○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 畜安法の審議を前に、学校法人加計学園が愛媛県今治市に獣医学部を新設することの経過について、我が党は総理出席の予算委員会集中質疑を求めております。本筋としてはそちらでしっかりと質疑する必要があると思いますが、本委員会では、獣医師の需給についての農水省の考えと事実の経過だけを、きょう最初に二、三確認しておきたいと思っております。
 我が党の小池晃参議院議員が二十二日の参議院決算委員会で、政府関係者から独自に入手した「今後のスケジュール(イメージ)」と題した文書を明らかにしました。今、私もきょうは手元に持ってきています。
 これは、来年四月に開学するために、逆算でスケジュールを作成したものとなっています。この文書によれば、表題のすぐ下に米印がついていて、こう書いてあります。獣医師の需給部分について、随時、農水省・厚労省による判断・対応が重要、こう書かれているんですね。
 それで、今回の件に関して、農水省は獣医師の需給についてどのように文科省へ説明してきたのか、まずその点を確認したいと思います。
○今城政府参考人 お答えいたします。
 獣医師の需給、需要ということでございますけれども、近年、家畜、ペットともに数が減少しているということでございます。また、ペット一頭当たりの診療回数、これはいろいろな事情からふえているというような事情もあるので、一概には申し上げられませんけれども、獣医師の全体の数としては、届け出数で我々は把握しておりますけれども、これは全体にふえてきておるというようなこともあるので、全体の数としては不足している状況にはないということに考えられております。
 このような中で、一方、産業動物獣医師、いわゆる田舎で産業動物、牛、馬、豚にかかわっておられる医師、こういう方面につきましては、実際問題として採用のところでなかなか満たないということもございまして、都道府県単位の畜産協会等が、地元に就職することを条件として獣医学生に奨学金を出すというような制度をやっておりまして、そういう状況の中で、地域によって不足している状況があるというふうに認識しております。
 そういうようなことを、農林水産省といたしましては、いわゆる国家戦略特区ワーキンググループのヒアリング等におきまして、文科省さんも御出席されておると思いますが、そういうところの場で、求めに応じて、こうした獣医師の現状について説明してまいったということでございます。
○畠山委員 農水省からいただいた資料でも、獣医師というのは、今あった産業動物、それから公務員分野などもいらっしゃいますし、ペットなどを含めた小動物の診療分野、また、それ以外にも、その他、企業の実験も含めていろいろなことがありますから、それだから獣医師として活動していない方々などの中で、とりわけ農水省としては産業用動物や公務にかかわるところを中心に把握され、先ほど言った支援も行っているというように説明を受けました。
 今のようなことを先ほどの出された会議では説明し、そのような議論を踏まえて、昨年十月三十一日に内閣府の事務方が農水省消費・安全局に今回の決定の原案を提示したと山本地方創生担当大臣がさきの決算委員会でも答弁をしています。この原案に対して農水省はコメントをしなかった、つまり了としたという意味だと思いますが、その理由を述べてください。
○今城政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、昨年十月三十一日に、内閣府が作成した、十一月九日にかけられる国家戦略特区諮問会議における決定事項に係る案、これを提示いただきました。
 これにつきまして、まず一点目は、獣医学部の設置そのものは当省の担当ではないということ、加えまして、その記載されていた内容の、獣医師に求められる新たな需要というところが記載されております。具体的には、創薬等のプロセスにおける多様な実験動物を使用したライフサイエンス研究の推進ですとか、地域における感染症対策における水際対策というような部分が書かれております。
 こういう新たな需要というところにつきましては、私ども必ずしも、委員先ほど御指摘あったとおり、所管しておりませんので、そういうところの需要が新たにあるということであれば、我々はそれに対して異議はないということで、コメントなしというふうに回答させていただきました。
○畠山委員 もう一つだけ事実の確認をしておきます。
 今答弁のあった、十月三十一日の原案に対する、コメントしていないんですけれども一応対応したということと、最終に出てきた公表される文書が違いがあったはずです。原案が十月三十一日に提示された後に、最後に公表されるところまでの往復のやりとりというのはあったのでしょうか。
○今城政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねのような報道があって、原案と最終案というようなお話は報道で承知しておりますけれども、これは政府内部の意思決定の過程における問題ということでございますので、それがどういうものであったかということについては御回答を差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、当省はコメントなしというふうに回答させていただいたということでございます。
○畠山委員 私たちが手に入れた文書の存在の是非はともかく、先ほど言った参議院の決算委員会で山本地方創生担当大臣は原案という言葉を使ったわけですから、つまり、公表された文書は修正されたものであるということになっていくわけです。
 それで、先ほど述べたように、きょうはこれは事実についての確認だけで、別の機会にきちんと審議したいと思っておりますが、修正されたということを前提に我が党が追及をしてきたわけですが、何がどう修正されたかというと、獣医学部の設置地域については、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と書かれている部分ではないかということを指摘しました。原案から比較して、広域的に何とかに限りという文言が入ったというのが事実だと思います。
 総理の腹心の友のための利益誘導として特区制度が使われていたのではないかという疑惑です。真相の解明には農水省としても説明責任を果たすべきだということを指摘して、本筋の議論を行っていきたいと思います。
 法案の審議ですが、前回の委員会で、私は、今回の改正案について、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、酪肉近からも外れているのではないかと指摘をしました。繰り返しますが、前回そこで明らかにしたのは、酪肉近では指定団体の機能の強化こそを必要としていることを方針と掲げていたのではないかと指摘をしたわけでした。
 このときの山本大臣の答弁を議事録で改めて読み直しましたが、かみ合った答弁になっていないと思います。一体、この酪肉近から整合性はとれているのか、外れているのではないか、改めて聞きたいと思います。
○山本(有)国務大臣 酪肉近代化基本方針におきます指定団体の機能強化は、集送乳の大宗を担う農協連としての指定団体について、傘下の農協等のさらなる再編整備や集送乳業務の集約など指定団体内部の課題について記述しているものでございまして、その方向は今後とも変わらないものというように認識しております。
 また、制度の見直しの後も、現行の指定団体は生乳流通の中核を担っていくものというように考えております。引き続き、必要な支援や経費の見える化等を通じて推進してまいりたいというように考えるところでございます。
○畠山委員 まだかみ合っていない答弁のように思えますね。
 前回の議事録で、大臣は、所得がどのように上がって新規参入者を求めることができるかということで、指定団体の洗い直しの必要性をまず答弁しました。その後に、補給金を通じて飲用向けと乳製品向けの仕向けの調整の実効性を担保すれば農家所得も上がっていくという答弁もしました。
 その後に、今回の、新しく団体が、事業者が指定されるということと、生産者がプラスされて力関係が強くなり、生乳団体の価格交渉力も得られるということも答弁はしているんですが、しかし、私は、今の答弁もそうなんですけれども、どうも整合性はとれていないようにしか思えません。
 とりわけ、今引用した前回の答弁でも、大臣はやはり、酪農家の所得が上がるために必要なことだということを枕言葉、前提の目的として言っているんですよね。
 ただ、二十三日の参考人質疑でも、私は参考人に、所得向上に今回の法案が資するかと質問をしました。四人中三人の参考人は否定的でした。現場サイドの参考人も、もし寄与することであれば、ほかにすがるものがございませんから、やっていただかざるを得ないと述べておりました。つまり、そうであったらいいなという願いを述べられたと思います。
 これまで農水省が指定団体の機能強化を掲げてきた理由は、突き詰めれば、価格や所得の安定のためだったはずではありませんか。それに反することを今回の改定案はするんじゃないか、だから所得向上にはならないと私は繰り返し言っているわけです。
 大臣、もう一度、なぜ所得がこれで向上すると言えるのか、説明してください。
○山本(有)国務大臣 この法案によりまして、補給金の交付対象を拡大するわけでございます。そして、現在の暫定措置法に基づく制度を恒久措置として位置づけることによりまして、財務当局とも、恒久的な考え方で取り組んでいただくということになるわけでございます。
 そして、この制度改正によりまして、所得向上という点におきますれば、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がります。みずから生産した生乳をブランド化し、加工、販売する取り組みなど、創意工夫による所得向上の機会を創出しやすくすることができると考えております。
 また、現在の指定団体でございます農協や農協連につきましても、生産者の選択に応えるために、流通コストの削減や乳価交渉の努力を促す、そういう手だても措置をしているつもりでございます。
 また、これまで補給金をもらえないため飲用向け一辺倒だった者を乳製品向けにも計画的に販売する方向に誘導することができて、これによって冬場等の飲用牛乳の不需要期の廉価販売に歯どめをかけることができると考えております。
 加えて、新たに導入する年間販売計画におきまして、乳製品仕向けの経営戦略を明確にすることで、より消費者ニーズの高い用途、あるいは付加価値の高い国産乳製品の製造、こうしたものが促進されることになるわけでございまして、その結果、乳業メーカーが得られる利益をもととした乳価の形成が期待されるものというように考えているところでございます。
○畠山委員 どれくらいの対象となる生産者の所得が向上するのか、押しなべて広く生産者の所得が向上するのか、きちんと見ておく必要があると思うんです。
 参考人質疑でも、小林参考人は、短期的には、北海道を中心として支払われる補給金の総額がふえるから、その結果、北海道の所得というのは若干ふえると思いますが、中長期的に見れば、競争が激化して酪農家の所得は低下あるいは乱高下するという懸念を述べられていました。
 清水池参考人は、今まで乳製品主体だったものを飲用向けで仮にある生産者が売ることができれば、確かに一時的に所得がふえる可能性はありますと。しかしこれも、清水池参考人も、したがって飲用向け市場の競争が非常に強まってしまうことから、飲用向け乳価が下がってしまうのではないかと、そろって懸念を表明しているんです。
 大臣、ちょっと、もう一度確認したいんですけれども、一体どの層の生産者が所得が上がるのか、押しなべて広く所得が向上すると考えているのか、いかがですか。
○山本(有)国務大臣 最初は上がり下がりまちまちだというように思いますが、長期的には私は全体の酪農家の所得が向上できるというように思っております。
 翻って、指定生乳団体の機能というものの根本は、まず生乳自体が腐敗しやすい、そして貯蔵性がない液体。鮮度を命とする生乳は、在庫性が希薄なフロー市場を形成するため、需給の不均衡は価格に大幅な変動を与える。それは、生産者の経営的負担を余儀なくしてしまう、ひいては消費の伸びを阻害し、乳業者にも負担になるということが基本にあるというように思います。
 そのことにおいて、自己販売や部分委託というものを認めることによりまして、いわば個性的商品の開発や消費者ニーズに対応することができるというようなことにつながっていくわけでございまして、現実に、例えば岩手県の岩泉乳業の、今設備投資をされておりますけれども、あのヨーグルトについては大変な消費の伸びがありますし、最近の機能性食品の中のヨーグルトの実績というのは急速に伸びております。
 というように、さまざまな形で乳製品が今消費者ニーズに対応しているわけでございまして、今のままで全量買い取り、全量委託ということをしますと、まずは、指定団体から個性あるそういう製品をつくり出すためにはまたそこから買わなきゃならぬというような話にもなってくるわけでございまして、自己販売とか新しい付加価値をつけた乳製品、そういったものを研究開発していく意欲ある農業者に対して、新しい考え方、取り組みでやることによって、価格の上昇の幅が見られるということでございます。
 ひいては、輸送コストの削減等を努力いただけるわけでございますので、全体として生産者に利益が出てくる構図になっていくというように期待しているところでございます。
○畠山委員 総じて、理屈の範囲というより願望の範囲と受けとめました。
 中長期的に、先ほど参考人の答弁を引いたように、競争的な環境が進めば必ず価格が下がっていくことは、一般的には予想されることだと思います。そのことを指摘して、私は、結果として所得向上に資することはないということは述べておきたいと思っております。
 部分委託の上限撤廃についても、ちょっと時間がないので、急いで確認しておきたいと思います。
 現状は日量三トンの上限となっていますが、改めて、なぜ三トンとしているのか、その理由とともに、上限いっぱいまで活用しているという実績があるのかについて、確認のため答弁を求めます。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
 酪農家の創意工夫によります六次産業化等の取り組みを支援する観点から、生乳受託販売の弾力化を順次実施してまいりました。
 指定団体に生乳を出荷しつつ、その一部につきまして、みずから処理して牛乳・乳製品を製造、販売できる仕組み、自家製造につきましては、酪農の一日当たりの平均の乳量、また、その規模拡大は今後も進展すると見込まれることを踏まえて、平成二十六年に日量三トンまで上限を拡大したところでございます。
 取り組み件数としては、直近で二百二十九件というふうになってございます。
○畠山委員 それで、上限が撤廃されることで、これまでも、特色ある牛乳だとか自家加工とか、要件はありましたが、これも含めて撤廃されるということですから、高く売れる委託外の飲用向け販売に生産者が集中することもあり得るのではないか、そして、いわゆるいいとこ取りの可能性も指摘をされてきました。
 省令等でいわゆるいいとこ取りを防ぐと説明はしてきたわけですが、例示として出されている五項目で本当に防げるかどうかというのは疑問です。例えば季節変動あるいは売れ残り、これらの取引を拒否できるとしますが、それをどう判断するのかという点では、参考人質疑でも疑問が投げかけられていました。農水省として十分な説明をする責任があるかと思います。
 そもそもは、需給が崩れることが一番の心配です。仮に、需給に支障を与えるおそれ、こういうような文言が省令に入っていかないと担保になっていかないのではないかとの指摘もあります。いいとこ取りを防がないと、指定団体に全量出荷している生産者の方が結局は需給調整を引き受けるという構図にもなっていきます。これは不公平が生じます。
 どのように省令に書き込むのか、現時点での考えを改めてこの場で答弁してください。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
 部分委託自体は、そのような御懸念もあるので省令の方で書きたいと思っておりますが、そういう部分委託を利用して、いろいろな創意工夫でお互い発展していくということにもつながるんじゃないかとも思っております。
 その具体的な省令の中身というか、省令の文言そのものではございませんけれども、考え方としては、夏場に減少し冬場に増加するという生乳生産の季節変動を超えて委託または買い取りの申し出の数量が変動する取引である場合、例えば年末年始のみに指定事業者へ委託等を行うような短期間の取引である場合、自分の生乳は飲用向けに売ってほしいというような特定の用途仕向けへの販売を条件とする場合、生乳の品質が指定事業者の定める統一基準を満たさないものである場合、生産した生乳のうち売れ残ったものを持ち込むような取引を求められる場合に拒否できることとしたいというふうに考えてございまして、関係者と調整しながら、できるだけ速やかに定めた上で省令化していきたいというふうに考えてございます。
○畠山委員 規制改革推進会議がフォローアップするなどとも言われていますが、そちらの方を向くのでなく、やはり生産者の方を向いたことが求められているということは指摘しておきたいと思います。
 これらのことで心配される問題を突き詰めていくと、先ほども述べた需給の安定が一つの課題だと思います。
 参考人質疑でも、法の目的に需給の安定が盛り込まれたことには評価の声が上がりました。ですが、これを実現する年間販売計画での実効性、その担保について疑問などの声が上がったこともやはり言っておかなければいけないと思います。
 新たに参入する事業者は、多分に飲用主体の販売となることが予想されます。飲用向けの競争が激しくなる可能性があります。新しい事業者が、大手資本に囲い込まれるというのか連携するというのか、そうなった場合には、さらに激しさが増すおそれもあります。
 片方の事業者に飲用向けが偏れば、もう一方が加工用の団体として調整することにならざるを得ません。それは多分、現在の指定団体が担うことが予想されます。そうなると、先ほど述べたように、指定団体へ全量委託している生産者には不公平な環境になるでしょう。
 国が年間販売計画にかかわってさまざま認めていくに当たって、このような事態を防ぐことはもちろん念頭にはあると思いますが、この場でも改めて答弁を求めておきます。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、そもそもの話として、現在、指定団体以外のところというのは補給金の交付を受けられないので、全て飲用に流れているというふうに理解をしてございます。
 今回、その補給金を、指定団体以外の計画的に加工に回す方に交付することによって、これらの、特に冬場の不需要期の廉価販売等には歯どめをかけることができる、そういう効果を狙っているところでございます。
 年間販売計画につきましては、先生御指摘のとおり、農林水産省令で定める基準に適合するか、また、あわせて提出される乳業者との契約書の写し等とのそごがないか等を確認した上で交付対象数量を通知いたしますし、かつ、それをまたきちっと確認するということで、飲用向けと乳製品向けの調整の実効性が担保される仕組みとしているところでございます。
○畠山委員 私が述べたような事態を防ごうとするならば、片っ方ずつの団体に偏りが出ないような、例えば用途別の比率を入れるような必要などもあるのではないのでしょうか。
 私、この法案に賛成の立場で言っているわけではないんだけれども、例えば北海道でいえば、飲用二割、乳製品八割です。同じような形でこの比率をそれぞれにしていかないと、公平な環境とはとても言えないし、先ほど述べたような事態が起こり得る環境が、条件が生まれてしまうと思うんです。そういうような考えはありませんか。
○大野政府参考人 お答え申し上げます。
 この法案におきまして、補給金の交付に当たりましては、農林水産大臣が、提出された年間販売計画を確認することとしておりますけれども、この際、その計画が、年間を通じた用途別の需要に基づく安定取引であるといった省令で定める基準に適合するものであると認める場合に、年間販売計画に記載のあった数量を参考に、対象事業者ごとの交付対象数量を算出し、通知することにしております。
 このことによりまして、乳製品の需要に応じた供給が確認されますことから、一律の乳製品への仕向け比率を設定する必要はないものと考えております。
 また、さまざまな創意工夫を行う事業者がおられると想定される中で、地域ごとに一律の乳製品仕向け比率を要件とすることは、消費者ニーズ等需要に応じた仕向けを支援する点からも適当ではないというふうに考えております。
 こうした考えを念頭に、具体的な基準は、国会での御審議も踏まえ、関係の方々の御意見を賜りながら、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
○畠山委員 今の答弁では、バランスがとれないことになりかねないと思いますよ。先ほど北海道の例は出しましたけれども、季節変動もそうだし、地域ごとにもさまざまな特徴があるわけですから、それを踏まえないと心配です。このことを改めて指摘をしておきたいと思います。
 それで、最後になるかと思いますが、結局、今回の改定案が、畜安法の第一条、目的規定にある畜産及びその関連産業の健全な発展を促進することになるのかということは、太い柱として大臣に伺っておきたいと思うんです。
 念頭にあるのは、イギリスのミルクマーケティングボードの例であります。
 中央酪農会議が昨年十二月十四日に「指定団体(制度)の重要性と指定団体制度を巡る情勢」というレポートを出しています。イギリスに視察団を送って、ミルクマーケティングボード解体の聞き取りをしている部分があるので、そのことは紹介しておきたいと思います。
 デアリーUK政策部長のピーター・ドーソン氏は、ミルクサプライチェーンが不安定になったとして、多くの英国の乳業者は外国資本の乳業者に市場を明け渡したと述べておられました。六百二十頭を搾乳している酪農家、マンセル・レイモンドさんは、飲用市場への出荷志向が強まり小売業からの影響を強く受けるようになった、日本は英国と同じ過ちを繰り返してはならないとまで述べておられました。
 今回の改正案は、生産者の選択の幅を広げるということが主眼です。それは、競争的環境を認めて、生産者に経営上のリスクも迫ることになると思います。それを理解した上で生産に励む方がいるのも、それは生産者の選択だとおっしゃるでしょう。
 しかし、国がやるべきは、安定的な食料生産と供給です。競争的環境が広がることで、需給の安定が崩れて、押しなべて生産者の所得向上にはならない、ひいては離農、離脱のきっかけになるようではだめです。ミルクマーケティングボード解体は、反面教師として私たちにそのことを教えていると思います。
 そこで、法の第一条、目的規定にある畜産及びその関連産業の健全な発展、これが今回の競争的環境を持ち込むことで本当に健全な発展と言えるのかどうか、大臣の答弁を最後に求めます。
○山本(有)国務大臣 一九九四年のMMBの解体の後、乳価が低迷し、酪農家の手取り収入がイギリスでは著しく落ちるという結果になり、いわば生産者が買いたたかれるという現状がございます。
 そういうことを踏まえて、今回、そのようなことのないような、需給のしっかりした安定的な運営というものに注力してきたのが今回の法案だというように考えております。
 現在、平成二十七年で一万八千戸の酪農家でございますが、十年で三分の二になってきているわけでございまして、この酪農家の皆さんの所得向上というのは、安定的な日本の酪農というものの位置づけの上で非常に重要だというように考えております。
 先ほど答弁で、制度当初、まちまち所得向上というように申し上げましたが、誤解のないようにもう一回答弁いたしますと、より創意工夫する経営者はより高い所得を得ることができるという趣旨でございますし、また、生乳一辺倒の今のいわばアウトサイダーの皆さんが補給金を得られるように対象範囲を拡大しますと、生乳の需給が締まってくるわけでございまして、その意味において、我々は、安定的な生産者の運営ができるというように思っております。
 一方で、消費者ニーズが多様化しております。他方で創意工夫もしようという酪農家も多くなってきたわけでございます。そんなことを考えていきますと、この法案は当然の時代の要求ではないかというように思っております。
 そして、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がって、みずから生産した生乳をブランド化して加工、販売する取り組み、あるいは創意工夫による所得向上の機会、そして、現在の指定団体である農協、農協連が生産者選択に応えるため流通コストの削減やあるいは乳価交渉の努力、こういうことをやっていただくことによりまして、さらに今回の改正で、需給状況に応じた乳製品の安定供給そして畜産経営の安定、こういったことによって、日本の畜産あるいは関連産業が健全に発展するようにつなげていきたいというように思っております。
○畠山委員 時間ですから終わりますけれども、時代の要請として、今回の議論の出発点は、規制改革会議の乱暴な提案だったわけでした。バター不足を理由に持ち出しながらその解消は別だと認めたようなことまで報道されて、こんな無責任なことは到底許されないと私は思っています。
 朝から晩まで働きづめの酪農家に対して、本当に何たる無責任なことか。農政の大もとの方向性から転換すべきであることを強調して、質問を終わります。