○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 きょうは農工法の改正案審議ということですので、通告に従って、その中身について質問をしていきたいと思います。
 農工法ですが、御存じのように、制定は一九七一年です。余談ですが、私も一九七一年生まれです。まあ、それだけの話なんですが。ですから、高度成長期において、農業と工業の均衡ある発展を図る要請から、農村地域における工業の立地を促進して新たな雇用を創出するものとして制定されたわけでありました。
 それで、一九八八年に改正が行われて、このときに現在の五業種、工業、道路貨物運送業、倉庫業、こん包業、卸売業に業種指定が拡大されたわけです。当時ですけれども、我が党は、農村地域での切実な雇用への要求から見て、賛成いたしました。しかし、この二十年間の検証は必要であるというふうに思っています。
 そこで、初めに何問か、この間の経過を、数字も含めて質問したいと思います。
 先ほどからも出てきていますが、まず、農工団地における企業の立地動向の推移について、前回改正以降、三十年の範囲で結構ですから、新規立地及び撤退数の両方について傾向を述べてください。
○佐藤(速)政府参考人 平成二年から平成二十年までの間の動向でございますけれども、新規立地企業数、平成二年は約七百社でございました。平成七年以降は毎年おおむね三百社前後となっております。
 他方、撤退企業でございますが、平成二年は八十社、平成十二年以降はおおむね二百社となっておりまして、新規立地企業数が撤退企業数を上回っている、こういう状況でございます。
○畠山委員 私も資料の方を見ましたけれども、今答弁があったように、新規立地が二百から三百台で推移はしていきますが、同時に撤退も二百前後ぐらいあって、差し引きとしてはプラスにはなってきていることは承知しています。
 そこで、先ほどからも議論がありましたが、撤退も一方では二百前後ある。その撤退の理由というものをどのように掌握しているでしょうか。
○佐藤(速)政府参考人 先ほどお答え申し上げました数字、平成十七年までは農村工業センターというところが調査をしておりました。
 農工団地における企業が撤退した理由は、残念ながら把握をしてございません。しかし、一般的には、企業の海外進出に伴う工場の海外移転ですとか、景気の後退局面による工場の閉鎖等によるものではないかというふうに考えてございます。
○畠山委員 既に議論されているように、海外移転、進出に伴うものが撤退では大きな理由だろう、これは理解できるものと思うんですね。そういうことだと思うんです。それで、そうなると、法の目的である雇用の創出、就業機会の確保というものが生まれては消える、生まれては消えるということが繰り返されていくことになってしまうわけです。これでは、農村での人口定着ということはもちろん成り立たなくなってしまいます。
 そこで、実際に操業企業の雇用状況を調べている統計もありました。それも確認したいんですが、このように、進出してきた企業のところでの総雇用者数のうち、いわゆる地元雇用と呼べる方の割合を調べている統計もありましたが、その推移についても答弁してください。
○佐藤(速)政府参考人 農工団地におけます操業企業における総雇用者数、地元雇用者数、その割合でございますが、昭和六十年におきましては、総雇用者数が約二十二万四千人、そのうち地元雇用が約十八万四千人、率にして八二%でございました。直近の平成二十年の総雇用者数でございますが、約五十九万六千人、うち地元雇用が約四十五万三千人、率として約七六%という状況でございます。
○畠山委員 今出されたデータの方も私も持っていて、もう少し詳しくすれば、今紹介のあった一九八五年の時点で、いわゆる地元率が八二%で雇用がされていたわけですけれども、十年単位で見ると、その後、九五年が八一・八%、維持はされるんですが、その十年後、二〇〇五年が七九・二%、そして、今直近で、答弁があったように七六%と、徐々に徐々にですが、このいわゆる地元率も下がってきているということが数字の上でも明らかとなってきていると思うんです。地元雇用率が漸減傾向となっているのでは、これまた人口定着も難しくなってきています。
 それで、では、どういう就業の場があればいいのか。農村地域で、もちろん就業の場が欲しいという切実な要求に応えつつも、安定して定着できる就業の場を求めているわけですから、それをどう検討するかが課題です。
 これも先ほどから出ていますが、農水省がアンケートをこの間行っていて、二〇一五年に全市町村を対象にしたものもありました。このアンケートも興味深く読ませていただきましたが、非常にその検討すべき内容として注目するものがあると思っています。
 例えば、就業機会の創出で、地域の資源を活用した内発的な産業の育成、または地域外からの工場等の誘致、どちらを重視するか。つまり、内発型か誘致型か、選ぶんだったらどっちですかという二者択一の質問をした項目があるんですね。それを分析していて、いわゆる過疎地域の市町村と三大都市圏の市町村とで違いがあることがきちんと書かれておりました。
 その内容について答弁してください。
○佐藤(速)政府参考人 平成二十七年の十二月にできました農水省内の検討会におきまして、地方自治体にアンケート調査をとっております。全国の千四百六十五市町村を対象に、今委員が御指摘のような問いを発出したところでございます。
 その結果でございますけれども、地域の資源を活用した内発的な産業の育成、それと、どちらかというとそういう内発的な産業の育成、これを合計した数字でございますが、過疎地域ではこれが約七割の回答を占めております。
 これに対しまして、人口が五万人未満のところにつきましては約六〇%弱、さらに人口十万人未満の市町村ということで見ますと約五五%、十万人以上ということで見ますと約五〇%、さらに三大都市圏ということで見ますと約四〇%ということで、過疎地域が最も大きく、人口が多くなるに従って内発型を志向する市町村が少なくなっていく、こういう傾向が見てとれます。
○畠山委員 つまり、いわゆる過疎地域は七割超が地域内発型の産業を求めている。それに比して、三大都市圏は地域外からの工場等の誘致を重視している、これは約六割だというアンケート結果になっているわけです。だから、こういう結果が出るのも私は当然だと思います。
 先ほどから話がされているように、生まれては消える、生まれては消えるという就業の場が、二十年、三十年を経て実体験としてあってきたわけですよね。だから、工場誘致はもちろんしてもいいんだけれども、それにとどめず、やはり地域内発型の産業を重視している、特に過疎地域がふえてきているということは重視する必要があると思うんです。
 今、中小企業振興基本条例が広がってきていて、四十道府県で制定されてきています。市区町村では百八十以上の自治体にまで広がってきています。大企業の工場や事業所を誘致しても、大資本の論理あるいは海外移転が当然という経済状況にあります。そこで、地域資源と個性を認識した内発型産業を住民ぐるみで発展させようという地域の意思が強まっているのも当然ですし、それが今答弁されたアンケート結果に出ていると思います。
 私の地元の北海道でも、ある町の条例も見させていただきましたが、日本一の食料生産基地への発展のために、中小企業が生産、流通、消費など経済活動の全般にわたって重要な役割を果たしてきたとして、町、事業者、経済団体、町民が一体となって中小企業の振興を宣言して取り組んでいるところがあります。
 一般的に、工場を誘致して、北海道ですから、交通、さまざまな運輸コストなどもかかる中で、やはり地域の内発型の産業を重視するということも、地域に根づいて就業の場を確保するという観点から、そういう方向に目が向いているというふうに、実際に動きがあるんですね。
 ですから、この立場から、今回の農工法の指定業種の拡大についても、慎重に進める必要があるということを述べておきたいと思っています。
 それで、実際の改正案の中身について質問したいと思います。
 その対象業種は、今回、工業等の五業種から全業種へ一気に拡大することとなります。
 資料の一をごらんください。それが「目的」の中で、この後議論したいものでありますけれども、法の目的として、下から二行目、これは改正案も現行法もそうですが、なぜこの法があるかといえば、農業と工業の均衡ある発展をするためだと。改正案では「農業とその導入される産業との均衡ある発展」と変わりますので、今後、便宜的に農業と産業の均衡ある発展と私は言いますけれども、これがなされるかどうかが大事なことだと思います。
 これは法の制定から変わらぬ重要な基本方針だと思いますが、これは大臣に確認します。法の制定時からこの改正案に至るまで変わらぬ重要な基本方針であることは間違いありませんね。
○山本(有)国務大臣 間違いありません。
 今回、農村において、担い手への農地の利用集積等が進む一方、高齢化、人口減少の進展により、地域コミュニティー機能の維持に影響が見られるようになってきております。
 このような中にあって、農村を振興するためには、農村地域のさまざまな農業者や地域住民が地域で住み続けられますように、農業が魅力ある産業になるとともに、農業以外の就業機会の選択肢があることが必要であると考えているところでございます。
 今般の農工法の改正後におきましても、農業と導入される産業との均衡ある発展を図るという目的は変わらないところでございます。
○畠山委員 農業と産業の均衡ある発展は重要なものであるということは確認しておきます。
 その上で、現状を見てみたいと思います。
 現在、都道府県が持っている基本計画は、もちろん国による基本指針をもとにつくられたものでした。前回、一九九六年、平成八年のもので改めてそれを読み直してみると、その中に「農業構造の改善」という項目があって、これはもちろん、法の目的にそう書かれているわけですから、基本方針においては、認定農業者等に対する農地の流動化に積極的に取り組むことを掲げて、そのための農工法なんだというふうに基本方針には定められています。
 こういうふうに具体的には書いていますね。「また、農地の流動化の推進に当たっては、導入された企業への雇用期間が長い者や役職等の要職に就いている者等の安定的な就業機会が確保されている者からの農地提供を促進する等重点的かつ効果的な実施に努める。」というのが今の基本指針です。
 つまり、企業で安定的に働ける人は、農地提供を促進するためだと。つまり、企業で安定的に働ける人は農地を出してくれれば流動化が進むということが今の国の基本方針の中に書かれているわけです。
 北海道の基本計画の方を改めて読みましたが、やはりこれに基づいて、認定農業者等地域の担い手に対する農用地の利用の集積を促進というふうに記されているわけです。
 改正案で基本計画への記載事項が変えられることとなります。農業構造改善に関する目標は、今まで任意的記載事項でしたけれども、今度は義務的記載事項に変わることとなります。
 つまり、農地の流動化を進めるための目標を各自治体に義務的記載事項として持たせるということになるんでしょうか。これは事実としての確認で、答弁してください。
○佐藤(速)政府参考人 この法案の第五条第二項におきまして、「産業の導入と相まって促進すべき農業構造の改善に関する目標」、第四号でございますが、これを任意的記載事項から義務的記載事項にすることとしたところでございます。
 これは、農業の成長産業化を図る上で、農業の構造改善を図ることが喫緊の課題であります。また、今般の改正によりまして対象業種の限定を廃止するに当たりまして、従来以上に、農村地域の就業機会の確保と、農業と導入産業との均衡ある発展が図られることが重要となることを踏まえまして、義務的記載事項としたものでございます。
○畠山委員 従来以上に均衡ある発展が必要だから、今回、義務的記載事項にしたという理屈がよくわかりません。何で義務的記載事項にしたのか。だって、結局、農地の流動化を進めるという点では前回と変わらないわけですから、そうであれば、なぜ前回は任意の事項になっていたのかということにもなると思うんです。
 改めて、義務的記載事項にした理由をもう少しわかりやすく答弁してください。
○佐藤(速)政府参考人 二つございます。
 まず一つは、農業の成長産業化を今図っております。そのために、担い手への農地の集積、集約化を進めているところでございます。
 そういった農業の成長産業化を図る上での農業の構造改善、これを図ることにつきましては、今政府として喫緊の課題として取り組んでいるといったことから、任意的記載事項から義務的記載事項に移すこととした理由の一つでございます。
 それと、二つ目といたしまして、今般、対象業種の限定を廃止いたします。廃止をいたしますと、業種の幅が非常に広がります。そういった中で、先ほど議論になりましたような雇用構造の高度化といった視点がやはりこれまで以上に大事になってくる。
 そういう意味では、農村地域の就業機会の確保というようなことを、雇用構造の高度化といったことも念頭に置きながら進めていただく。その際に、農業と導入産業との均衡ある発展が図られるといったような視点もまた重要でございますので、そういったことを考慮いたしまして、これは任意的事項から義務的事項に変更するということでございます。
○畠山委員 まだそれでもよくわからないんですね。
 これは、資料に出している第一条の目的規定ともかかわることなので、もう少しこの資料に基づいて質問したいと思うんです。
 だから、法の目的に、今度こういうふうに書かれるわけですよね。下線部は変更する部分でありますけれども、第一条、「この法律は、」改正案の方です、「農村地域への」云々かんぬんで、二行目ですが、「従ってその導入される産業」、これが今まで「工業等」でしたからいいんですが、その「産業に就業することを促進するための措置を講じ、並びにこれらの措置と相まって農地の集団化その他農業構造の改善を促進するための措置を講ずることにより、」「均衡ある発展を図る」というふうに書かれています。
 現行は、「導入される工業等に就業することを促進するための措置を講じ、」「これらの措置と相まつて農業構造の改善を促進する」と書かれているんですね。
 だから、今答弁されたように、均衡ある発展ということで、現行法では、工業等を導入することとあわせて農業構造の改善と均衡ある発展というふうに書き方は読めるんですけれども、今回は、就業の促進を講じたことに相まって農地の集団化に係ってくるわけです。それで、その他として農業構造の改善というわけですが、ちょっと何を書いているのかよくわからない、私だけかどうかわかりませんが。就業促進と相まって進めるのは農地の集団化と規定されているわけです。
 ですから、広く就業機会を確保して、農業と工業、今回産業ですが、これが均衡ある発展をするという農村の姿とはちょっと異なる集団化、集約、大規模化を促進するために、どのような業種でもいいから企業立地を進めるということになっちゃっているんじゃないんでしょうか。ちょっとここの意味も含めて理解できないんです。なぜ農地の集団化に係って相まってとなっているのか、答弁してください。
○佐藤(速)政府参考人 委員のお尋ねは、今回の改正案におきまして、この農業構造の改善の前に、農地の集団化その他というようなことがつけ加わった、それによって意味が変わってきているのではないか、こういう御趣旨だと理解をいたしました。
 そこにつきまして申し上げます。この農業構造の改善という言葉を追加いたしましたのは、昭和三十六年に制定された農業基本法には、この農業構造の改善という言葉が盛り込まれておりました。その中身でございますが、農業経営の規模の拡大、農地の集団化、家畜の導入、機械化その他農地保有の合理化及び農業経営の近代化、これらを総称して農業構造の改善ということが昭和三十六年に制定された農業基本法に記述をされていて、昭和四十六年に制定されております農工法においては、わざわざ農業構造の改善の例示をしなくても中身についてわかるだろうということで、この農業構造の改善という言葉をそのまま規定していたところでございます。
 しかしながら、この農業構造の改善という言葉が、現在の食料・農業・農村基本法においては用いられておりません。また、この農業構造の改善という言葉の指すところが一般的に自明とは言えないのではないかというような法制局での議論がございまして、この農業構造の改善という概念を明確化するために、旧基本法の規定も踏まえまして、「農地の集団化その他農業構造の改善」と修正をして、いわば農業構造の改善の例示といたしまして農地の集団化というようなことで改正をしたわけでございまして、決して農地の集団化を進めるために企業立地を行うという趣旨ではございません。
○畠山委員 なぜこういう書き方になったのかなというのを、いろいろなものを読んで、昨年三月に出されている農村における就業機会の拡大に関する検討会中間取りまとめでこんなふうに書いているんですね。「農村における就業機会拡大に関する基本的考え方」というところがあります。ちょっと読み上げます。「産業政策と地域政策を車の両輪として進めるとの観点及び農村における雇用と所得の場を確保し、農村の活性化に繋げるとの観点から、就業機会の拡大に当たっては、TPP政策大綱に位置づけられた施策が今後推進されることも踏まえ、以下の視点から検討を進める必要がある。」といって、具体的な、今回の流れに至るようなことが展開されているんです。
 つまり、法においては、農業と産業の均衡ある発展ということはもちろん法の大前提ですから残しておかなきゃならないけれども、そこに要素としてTPPを前提としたまちづくり、政策大綱の中の一環として今回出されてきているわけで、今回の改正案もそのような位置づけとしてされていると思うんです。農村は農村として維持しつつ、競争に打ちかてる農村と農業という新たな車の両輪づくりということになるのではないんでしょうか。
 ただ、もちろんそれぞれの地域で就業の場が必要とされている、要求がある状況は変わりはありません。今回の改正は、農業と産業の均衡ある発展ということは残っておりますし、新たな就業機会を確保する上で、全業種に産業を拡大するという今日的意義も明記されてきているとは思います。
 大臣に伺いますが、しかし、これらの行く末が、農地の集団化、それは、今日的に意味するのが、TPPにおける農業競争力強化と一体のものだ、そういう性格を伴った改正ではないのか、その点を伺います。
○山本(有)国務大臣 今日、農村において、高齢化、人口減少、これが進んで、地域コミュニティー機能の維持にも影響が見られております。農村を振興するため、農村地域のさまざまな農業者や地域住民が地域で住み続けられるような農業、これを展開していただいて、魅力ある産業にしていただくということは大事です。
 農業以外の選択肢を用意することによって、就業機会の一層の創出と所得の確保を図ることも課題となっているわけでございます。工業等以外の産業の立地、導入を促進することが必要であることから、今回の法改正に至ったわけでございまして、地域政策、産業政策、それぞれ大事でありまして、どちらかに傾いたということでもありませんし、今、農村の活力が失われつつあるときに、私どもは、農村にまさしく活力を与えるような施策であればどんどん導入していくことが大事だというような観点でございまして、TPPと直接関係するものではございません。
○畠山委員 危惧しているのは私だけではないです。
 資料の二枚目をごらんください。これは、北海道農業改良普及協会が毎月発行している「農家の友」という雑誌です。ことし五月号で、先日出されたものですが、「農政時評」というコーナーですけれども、ここで北海道大学の清水池義治先生が「農村地帯における生活経験から」という表題で論述をしていて、農村地域における雇用の状況などをどう考えたらいいかというので、非常に大事なことを書かれているなと私は思いましたので、資料として紹介をさせていただきました。
 いわく、その下に書いていますが、やはり農村地帯で生活する若者に足りないのは雇用機会だということは、これは当然です。その上で、先生は、名寄市というところにいた生活のことも引き合いに、実際に何が必要かということを論じているわけなんですけれども、ページをめくっていただきまして、下線を引いているところだけをごらんいただきたいと思うんです。
 「重要なのは農村地帯の人口扶養力をどう高めるか、具体的には若者の雇用機会をどれだけ確保できるかである。 その点で、現状の農業・農協改革には違和感がある。農業分野における競争強化を通じて、農業生産コストを削減し、農業の国際競争力を高めるという改革の方向性は、産業政策として完全に間違っているとまでは言えない。」としつつ、「ただ、実際に打ち出されている政策を見ると、実態は農業経営の選別政策の色合いが濃い。」少し飛びますが、「経済効率性を求めた農業改革をひたすら進めていくと、農村地帯で働く人の数はますます減少していく。大規模化や機械化で働く人数を減らしていくので、それは当然だ。産業政策としては正しくとも、それが農村社会の存続にはつながらない可能性もあるのである。要は、農村社会の維持・発展を考慮した農業の産業政策が必要なのであるが、現在の農業・農協改革にはそういった視角はあまり見られない。」
 以下、参考にしてEUのCAP政策とか出てくるんですけれども、今回はそれは触れません。
 それで、この間、一連の農業、農協改革は、TPPは実際は頓挫している状況ではありますけれども、それに伴って、その経済環境を前提とした農業競争力強化ということが大きな柱でありました。
 それで、大臣が先ほど答弁したように、地域においては就業機会の確保ということは切実な要求でもありますし、農村自体を成り立たせるために、今、田園回帰などと言われるような方々で地域で雇用の場をつくるという政策はもちろん大事なことだろうとは思うんです。ただそれは、農業と産業の均衡ある発展を掲げている中での話であって、TPPについては今後どうなるかわかりませんけれども、首相みずから、今後の通商政策はTPPがスタンダード、これを基準にするんだということを言っている以上、その経済環境が前提となってしまうことにほかなりません。
 そういう中での農地の集団化が、今回、法の目的で例示という形で先ほど答弁されましたけれども、最優先事項となっていないか、農業の強靱さの基盤である多様性が失われることになりはしないかということが、この先生の途中の文章の中でも出てきます。ですから、このような形で目的規定を変えたことについての危惧を表明しておきたいと思います。
 それで、ちょっと最後に、大きなテーマのところで、進出する企業や優良農地の確保の問題について質問しておきます。
 先ほど私も取り上げた昨年三月に出された中間取りまとめでは、「就業機会拡大の対象となる産業の考え方」というところもありました。地域の中での経済循環型産業も大事だということは触れているけれども、その先に列挙しているのが、まち・ひと・しごと創生総合戦略でありました。このまち・ひと・しごと総合戦略は二〇一四年十二月二十七日の閣議決定で、何が引用されているかというと、こんな部分が引用されていました。本社機能の一部移転等による企業の地方拠点強化が必要な政策として掲げられている、ここを引用しているんですね。
 つまり、大手企業から見れば、地方拠点を強化する上で農工法も活用できるということになります。農水省の側からいえば、地域の就業の場の確保のために今回のような改定をしようということに、裏表の関係になると思うんです。そうなれば、何だかますます農業と産業の均衡ある発展というところからかけ離れてくるんじゃないかというふうに思えるわけですが、まず確認したいのが、そのような企業にまで農工法上の支援措置をする必要があるのかどうかということです。
 まず、事実を確認します。
 農工法上の支援措置は、企業等に対して資本力などでの制限や要件があるのかないのか、どうなっているか、まずお答えください。
○佐藤(速)政府参考人 この法案に基づく税制、金融の支援措置といたしまして、一つは、個人が農用地等を譲渡した場合の所得税の軽減措置がございます。また、立地企業による設備取得に要する資金につきまして、日本政策金融公庫による低利融資がございます。
 このうち、企業が活用可能な日本政策金融公庫による低利融資についてでございますが、これにつきましては、資本金の額が三億円以下または常時使用する従業員の数が三百人以下の中小企業者が、工業等導入地区において三名以上の雇用創出効果が見込まれる設備を取得する場合に貸付対象となるということでございます。
○畠山委員 今回、新規となる農山漁村振興交付金も新たなメニューとして追加されますので、その点についても同様に確認のための答弁を求めたいと思います。
○佐藤(速)政府参考人 この農山漁村振興交付金におきまして、農工法に基づく実施計画を策定した地域を対象としたメニューを創設することとしておりますけれども、このメニューを企業が活用するためには、その企業が、地域再生推進法人やPFI事業者の認定を受けているか、あるいは資本金の額が三億円以下または常時使用する従業員の数が三百人以下の中小企業であることを要件とする予定でございます。
○畠山委員 関係するものを読みましたけれども、中小企業という言葉がありますが、資本金三億円が基準ですから、それ自体は相当な資本力であろうとも思うんです。
 どこまでの金額がいいかということはもちろんあるかと思いますけれども、この後、地域未来のことについてもかかわって述べたいと思いますが、資本力のある企業が進出する際にこのような支援が本当に必要なのか、どこまで支援する必要性があるのか、その考え方について、これも改めてちょっと聞いておきたいと思います。
○佐藤(速)政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、資本金の額三億円が大きいか小さいかという評価はあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、日本政策金融公庫による低利融資並びに農山漁村振興交付金における支援における企業の要件といたしましては、中小企業であるといったことを要件としたいというふうに考えてございます。
○畠山委員 それで、進出するところに対する支援との関係で、これもきょう出てきました地域未来投資促進法案との関係で質問していきたいと思うんです。
 農水省の提出されたポンチ絵の説明でも、関連施策との連携強化が掲げられています。その中に、農村地域における産業導入を支援するため、経済産業省において検討中の地域未来投資促進法案(仮称)による地域経済牽引事業への支援を活用と記されています。
 私もきのう経済産業委員会に出ていまして、民進党の篠原議員の質疑もきょうと合わせて二時間ずっと聞いていたんですけれども、やはりこの優良農地の扱いについて相当な議論になっていたんですね。
 結局、きのう法案では修正がかけられて可決されましたけれども、改めて、やはりここでその中身ということは徹底的に質疑する必要があると思うんです。
 まず基本を確認しますが、この地域未来投資促進法案によってどのように農地を活用できることになるのか、概要を説明してください。
○佐藤(速)政府参考人 まず、農地転用規制を定めました農地法の五条二項でございますが、ここにおきまして、第一種農地については原則として転用許可はできないとされております。ただ、そのただし書きにおきまして、政令で定める相当の事由があるときには許可できるということにされております。この政令で定める相当の事由として、農工法、地方拠点法等の地域整備法に基づく施設を整備する場合を規定しております。
 地域未来投資促進法案が成立した場合には、ただいま申し上げました農地法施行令を改正いたしまして、地域未来投資促進法に基づく市町村が作成する土地利用調整計画に位置づけられた施設を整備する場合、こういった場合を追加することによりまして、他の地域整備法と同様に、第一種農地における農地転用許可を可能とするということでございます。
 今回、この地域未来投資促進法案におきまして、丁寧な土地利用調整を図るための計画制度を措置することによりまして、優良農地の確保が図られるようにするといったようなことをしたところでございます。
○畠山委員 明確にわかりやすくしておきたいと思うんですけれども、農地法の関係でいえば、第一種農地は第二種農地並みとなる、農振法の関係でいえば、農業生産基盤整備事業が完了後八年たたなければ転用禁止のところを適用除外にする、そういうことでよろしいんですよね。
○佐藤(速)政府参考人 そのとおりでございます。
○畠山委員 ですから、第一種農地も転用可能となるわけです。
 農工法の今回改正で来られる企業、事業所が地域未来投資促進法における地域の牽引事業として認定されることとなれば、第一種の農地もしたがって転用できる、だから、こういうことになるんですよね、事実の確認として。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりではございますが、農工法に基づく実施計画によって企業、産業を立地する場合につきましても、同様の農地法の配慮が働くということでございます。
○畠山委員 これもきのうの経済産業委員会から随分と議論になりましたが、手続上においては、丁寧にとか、先ほどからあるように、国が基本方針に盛り込むんだとかいうことがありますけれども、実際上は、理屈としてこれが可能になるということは今の質疑で確認できたと思うんです。
 それで、きのう経済産業委員会で我が党の真島議員も質問して、細田政務官にもお答えいただきましたが、これは重要なやはり中身ですよね。
 日本農業新聞で、四月三日付でしたか、激しい論戦が委員会でも予想されるというほどの中身を持ったものだと思うんです。
 それで、今、どういうふうにするかということは先ほどから議論がありますけれども、少なくとも、これにかかわる関係団体、関係者あるいは農業者などから意見を聞く、パブリックコメントなどがこれほど重要な中身にされてきたのか、されていなかったのか。この点はきのうの経済産業委員会で真島議員から質問もさせていただきましたが、このパブコメというのはどういうふうにこの間やってきたのか、どうするのか、答弁してください。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
 農地法施行令の改正でございますけれども、これにつきましては、パブリックコメントを実施することによりまして広く国民の意見を聞いた上で、最終的な案文を作成して、閣議決定してまいりたいというふうに考えてございます。
○畠山委員 つまり、これまでやっていなくて、これからやる、簡単に言えばそういうことですね。
○佐藤(速)政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○畠山委員 だから、懸念の声がこのようにあふれ返ってくるわけです。
 こうなってくると、最初に戻りますが、農業と産業の均衡ある発展の姿とかけ離れていく懸念はやはり拭えなくなる。しかも、地域未来投資促進法は優良農地を転用可能としている一方で、今回の改正案は、是非はともかく、農地の集団化を目的とするわけですから、優良農地の取り扱いが矛盾することになってしまわないのか。それは地域、市町村ごとの実施計画で決めることなんだ、市町村が考えることなんだというふうになるでしょう。
 ただ、最後ですからこれは大臣にやはりお聞きしたいと思うんですが、優良農地の確保は、その集団化がどうかは別としても、何より農水省としての最優先課題であることは間違いないはずです。何でこんなふうに地域未来投資促進法案で優良農地転用可能となったのか、そういうもとでどうやって優良農地をきちんと維持し守っていくことを考えているのか、きちんと答弁をしてください。
○山本(有)国務大臣 農地は国民に対する食料供給のための生産基盤でございます。今後とも優良農地を確保していくことが基本でございます。
 このため、農工法改正法案あるいは地域未来投資促進法案におきまして、産業の施設用地と農地との土地利用調整がこれまで以上にしっかりと行われるような仕組みを設けるということが大事だと思っております。
 優良農地を確保しながら農業と導入産業との均衡ある発展を図ることが何より重要だというように認識しつつ、この法案を位置づけているわけでございますが、両法案とも農業振興地域制度及び農地転用許可制度を適切に運用するということを中心としまして、今後とも優良農地の確保を図ってまいりたいというように考えているところでございます。
○畠山委員 新たな誘致を、農村の現状と関係なく、牽引事業という形などと結びつけて支援するとなれば、こんなことが起きてしまうんだと思うんですよ。
 ですから、大臣も食料の生産基盤として必要だということを認められている以上、その責任を国が果たせなくなるのではないかということに強い危惧を持つわけです。農村地帯における就業の確保は必要ですが、慎重かつ地域の実情に見合った形で進めることを求めます。
 なお、今回の改正案は、TPPを前提にした競争力強化という流れの中で進んでいるもとで、出発点から違う道を歩んでいるように思います。農業と工業の均衡ある発展とかけ離れていくことに強い懸念を表明しまして、私の質問を終わります。