○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 本題に入る前に、京都の米卸業者による米偽装疑惑について一言述べておきたいと思います。調査結果を待ちたいわけですが、それ以前にも一つ提起したいことがあります。
 食品偽装は、繰り返し繰り返し発覚してきたたびに農水省としてさまざまな対策も講じてきました。事故米の不正規流通事件が起きた後は米トレサが成立しましたけれども、当時の議事録を読むと、売買事業の実態把握が議論されていました。
 二〇〇九年四月十四日参議院の農水委員会で、これは我が党の紙智子参議院議員の質疑ですが、その点について質問をし、石破大臣が、事業者捕捉の規模要件は二十トン以上と答えています。それ以下の販売業者は無届けということで、意図を持った事業者が入れば同じことが起きないかということを重ねて質問したときに、米の取扱規模にかかわらず、巡回調査などを把握して行う省としての必要性を当時石破大臣が答えておりました。
 対象の業者に対する今行っている調査自体はもちろん厳格に進める必要があると思いますが、足元の農水省の行政機能や体制についても、結果次第によっては考えることがあるのではないかと思いますし、組織の長としての大臣の頭の中に入れておいていただきたいということが提起です。
 コメント、通告していませんが、ございますか。
○山本(有)国務大臣 再発防止において重要な点であると思いますので、十分検討させていただきます。
○畠山委員 調査を待ちたいと思います。
 本題に入ります。
 大臣は、所信表明で、生乳の生産、流通について、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保等を図るため、生産者補給交付金等の交付対象となる事業者の範囲を拡大する等の措置を講ずることを述べました。この点にかかわってきょうは質問いたします。
 私は、昨年十二月十三日の本委員会で、補給金支給の交付対象を拡大することについて、それでは生産者側がばらけてしまうことにならないかと提起しました。もちろん、今、法案にかかわっては検討中ということを踏まえた上でお聞きします。
 当時の質疑で、私は、「指定団体制度が乳価の交渉においても大きな役割を発揮していると思います」と大臣の認識を伺いましたが、山本大臣からは、改革の意義については述べられましたが、これまでの乳価交渉力の意義については触れていなかったと思います。そこで、私、重ねて答弁を求めたわけですが、そこで大臣からは、今後ともその機能を適正に発揮していただけることが生産者にとっての重要なウエートを占めるという答弁でした。
 まだはっきりしないんですが、この答弁に基づいて、改めて指定団体の認識についてもう一度伺います。「その機能を適正に発揮」と当時言っていた、「その機能」というのを具体的に御説明いただきたいわけです。これまでの指定団体制度が乳価の交渉において重要な機能を持っていたという理解でよろしいのでしょうか。
○山本(有)国務大臣 この暫定法ができる以前、昭和四十一年までのいわば生乳の集荷や販売、また乳価の交渉力というのはばらばらの感があり、酪農家が安定的、永続的経営が難しかったのではないか、こう思っております。
 その意味において、今の指定生乳団体が行われます乳価交渉力、一元集荷、多元販売、こういった機能は、十分、その後、四十一年から満たされることになったというように評価をしております。
 しかし、長い経過がございます。その中で、市場で要求される話、あるいは酪農家がまた将来にわたって希望する話、さまざまな要因が重ね合って今日まで来たということも理解しておるところでございます。
○畠山委員 今大切な答弁があったと思います。現指定団体の制度が始まる前にばらばらであったことから、その乳価交渉力を高めるために現制度として必要性があったということをお認めになった発言で、大事にしたいと思います。
 農水省の生産局が出している資料にも、この団体制度の機能について、やはり乳価交渉力の確保を掲げているんですよね。それで、つまり、なぜこのことを繰り返し聞いているかといえば、指定団体が果たしてきた役割や機能について、今の制度を、ではどこを変える必要があるのかないのかという根本にかかわる問題だから、繰り返し聞いていたというわけです。
 もう一つ、今大臣がちょっと触れていましたが、角度を変えて、この点も確認しておきます。
 ですから、指定団体の持つこの乳価交渉力というのは、全量委託の共販を背景に、一元集荷、多元販売が確保されているからこそだ、この点は否定されませんね。いかがですか。
○山本(有)国務大臣 昭和四十一年の立法事実の中では、それが大きな要因でございました。
 しかし、今回、そうした中にありまして、指定団体以外でもその生産者が補給金を交付したいというときに、現在、排除をする、そういう要因はむしろなく、公平感を持って平等に取り扱わなければならないのではないか。あるいは、全量委託ではなくて部分委託で酪農経営をやっていきたいというニーズがある方々に対しても、そうした何らかの措置を講ずべき時代背景もあるというように考えております。
○畠山委員 きょうは時間が私は短いので、そこから先については今後の議論に委ねたいと思うのですが、二〇〇七年前後に輸入飼料などで価格が上がったときに、生産コストが大幅に上がりました。多くの酪農家が、これでは経営できないと大変苦しまれました。そのときにやはり乳価引き上げに指定団体が果たしてきた役割は大きかったと思っているんです。それは、繰り返しになりますが、生産者がばらばらでなくて全量委託も担保されてきたことで、乳価交渉力の強さが証明されたことではないかと私は思います。
 言いたいことは、政府は農家の所得向上ということを常に言うわけですが、指定団体の乳価交渉力が弱まるような改革では逆行になってしまう。ですから、内容についてこれからもちろん議論したいと思いますが、その点を指摘して、次の点を伺いたいと思います。
 畜産農家の支援にかかわって、マルキン事業について、事実をまず確認しておきたいと思います。
 昨年、TPP関連法の一つとして、牛マルキンと豚マルキンの法制化が提出、可決されました。これによりまして、牛・豚マルキンとも補填率は八割から九割に引き上がり、豚マルキンは国庫負担水準を、国と生産者が一対一から、国と生産者が三対一と引き上がることとなります。
 そこで、事務方で結構ですので、事実を確認します。
 来年度予算において、このマルキン関連予算は幾らで、それは補填率を何割と見込んでのものでしょうか。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十九年度の予算案におきまして、牛のマルキンで八百六十九億円、豚マルキンで百億円を措置しているところでございます。また、粗収益が生産コストを下回った場合に、その差額に対する補填率は八割、その補填財源の国庫負担割合は、牛マルキンで国三、生産者一、豚マルキンで国一、生産者一というふうになっております。
○畠山委員 九割にせっかく引き上げたものでありますが、今言ったように、来年度予算は補填率は八割ということです。
 わかって聞くわけですけれども、その理由を改めて述べてください。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
 さきの臨時国会におきまして成立いただきましたTPP整備法におきまして、牛・豚マルキンの法制化、またそれに伴います補填率の引き上げ等につきましては、TPP協定の発効日に施行されることとされてございます。
 二十九年度の予算案におきましては、TPP協定の発効時期が具体化していないため、現行の補填率及び国庫負担水準としているものでございます。
○畠山委員 TPP発効日が施行日となるからであります。
 ということは、政府の認識は、少なくとも来年度はTPPは発効されないということなのでしょうか。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
 さきの臨時国会で成立いただきましたTPP整備法で、法制化は発効日に施行ということでございます。
 この協定の発効につきましては、各参加国が国内手続を完了する場合など、参加国の国内手続の進捗に依存してございますので、ある程度確実に発効が見通せた時点で予算措置することが適当と考えておりまして、その際には必要な予算を措置してまいりたいと考えてございます。
 仮に年度途中に協定が発効いたしまして追加の予算額が必要となる場合には、政策大綱におきまして、「既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保する」というふうにされているところでございまして、その際にはまた適切に対応してまいりたいと存じます。
○畠山委員 御存じのようにアメリカ大統領が離脱を署名したわけですから、もう諦めて、新しい枠組みを考える必要があると思います。
 そこで最後に、だから大臣にお伺いします。
 TPPが発効してもしなくても生産基盤の強化が必要であることは、大臣も常々口にしてきました。そのために生産費の補填策が必要であることも、また誰も否定はできないと思います。だから、これまでマルキン事業については、拡充の要望はあれ、当然ですが廃止の議論などもありませんでした。
 先日、二月八日に、ALICから昨年十、十一、十二月の牛マルキン補填金の単価が公表されました。とりわけ乳用種で、十月は四万五千三百円、十一月で五万一千五百円、十二月六万一千百円と、一昨年以来の高い水準となりました。これは素畜費がさかのぼるところの時点で高かったことによるものだと思いますが、こういう背景があれば、やはりマルキン拡充の要望が出るのは当然だと私は思います。
 さらに、改正法の第一条では次のように目的を定めています。「交付金の交付又は価格の安定に関する措置を講ずることにより、畜産経営の安定を図り、」というのが新たに挿入されて、「もつて畜産及びその関連産業の健全な発展を促進」することが改正法の目的です。
 TPPが発効しない現実と、畜産農家の現状と、そしてこの改正法の目的を実現する立場に立つなら、施行期日を変更すべきではありませんか。
○山本(有)国務大臣 畜産農家の将来の経営安定についての認識は私も同じものだと考えておるところでございますけれども、このTPP整備法により法制化されて、TPP協定の発効日に牛・豚マルキン、これを補填率の引き上げ等を行うというように、法律のスキームはあくまで経営安定、そして輸入に対する経営環境の激変、これに対応するものであるというように、依然、私の方ではしっかりとそれを位置づけておるものでございます。
 その意味におきまして、この施行日というようなことはあくまでTPP協定の発効日でございますので、どうかひとつ御認識いただきたいというように思っております。
○畠山委員 残念ながら認識できません。
 野党四党では、施行期日を公布の日から起算して三カ月を超えない範囲内において政令で定める日を施行とする改正案を提出しております。委員会での審議と賛同を心から呼びかけて、私の質問を終わります。