○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 きょうは時間が短いですので、早速質問に入ります。
 農業競争力強化の一端として、主要農作物種子法の廃止が閣議決定されました。法案としての審議は別の機会ではありますが、廃止の理由についてはきょうのうちに問いたいと思います。
 種子法のもとで、基礎食糧である稲、麦、大豆の品種開発と安定供給が担保されてきました。都道府県ごとに気象や土壌条件が違う中で、その特性を踏まえて奨励品種を決めてきた仕組みは合理的だったと言えます。
 そこで、廃止の理由なんですけれども、その一つに、地方公共団体のシステムによって民間の品種開発意欲が阻害されていることが挙げられています。具体的に何がどのように阻害されているのか、まず説明してください。
○柄澤政府参考人 お答えいたします。
 主要農作物種子法第八条におきましては、都道府県に対しまして、当該都道府県に普及すべき主要農作物の優良な品種を指定するために必要な試験を義務づけているところでございます。
 この試験を行って、普及すべき優良な品種、いわゆる奨励品種に指定されれば、都道府県がその種子の増産や審査に公費を投入しやすくなるということがございます。こういった状況の中で、都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種になるということになっておりまして、例えば稲で見てみた場合に、民間企業が開発した品種で奨励品種に指定されたものは今までない状況でございます。このこと自体、今御指摘の、民間企業とそれ以外がイコールフッティングになっていない証左だというふうに理解しております。
 このように、法律に基づきまして国が都道府県に奨励すべき品種を決定させる、こういう現行の枠組みを前提とする限り、民間企業の参入につながらず、マーケットのニーズを踏まえた種子生産を拡大していくことは困難であるというふうに考えているところでございます。
○畠山委員 今の答弁ですけれども、実態は、昨年ですか、神奈川県でも、全農のはるみという稲の品種が奨励品種とされました。また、農水省の資料でも、民間企業が開発したみつひかりは、三十八都府県で今や栽培されています。大手牛丼チェーンのニーズがあって、需要先の紹介とセットでPRすることで栽培面積が年々増加しているとまで書いています。
 まず事実を確認しますが、それでは、民間で開発した品種が都道府県の奨励品種になれないんでしょうか。具体的に、これは事実の問題として確認したいと思います。
○柄澤政府参考人 民間企業が開発した品種につきましては、都道府県が試験を行って普及すべき優良な品種と判断して奨励品種に指定することは、現行制度上は可能でございます。
 しかしながら、奨励品種に指定されれば県がその種子の増産や審査に公費を投入しやすくなるという状況の中で、どうしても都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種になっておりまして、なかなか民間企業が開発した品種が奨励品種にならないということになっております。
 そういった中で、今御指摘ございましたが、民間企業、一部、稲などの種子を生産しているところもございますけれども、そういった民間企業は、もう仕組み自体がそうなっているということを踏まえまして、この奨励品種を目指すということではなくて、むしろ、今御指摘ございましたように、実需者と結びついた形で販売先を確保するというような戦略をとってきている、そういう構造上の制度の中でそういうことをやっているということでございます。
○畠山委員 最初に聞いた、私は事実の確認だけだったわけです。現状でも奨励品種になることは可能であります。
 それで、そもそも、農水省自身が種子法の意義を訴えてきた歴史があるわけですよ。これまでと説明が一変してきたというふうに思います。
 規制改革会議が種子法を問題にしていた会議がありました。二〇〇七年ですが、四月二十日、規制改革会議地域活性化ワーキンググループの第二回農林水産業・地域産業振興タスクフォースです。当時の議事録を読むと、今私が前段に質問したようなことに農水省自身が反論文書を提出しています。
 民間の新品種が奨励品種になることが極めて困難との指摘があるがとの問いに対して農水省は、奨励品種に採用する品種については、公的機関が育成した品種に限定しておらず、本制度が新品種の種子開発の阻害要因となっているとは考えていないと書いています。同じく、奨励品種制度が生産、販売、普及の妨げとなっているというような指摘にも農水省は、優良なものは積極的に奨励品種に採用するよう都道府県に対し指導している、奨励品種制度が新品種の生産、販売、普及の妨げになっていないと考えると明確に述べています。
 民間の開発意欲を阻害しているとの指摘に対して、これまで明確にこのように否定してきたではありませんか。なぜ認識が変わったのですか。
○柄澤政府参考人 もとより、稲、麦、大豆が我が国の土地利用型農業における極めて重要な作物でございますし、その生産における基本的資材であります種子が重要な戦略物資であるという考え方については、今までも今後とも一貫しているところでございます。
 ただ、そうした戦略物資として重要な種子の安定供給のための手段を考えてみた場合に、現行の主要農作物種子法におきましては、優良品種の指定ですとか、あるいは原種、原原種の生産を全国一律で法律に基づいて都道府県に義務づけるというスキームをとってやってまいったわけでございます。
 しかし、近年の状況を見ますと、種子生産者の技術水準の向上等によりまして、種子の品質は安定しておりますし、むしろ、実需者のニーズを踏まえた民間企業の品種も開発されてきている。こういった現下の状況を鑑みました場合に、今後はこのような民間ノウハウを活用しながら種子の安定供給を図っていくことが必要であるという判断に至ったところでございます。
 そういったことから、今般、主要農作物種子法を廃止しまして、都道府県による種子開発、供給体制を生かしながら、民間企業との連携によって種子を開発、供給していくこととしたところでございます。
○畠山委員 ですから、阻害をしているということについての根拠は薄いと思うんですよ。それならそれで、現行の法律に民間との連携を書き加えれば済むだけの話であって、その是非は別ですけれども、一体なぜ廃止するのかという理由は私は納得できません。
 そこで、最後に大臣に伺います。
 種子法の廃止に対しては、懸念の声が少なくありません。日本農業新聞二月二日付論説には、次のように書かれています。「民間参入を促す狙いだが、主食の種子は食料主権の根幹に関わると知るべきだ。」「生産者に十分な説明がないまま廃止に突き進むのは、国民無視と言わざるを得ない。まず、廃止の是非、必要性を広く議論すべきだ。」との論説です。もっともな指摘だと私は思いました。
 基本的な農業資材である種子、今回は稲、麦、大豆ですが、そのものについて、種子についての認識を最後に大臣に伺っておきます。
○山本(有)国務大臣 稲、麦、大豆、これは我が国の土地利用型農業における重要な作物でございます。その生産における基本的資材でございます種子は、重要な戦略物資であるというように考えております。
 このような稲、麦、大豆の種子につきまして、都道府県が中心になって種子の生産、普及を行ってきたところでございますが、近年、実需者のニーズを踏まえた民間企業の品種も開発されているところでございまして、今後はこのような民間ノウハウも活用して、多様なニーズに対応する必要があるというように考えております。
 このため、今般、主要農作物種子法を廃止させていただきまして、都道府県による種子開発、供給体制を生かしつつ、民間企業との連携、これを深めまして、種子を開発、供給していくというようにしたいところでございます。
○畠山委員 時間ですので終わりますが、廃止する根拠として十分な説得力を持ち得ているとは思えません。慎重な審議が必要であることを委員各位にも呼びかけまして、私の質問を終わります。