○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
 きょうは、参考人質疑が午前中に行われ、貴重な意見もたくさんいただきました。この参考人質疑をセレモニー化することなく、意見を踏まえて審議を深めてこそ、真摯な国会審議のあり方だと思います。遠くから来られている参考人に対する本委員会としての務めでもあります。
 そのことを改めて確認した上で、本法案にかかわって、二十分ですので、私からきょうは、法案第五条、農業者等の努力と、事業再編、事業参入にかかわって質問を行います。これは、きょうの参考人質疑でも意見が集中していた点ですので、改めて確認をしたいと思います。
 まず、法案第五条、農業者等の努力についてです。
 私は本会議で、言われなくても農家は努力を行っているじゃないかとして、なぜ農家の自主的選択を束縛しようとするのですかと質問しました。そのことに対して大臣は、本法案の目的を実現するために必要だと述べて、もって農業者に強制しようとするものではないと答弁されました。
 ですが、その前の部分を通して改めて議事録も読んでみても、束縛しているようにしか聞こえないんですね。いわゆる良質で低廉な資材の供給などを農業生産関連事業者が行うから、その取引相手である農業者がこのような努力を行う事業者を利用しなければ、その実現につながってまいりませんという答弁を聞けば、やはりこれは選択の幅を一定の中へ閉じ込めているように聞こえるわけです。強制はしていなくても、客観的に束縛しているのではないのでしょうか。
 そこで、確認したいことがあります。
 食料・農業・農村基本法にも農業者等の努力という項目があります。中身は時間がないので述べませんが、その基本法の理念に基づくように農業者の努力があると抑制的に書かれていて、これは先日、細田政務官が、第九条に類似的規定があるという答弁もされました。
 ただ、この本法案にある、今私が述べた農業者等の努力に盛り込まれている内容は、基本法からしても逸脱しているように思います。類似ではなく、整合性が問われるのが法律ではありませんか。その整合性について、まず答弁してください。
○山口政府参考人 お答えいたします。
 本法案第五条は、良質かつ低廉な農業資材の供給や農産物流通等の合理化の実現を図るため、農業者は、有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて農業経営の改善に努める旨を規定したものでございます。
 他方、先生から御指摘のございました食料・農業・農村基本法第九条では、農業者は、農業及びこれに関連する活動を行うに当たって、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとするという規定になってございます。ここで言う基本理念といいますのは、基本法の中に規定されております、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、また農業の持続的発展、農村の振興、こういう四つの理念の実現を図るということで規定したものでございます。
 その両方の規定につきましては、農業者に対して、それぞれの法律の目的の実現のため、一定の行為を行うよう努めるべきことを定めるという点で共通性があると考えておるところでございます。
 さらに申し上げれば、法案の五条により農業者が努めることとされている行為は、この食料・農業・農村基本法に定める基本理念のうち、農業の持続的な発展のために主体的に取り組むべき行為に入るものでございまして、基本法と農業者の今回の努力規定、これとは整合性がとれているというふうに考えております。
○畠山委員 そうですかね。
 ちょっと時間が少ないので指摘だけにとどめておきますけれども、ただ、今回の、きょう午前中も、かなりこの農業者等の努力で出てきたんですけれども、そもそも、法律で、有利な条件で取引しろというふうに入っているわけですよね。それで、きのうから、有利な条件というのは何かと。きょうも、さまざまな陳述人からも、そんなこと、そもそもなぜ法律に書き込む必要があるのかという意見が相次ぎました。有利な条件というのは、安いことなのか、品質がいいことなのか、持続して契約することなのか。それで、先ほど、民進の小山議員ですか、一定の価格があっても、その後長もちするのであるならば、それはそれで選択に値するわけであります。
 そこで、きのうの委員会でも、これは細田政務官も、総合的に勘案して各農家で判断してほしい旨の答弁をされました。でも、よくよく考えれば、どんなときでも総合的な勘案はしているはずです。では、一体何のためにこの項目を置いたのか。有利な条件というのは何で、なぜこんな項目を置く必要があるのか、改めて問いたいと思います。
○山口政府参考人 第五条に規定をしております有利な条件でございますが、農業生産関連事業者が提示する有利な条件、これにつきましては、価格のみを指すのではございませんで、農業資材の場合ですと、品質や性能、さらに、資材の配送条件や、機械等についてはメンテナンス、こういったサービスの面、こういったものも勘案することになりますし、農産物流通等の場合については、取引期間や決済サイト、また、気象条件等で不作で欠品が出たときの対応、こういったことも総合的に勘案して有利性を判断することを考えているところでございます。
 なお、この規定については、個々の農業者が有利な条件かどうかを判断することを前提としたものでございまして、判断基準も各農業者ごとに異なってくるというふうに考えております。
○畠山委員 個々の農業者の判断が違うのはそれは当たり前でありまして、だからこの条項を何で置くのかということになるわけですよ。存在意義が問われる条項ではありませんか。
 なぜここにそんなにこだわっているかといえば、本法案の中心的目的の一つにかかわってくるからだと私は考えています。農業の市場化を早く進めていくためには、農協等はもちろん、農家へもその方向づけをしていかないとできないからであります。農家の経営に口出しするようなこんな失礼なやり方だという問題もありますけれども、大きな構造改革の一環としてこの規定を置かざるを得なかったというふうに思うんですね。
 そこで、かかわっていきますので、事業再編、事業参入についても聞いておきたいと思います。
 私は、本会議でこの点についても質問しました。大臣は、実施指針について、第十七条二項の項目を挙げて答弁されました。いわく、合理化の目標や事業再編の目標、実施期間などなどです。別の言い方をすれば、それ以外の要素は考慮されないのかということです。
 例えば、本会議で私は国籍要件がないじゃないかということを質問したのに対し、大臣は、外資が参入することも、これを活用することも可能であると答弁をいたしました。
 では、それ以外にも、株式会社、社団法人、NPO法人、いろいろありますけれども、さまざまな経営形態やあるいは財務状況の健全性などが問われないでいいのか、実施指針を満たせばどのような者でも可となるのかどうか、その点を確認したいと思います。
○山口政府参考人 お答えいたします。
 先生から今、事業者の経営状況や財務内容の健全性、こういったものを考慮しないのかというお問い合わせでございますが、事業者の財務内容の健全性につきましては、事業再編計画の記載事項でございます事業再編の目標の中で記載させることを今検討しているところでございます。具体的には、工場等の稼働率やその営業利益、こういったものを改善していく上で重要な要素でございますそういう財務内容の健全性の目標を記載させることを求めることで今検討しているところでございます。
 また、事業者の経営状況や財務内容の健全性を確認するために、その事業者の事業報告書や財務諸表等を事業再編計画の認定申請の添付書類として提出すること、これも検討しているところでございます。
○畠山委員 それらの検討は、省令などに入れ込むということですか。
○山口政府参考人 実施指針につきましては、これは大臣が定めるということになってございまして、告示という形で公表したいというふうに思っております。
○畠山委員 ひとまずその点だけは確認しておきます。
 第十七条三項についても確認しておきたいことがあります。実施指針の変更について書かれているところです。経済事情の変動により生じたときに変更すると書かれています。ただ、これは幅のある表現でして、定義がなければ、恣意的に指針を変更できることも可能となるのではないか。
 この経済事情の変動というのは何を指すのか、具体的に答弁願えますか。
○山口政府参考人 十七条第三項の経済事情の変動により必要が生じたときの見直しの規定の趣旨でございます。
 これは、例えば国内の規制の改正が行われたり、また貿易ルールの変更など農業生産関連事業を取り巻く経営環境が大きく変わったと認められるような場合、これを想定しております。また、実施指針につきましては、パブリックコメントをかけて制定することを考えておりまして、変更の際にもそういった手続をとりたいと思っております。
○畠山委員 では、パブリックコメントなどで一定の反映を公的にしていくということの理解で確認しておきます。
 それで、つまり、この実施指針に基づいて進めていくということになれば、私、先ほど述べましたけれども、恣意的な状況にならないのかという懸念を持ったわけでした。
 それで、今回、事業再編や事業参入を促進する法案ですから、これから質問しますけれども、それが進んでいるかどうかということをチェックしていくということに法案上はなっています。不断のチェックが必要になるわけであって、そのような性格を持って調査がされることになるかと思います。
 そこで、今農水省がどのような調査を統計的に行っているのかを事実の上で確認しておきたいと思います。農水省として、毎月々、実施指針に関連するような分野での統計調査というのは何がありますか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
 農林水産省が現在公表している統計の中におきまして資材と流通に関係しているものといたしましては、農産物の生産者販売価格や生産資材の価格の動向を把握するための調査、青果物等の生産者段階から小売段階までの各流通段階別の経費を把握するための調査、青果物や食肉等の卸売数量や価格を把握するための調査などを実施しているところでございます。
○畠山委員 その上で、本法案は附則において、法施行から一年以内に調査をするというふうにしています。これら今答弁あった調査だけでなく、新しい調査をするということになるのでしょう。しかも、国外の調査もするとされています。ということは、国内はそうですが、国外とも比較するということになるわけです。
 しかし、韓国の資材などについてもさんざん議論もしてきたですし、ただ安さだけを調査して並べてもだめなわけで、経営体もそれぞれの国で違うし、自然条件も違うし、流通条件も違うし、根本的に各国の農政が違うわけですから、一体どんな調査をしてどのように生かすのかということは問われなければいけない、今のうちに確認しなければいけないことだと思います。
 毎月々やっているような調査と別に、どのような新しい調査をするのですか。
○山口政府参考人 お答えいたします。
 法案第十六条で国内外の調査を行うという規定を入れております。この調査を実施するに当たりましては、国内及び海外における農業資材や農産物流通等に関する実態を詳細に把握することを考えております。
 具体的な調査内容については、これも今後検討していくことになってはおりますが、現時点で考えているところで申しますと、市場規模や主要企業のシェア等の業界構造、また生産、流通、販売のそれぞれのフロー、法規制の運用状況、こういった情報を収集することを考えているところでございます。それに当たりまして、既存の統計等により把握できるものについてはこれを最大限活用することにいたしますが、既存の統計等ではわからないようなもの、これについては、新たに調査を行うこととなると考えているところでございます。
○畠山委員 今挙げられたような調査の内容というのは、別に法律にするまでもなくできるものですよ。しかもそれは、挙げたものというのは、本来、この法案をつくる前提となる中身ではないんですか。農水省設置法でさまざまな所掌業務はありますけれども、調査などは妨げられていないはずです。
 今述べたような調査というのは、そもそもこの法案を出すために前提となるような中身なのではないんですか。何で今挙げたようなものは設置法でできないんですか。
○山口政府参考人 十六条の調査と申しますのは、十六条のところに規定しておりますように、八条以降の国の施策の実施状況を踏まえまして、どういった状況に現在の業界等があるかということを調査するものでございます。その調査を踏まえて、十六条第二項では、施策のあり方について検討を加えるというふうに規定しておりまして、この検討の前提となるものでございます。
 そういった観点で、検討を国としてこの法律に基づいて実施していくということが規定されておりますので、あわせて、施策の検討に資する調査についても規定しているものでございます。
○畠山委員 でも、先ほど、その調査項目はこれから検討すると答弁していたじゃないですか。一体、何のための項目なんですか。最初から調査ありきで、それをてこにして何か動かしていくというふうな捉え方をされても仕方ありませんよ。
 つまり、法施行から一年以内に調査するとして、二年以内に検討というのが附則にあります。情勢や動向の調査だけなら今でもできます。一年たって変化をたどるための調査というんだったら、その項目を今からきちんと検討しておかなければ、もうつくっておかなきゃならないのに、いまだ検討中。しかも、一年で資材価格や事業参入が一気に進むものなんでしょうか。一体何のために一年や二年というふうにやったのか、全然わかりません。
 きのうから、その年限についてはPDCAサイクルに基づくものという、一般論としての答弁はありましたが、実態として、この法案が目指す道筋と一年後に出る結果というものは、そう簡単に出るものではないでしょう。
 そう考えると、調査が目的ではなくて、誘導が目的として作用することになりませんか。そのための調査とならないでしょうか。これは大臣に見解を伺いたい。
○山本(有)国務大臣 御指摘のとおり、十六条の五年と申しますのは、国が講ずる施策についてのPDCAサイクルというところは御理解をいただいたわけでございます。
 そして、一年以内というこの特例、法施行の日からおおむね一年以内という条項を設けておりますのは、国の緊張感、国のいわば努力義務としての一年というように御理解をいただきたいと思っておりますし、私は、この間御質問にお答えしたように、一年以内に調査を行うと正確性が担保できるというようにもお答えしておりますが、その真意は、調査を法施行後おおむね一年以内に行うことによって法施行直後の状況を正確に把握できて、それを基点として、法の施行による効果をしっかりと把握していきたいという、国に対する責務を課したというつもりの条文であるというように御理解いただきたいと思います。
○畠山委員 国としての責務と言いますが、調査をされる方としてはたまったものじゃありませんよ。だって、一年で結果が出ないようなことを求められて、それで、その出てきた調査で一年後にまた検討して、すぐ改革を迫られていくというスキームじゃないですか。
 思い出すのは農協法の審議です。あのときも、上からの改革ではないかと議論し、私も、当選間もないころでしたが、必死に質問しました。当時問題になったのは、農協の性格を変えることになりはしないかということです。
 最後に一問お聞きします。
 本法案で第五条に定められている、「農業者の農業所得の増大に最大限の配慮をするよう努めるものとする。」努力規定がありますが、しかし、農協法は第七条で義務規定として同じようなことで書かれています。
 結局は、このような調査などもてことして、義務的に、いわゆる上からの改革となりはしませんか。大臣、最後に伺います。
○山本(有)国務大臣 御指摘のように、本法案の五条三項は、農業生産関連事業を行う農業者の組織する団体、これは農協も入るわけでございますが、その皆さんが努力いただく、「最大限の配慮をするよう努める」努力義務規定でございます。
 御指摘の農協法の七条二項、ここには、「組合は、その事業を行うに当たつては、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない。」という書き方でございまして、こちらは義務規定というように解釈をするところでございます。
○畠山委員 時間なので終わりますが、今、なぞっただけの答弁だったと思います。
 終わります。