○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 きょうは、国営諫早湾干拓事業にかかわって質問いたします。
 訴訟が長く続いていますが、その経過は省きまして、この問題にかかわっては、一昨日、二十七日、長崎地裁において、原告の営農者、被告の国、被告補助参加人の漁業者ら三者による和解協議が打ち切られました。
 国は、昨年十一月に、総額百億円の有明海振興基金案、仮称ですが、を示しました。その後、農水省が漁業団体幹部に想定問答なるものを示していたとの報道もありました。そして、一昨日、和解協議が打ち切られたというのがこの間の一連の流れです。
 まず、大臣に、和解協議が打ち切りとなったことについての受けとめを伺います。
○山本(有)国務大臣 まず、大変残念でございます。
 三月二十七日の和解協議におきまして、長崎地裁から和解協議を打ち切るという判断が示されました。一年を超える和解協議におきまして和解に至れなかったことについて、大変残念でございます。
 長崎地裁における和解協議は、昨年の一月十八日の和解勧告、これを受けまして、十五回に及ぶ協議を重ねさせていただきました。本年一月二十七日には、新たな和解勧告の御提示をいただくなど、和解に向けた裁判所の御尽力には敬意を表するものでございます。
 また、漁業団体におきましては、国の提案した基金につきまして、これまでの経緯や立場を乗り越えていただいて、議論を尽くしていただきました。心から感謝を申し上げる次第でございます。
 国としましては、引き続き、本件をめぐる一連の訴訟に対しまして適切に対応すべく、問題の解決に向けて真摯な努力を重ねていきたいというように思っている次第でございます。
○畠山委員 皆さん、委員のお手元に、先日のことにかかわっての資料を幾つか、報道各紙のものとしてもお渡ししていますので、ごらんください。
 共通しているのは、国が責任を負って今こそ決断するべきではないかという指摘です。これまでも、何度も何度も転換あるいは決断の時期もあったかと思いますし、そのたびに、国のイニシアチブが必要だ、国の決断が求められるなどの声も上がっていたに違いありません。
 資料一枚目は、毎日新聞西部版ですが、四角でくくっているところであります。成蹊大学武田真一郎教授の言葉が引用されていまして、最後に、「事態打開にはもはや国が決断するしかない状況だ。」と述べられています。
 資料二枚目は、同じく西部版、朝日新聞ですが、佐賀大学畑山教授は、「漁業者と農業者の言い分を集約し、折り合う道を探るのは本来政治の役割。司法の混乱は政治の不作為ゆえの悲劇だ」と断じています。
 我が党はこれまで、予算委員会や決算委員会などで、同僚議員が、国として、防災、あるいは農業者、漁業者などが共存できる道、農漁共存へ責任を負うべきだと主張もし、具体的な提案なども行ってきました。
 この時点において国として今後どのように責任を果たすつもりか、これらの指摘も踏まえて、大臣はどのようにお考えになっていますか。
○山本(有)国務大臣 国といたしましては、長崎地裁によります開門を前提としない和解勧告を受けまして、有明海全体の漁業環境の改善に向けた総額百億円に上る基金の検討、漁業団体への意見聴取、あるいは、長崎地裁の訴訟指揮に従いまして、昨年一月以降、和解勧告に沿った和解の成立に向けまして、誠心誠意な努力を傾けたつもりでございます。
 しかし、二十七日、長崎地裁の和解協議では、裁判所から、あくまで開門を前提としない和解勧告による解決、これが相当と考えているがということでございますが、開門派に受け入れていただくことができませんでした。開門にかわる基金、それと、開門について、した場合という並行協議、これについても裁判所が、和解の成立の見込みが高いとは言えないという御判断をいただきまして、和解協議が打ち切られるということになったわけでございます。
 先週二十一日、今度は、福岡高裁の和解協議がございました。福岡高裁も、この長崎の和解協議の進行についてつぶさに認識されておられまして、福岡高裁の和解の方も審理に戻さざるを得ないという御判断の向きが伝えられたところでございまして、国としましては、今後、福岡高裁の訴訟指揮に従いつつ、本件をめぐる一連の訴訟の適切な対応あるいは問題解決に至れるように、なお知恵を絞ってみたいというように思っておるところでございます。
○畠山委員 適切な対応はもちろんですし、知恵を絞るとの話ではありますが、ただ、今から述べますように、この間の農水省の態度が非常に現場では不信感を生んだということは指摘しなければいけないと思っています。
 農水省が漁業団体幹部へ示したとされる想定問答なるものの存在です。これは、ことし三月八日付朝日新聞一面で報じられたものでした。
 その想定問答によれば、今農水省が示している百億円の基金については、組合員から増額の要求が出た場合に、会長、組合長さんの回答例として、自分としては十分な規模をとれたとの回答をするようになっていた。あるいは、末端の漁業者を聞いてほしいとの問いがあった場合には、まずは基金をかち取ることだ、任せてほしいとの想定問答というか回答がされていた。さらには、開門派原告団の弁護団長を名指しで、距離を置くよう求める回答までつくっていたとのことでした。事実であれば、本当にひどいものだと思います。
 そこで、私が先日、二十三日の本会議で、想定問答なるものの公開を求めたのに対して、山本大臣は、交渉当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、そうした文書が存在しているか否かも含めてお答えできないとの答弁でした。
 状況が今変わりました。和解協議が打ち切られて、今なお不開示にする理由はどこにあるというのでしょうか。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
 この三月二十七日の和解協議におきまして、長崎地裁から和解協議を打ち切るとの御判断が示されたところでございますが、本件につきましては、複数の訴訟が提起されております。争訟中であるということに変わりはないと考えております。
 このため、交渉または争訟に係る事務に関しまして、国の当事者としての地位を不当に害するおそれがあります。そうした文書が存在しているか否かも含めてお答えすることはできないという状況に変わりはないというふうに考えてございます。
○畠山委員 訴訟が続いている、つまり、引き続き、かかわる関係者の皆さんとの、必要であれば和解協議という場面も出てくるかもしれないわけですよね。漁業者、原告団の方からも声明が出されて、今後の和解協議の道を完全に閉ざしているわけではないことなども当事者からも述べられているわけですよ。そのようなときに、これまでと同じような国の態度では不信感は払拭されないのではないのでしょうか。
 開門を求めていた漁業者からは、この想定問答があったとして、漁業者をばかにしたやり方ではないかと現地の新聞などでも報じられておりました。漁協との関係でも障害を生み出したのではありませんか。例えば、組合員から、うちの組合長がこれに基づいて答えたのかと疑いを持つことだってあると思いますよ。組合長さん自身が、自分の説明を組合員が信用してくれないというふうになれば、組合長だってかわいそうじゃありませんか。
 一般論で伺っておきます。協同組合という組合員の自主的運営で行う組織に対して、行政の側が問答集や答弁マニュアルのようなものをつくることはあるんですか。
○佐藤(速)政府参考人 お答えいたします。
 一般論として申し上げますれば、国が、その任務または所掌行為の範囲内で私人のための助言行為を行うことは、例えば漁業者への技術的助言なども含めまして、国の事務に含まれるというふうに考えております。
○畠山委員 技術的な問題にはあり得るということでしたけれども、あくまでこの報道されている中身を見れば、技術的な問題以上の内容が含まれているじゃありませんか。
 こういうような想定問答が報道されたことに対して、農水省としては抗議のことも言っていないわけですから、あったという前提で、私、質問しますけれども、このような想定問答なるものは協同組合の自主性を侵害するというふうには考えませんか。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
 この和解協議に係ります漁業団体との交渉に係る内容につきましては、交渉または争訟に係る事務に関し、国の当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、お答えすることはできませんけれども、漁業団体はそれぞれが組織内で議論を重ねて、国が提案申し上げました基金の受け入れの可否について自主的に判断されたというふうに承知をしてございます。
○畠山委員 ちょっとひどいですよ。
 この想定問答は、中身を見れば、国の主張に沿わせようとしたがために、さまざまな問題をつくり出しましたよ。和解協議の障害をつくり出した、漁業者の中に分断を持ち込んだ、協同組合の原則まで踏みにじるような、とんでもないやり方じゃないですか。この想定問答が配られたであろうという時期は、漁業団体が開門にかわる基金案を拒否した後に、国が協議の継続を求めて、長崎地裁もそれを認めたときでした。この想定問答なども含めて、農水省が決着を押しつけているんじゃないかと不信感を持つのは当然だと思いますよ。
 資料三枚目をごらんください。西日本新聞ですけれども、同じくこれも枠で囲っているところをごらんください。このように述べています。「最終局面では国の「失策」も明らかになった。三月に入り、農水省が漁業者説得のための想定問答を漁業団体幹部に示していたことが発覚。営農者側に肩入れするような姿勢が、地裁の和解協議打ち切りの判断に傾けさせたとも取れる。」こういうような現地の報道もされているわけです。
 最後に大臣に確認しておきたいと思うんですが、これからまだ訴訟が続いているから不開示なんだということが答弁ではありました。確かにまだ続くでしょう。だからといって、国として、想定問答は不開示とするということだけにとどめていたら、解決の糸口、道筋というものは成り立たない、不信感が払拭されないのははっきりしていると思うんです。誠実な説明をきちんと責任を持って果たすべきだということを述べたいと思いますが、大臣、最後、答弁してください。
○山本(有)国務大臣 諫早湾の干拓開門問題につきましては、もう申し上げるまでもなく、複数の訴訟が提起されている大変難しい状況にございます。国としましては、問題の解決に向けて最善の努力を図っていく必要があるというように考えております。一方で開門の判決、他方で差しとめの判決、どのような判決をいただいたとしても、現場の解決というものは和解でしかできないというように考えておりまして、馬奈木弁護団長もそうした意見を述べられているわけでございます。
 このような状況の中で、和解協議のもとでの漁業団体との交渉に係る内容を申し上げ、想定問答の存否を明らかにするということになりますと、交渉または争訟に係る事務に関しまして、国の当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、また、漁業者に対する不安を惹起するというような懸念もございます。そうした文書が存在しているか否かも含めまして、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○畠山委員 ことしで堤防締め切りで二十年になりました。二十年というのはやはり年月としては重たい時間だと思います。開門を命じた福岡高裁の判決が確定している中で、まさしく国が今こそ解決への責任を果たすべきときであり、想定問答なるものの存在、公開も求めて、質問を終わります。