○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 種子法廃止法案の立法事実と経過にかかわって質問します。
 お手元に資料が配られているかと思いますが、種子法廃止への懸念の声が広がっています。北海道新聞、三月十九日付のものからの引用です。論説委員が交代で時事問題を解説する欄なんですが、表題は「種子法の廃止は拙速だ」。この方は、民間の活力重視は理解した上でというふうな立場ではありますが、二段落目ぐらいでしょうか、このように書いています。「道立の農業試験場をはじめ各地の研究機関は、種子法に基づいて質の高い種子を提供している。農業にもたらしてきた成果は数多い。 そうである以上、法の廃止に当たっては生産現場の声に十分耳を傾けるのが当然だ。」と書いています。もっともな指摘だと私は思います。
 そこで、確認します。
 さまざま審議会など公式な場面などもあるかと思いますが、専門家あるいは採種農家、農業試験場職員などなど、どれだけ関係者から意見を聞いたのか。加えて、大臣に、通告していませんが、このような声が広がっていることへの受けとめもお聞きしておきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 この北海道新聞、主要農作物種子法について高い評価をいただいております。
 ただ、平成二十七年十一月に取りまとめられました総合的なTPPの関連政策大綱において、体質強化とかあるいは経営安定対策とか充実させよう、そういう政策に加えて、生産者の努力では対応できない分野の環境整備、これを構造的問題として掲げ、検討の継続項目というものを記しております。それが、二十八年秋を目途に具体的内容を詰めるということにされました。
 二十八年秋ではありませんが、二十八年八月に閣議決定されました未来への投資を実現する経済対策におきまして、農業者の所得向上を図るためには、生産コスト削減と農産物の有利な条件での販売が重要である、そういう観点から、先ほど申し上げました検討継続項目に掲げられました生産資材価格の引き下げ、流通、加工構造の改革、この施策に加えて、二十八年内を目途に、競争力強化プログラムというのが取りまとめられたわけでございます。
 さらに、二十八年九月、政府・与党で検討を行った結果、十一月に農業競争力強化プログラムというものが策定され、この中で、主要農作物種子法の取り扱いにつきまして、民間事業者へのヒアリングなども行いながら検討が行われて、同プログラムにおきまして、「地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止するための法整備を進める。」というように位置づけられております。
 種子法は、八条ある中で、第一条以外は全部主語が「都道府県は」ということになっておりまして、いわば今の時代に、国が一々都道府県を指図するというようなたてつけは今はとり得る時代ではないという観点もありまして、主要農作物種子法の廃止法というものがこのプログラムの内容に含まれたというように考えているところでございます。
○畠山委員 今の答弁の中で、私が聞きました専門家や採種農家、農業試験場職員などの生産側に係る言葉は出てきませんでした。
 それで、TPP対策にかかわってから出されてきた経過を大臣は今述べられましたが、だって、生産者に聞いたら廃止するという意見など出るはずもないのは当然でして、規制改革会議などがこの分野においての規制緩和を求めていたのではないかと前回私は質問をいたしました。それで、農水省が、民間の阻害にはなっていないという立場であったはずでした。
 それで、私、もう少し調べてみようと思いまして、規制改革会議の議論をずっと改めて読み直してみたんですよ。それで、規制改革会議でも種子法について出てくるのは二〇〇七年五月三十日、前回私が指摘したその年のものですが、規制改革推進のための第一次答申、ここで出てくるんですね。公的機関と民間企業の品種開発力に差があることから、民でできることは民へと促していました。
 しかし、ここで、具体的施策としての結論は、規制改革会議においても、種子法の廃止ではなかったんです。民間企業の育成品種が奨励品種として積極的に採用されるよう、改めて効果のある措置を講じるべきであると、運用改善を求めていたんですね。その後に規制改革推進会議となって、種子法の廃止が議題に登場するのが昨年の十月六日で、農水省側の配付資料で突然出てくるわけです。
 それで、内閣府にこれは確認したいと思います。二〇〇七年から昨年、約十年間で、規制改革会議農業ワーキング・グループで、種子法にかかわる廃止の議論が一回でも出たことがあったんでしょうか。
○刀禰政府参考人 お答えいたします。
 主要農作物種子法につきまして、規制改革の会議でどういう議論があったかという御質問でございますけれども、直近十年間の中では、平成十九年四月に、当時の規制改革会議のもとのタスクフォースにおきまして、この問題について農水省からヒアリングを行ったという経緯は、委員御指摘のとおりでございます。
 その後、昨年九月二十日の規制改革推進会議農業ワーキングにおきまして、農林水産省からこの問題についてのヒアリングを行い、その後、十月六日に、意見におきまして、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止する旨の提言を行ったという経緯でございます。
○畠山委員 ですから、十年間においても、規制改革会議では、廃止まで含めた議論というのは全くないんですね。出発点は、先ほどあったように、十年前に出ています。
 私はすごく不思議だったんですよ。生産者の側などからも廃止の意見は出ていない、当然です。規制改革会議からも、十年間、廃止ということがまともに言われていないけれども、昨年唐突に出てきた。一体何でこんなことになっちゃったんだろうということなんです。一体誰から何か要望されて、政府は、多様なニーズに応えるためとかいろいろ言いますけれども、きょうも朝から議論を聞きましたが、全く説得的な答弁になっていないと私は思いました。
 ですから、農水省の立場に立つつもりはないですが、農水省としての理論武装も全然成り立っていないと思っています。
 例えば、ことし一月三十日の規制改革推進会議第九回農業ワーキング・グループ、これは規制改革の方の総括審議官なんですけれども、山口審議官が、廃止理由の説明に、稲の奨励品種に民間企業がほとんど対象になっていない、きょう議論されてきたことですが、そのことを挙げて、このように言うんですね。「もう少し民間企業に対しての配慮というものが必要ではないかということで、今回この法律自体は廃止とさせていただきたい」。
 配慮という言葉は、言葉尻で言うつもりはありませんが、政治的にも行政的にも配慮という言葉を使いますけれども、それを廃止に結びつけるというのは行き過ぎではありませんか。
 前回の委員会で、私は、民間との連携を言うなら、法律の改正で済むはずだと述べました。
 一体、省内でどういう検討をしてこういう廃止や廃止などの理屈になってきたんですか。どんな検討をやってきたのか、ちょっとはっきり述べてください。
○山本(有)国務大臣 繰り返しになりますけれども、この種子法の枠組みを前提として、都道府県に対して、民間事業者の開発した品種も積極的に奨励品種に採用するよう通知を発出するなどして、参入促進を図ってまいりました。しかしながら、民間事業者の開発した品種は都道府県の奨励品種にほとんど採用されていないという現実が長く続くことになりました。
 その根本的な要因が、奨励品種を指定するための試験等を都道府県に義務づけることによって、都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種に指定されるという、一種、みずから頑張ったことに対するみずからの褒美、そういう意味での奨励品種に指定されておりまして、現行の法制度そのものにこうした構造的な問題が内在しているというように判断させてもらいました。
 したがいまして、現行法のもとで奨励品種の決定方法等に関して法改正を行ったといたしましても制度そのものの構造的問題を解決し得ないことから、今般、種子法を廃止するというようになった次第でございます。
○畠山委員 時間が私は余りないので、昭和二十七年、一九五二年の種子法の最初の議論のとき、これはもともと議員提案の法案だったんですね。坂田英一議員が次のような提案理由を説明していることを最後に、今日にも通じる部分ですので、紹介しておきたいと思います。「優良な種子を生産するためには、特別の技術と管理が必要とされ、その生産費が一般の米麦と比較しておのずから高くなる」、途中略しますが、「ここに国または地方公共団体がその生産と普及について特別の指導ないし助成を行う必要が生じて来る」、こういうふうに提案理由を説明しています。
 公的機関が優遇されているかのように主張されますが、優良な種子生産のためであることは今日も変わりはありません。この根本はなくすものでなく、民間の活力も使うというなら、その範囲で運用改定すればいいだけではありませんか。
 最後に、この種子法に込められた公的な責任は後退することにならないのか確認して、私の質問を終えます。
○山本(有)国務大臣 この種子法で位置づけられております原種、原原種の生産、あるいは奨励品種の決定のための試験等を義務づけたということが、品種開発や奨励品種の決定自体につきまして、各都道府県の農業振興を目的として、法律によらず、各都道府県の自主的な判断により今日まで実施されているという認識でございます。
 農林水産省が各都道府県に聞き取りを行いましても、大半の都道府県から、主要農作物種子法が廃止されても、現行の種子法に規定されております奨励品種に関する業務、あるいは原種、原原種の生産に関する業務、圃場審査、生産物審査に関する業務、これらを都道府県の責任において継続する見通しと回答されておられます。国はもとより、都道府県の公的責任は後退するようなことではない、こう考える根拠になったわけでございます。
 そして、農業競争力強化支援法におきまして、民間事業者の参入促進のため、都道府県の知見を活用することも規定しておりますけれども、これは、今後とも都道府県が種子生産に関する取り組みを行うことを前提としたものでありまして、この規定をもって、都道府県が種子生産に関係する取り組みを行っていく上での根拠として位置づけることも十分可能であるというように考えるところでございます。公的責任は後退いたしません。
 以上でございます。
○畠山委員 時間ですので、終わります。