わります。
 参考人の皆様、本当にありがとうございました。